【プロが伝授】飲食店造作売買の落とし穴「内装・設備・厨房機器」

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コロナ感染防止に伴う自粛以降、居抜き店舗の需要がさらに増しています。居酒屋などそれまでオフィスのあるビジネス街が中心でしたが、ウイズコロナ、アフターコロナの場面では、郊外の小型居抜き店舗が人気となっています。どうやら、会社帰りの一杯から、在宅勤務で仕事終わりに近場で一杯に変わりつつあるようです。

また、品ぞろえを競う店舗から、専門店への動きも活発となっており、焼き鳥専門店やサラダ専門店など一品に特化した業態に移りつつあります。

さて、居抜き店舗を手に入れるには一般的に二つの契約を結ぶことになります。

  1. 店舗不動産に関する賃貸借契約
  2. 内装、設備、厨房機器などの売買契約(以後、付属資産売契)

賃貸借契約の場合、宅地建物取引業法に基づき契約前に重要事項の説明書というものが不動産会社から示され、借主にとって不利な情報が隠されていなか決まった書式で説明をする義務があります。ここで間違った情報や虚偽の説明をすると罰せられると法律で決まっています。

ところが、付属資産(造作)の売買契約は宅建業法に規定がなくなんら罰則がりません。それゆえこれまでトラブルが多く発生してきました。

今回は付属資産(造作)売買契約の注意点を知ってトラブルを避ける自衛策として役立てて頂きたいと思います。

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飲食店舗売買時に必要な免許はなに?

賃貸借契約を仲介するには不動産の宅地建物不動産業者免許が必要です。では、付属資産(造作)の売買には免許は必要ないのでしょうか。実は古物商の免許が必要とななります。

古物営業法

第二条 この法律において「古物」とは、一度使用された物品

古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること

そもそもこの古物営業法ですが、盗品の売買を規制する為に作られた法律です。第一条にはこうあります。

この法律は、盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。

しかしながら、飲食店内に残された物品(古物)を売買する際は必要となる免許です。実におかしな仕組みです。

この説明をすると異論を唱える不動産会社が必ず現れます。彼らの言い分はこうです。飲食店舗の内装や設備、厨房機器に什器は賃貸借の目的物たる専用室に付随したもので古物売買にあたらないと言うのです。

実はこの理論半分は正解です。この古物営業法は可動物つまり動かせるものを対象としています。ですから厨房機器や什器備品などがその対象となるのですが、賃借物件に作りつけられた造作やエアコン、電気設備、ダクトなどは対象外となります。

私の知る限りでは、居抜き物件を扱う大半の不動産会社は古物商の免許は持っていません。居抜き店舗を専門に扱う不動産会社数社が持つに留まると思います。業界のレベルアップと更に居抜き店舗のクオリティーアップの為にも業界ぐるみで取り組んで頂きたいと思います。

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付属資産(造作)売買契約の注意点

では、売買契約に際し、どの部分に気を付ける必要があるのでしょうか。

  1. 数量の確認
  2. 状態の確認
  3. 所有権の確認
  4. 瑕疵担保がないことの確認
  5. 虚偽の報告がないこと(表明保証)
  6. 引渡状態の確認

最低限でもこの6項目の確認は必要です。では一つ一つ見ていきましょう。

1.数量の確認

付属資産(造作)売買契約書と称して交わされた書面に、ただ一言「一式」とだけ書かれたものを見たことがあります。これでは一体何を売り買いしたのかハッキリしません。契約時と物件引渡時に時間差がある場合では余計です。必ず、売買に係る内容物のリスト作成をお薦めします。もし不動産会社がこれを用意しない場合は、お買いになる方が自衛策として作りましょう。引き渡し時に冷蔵庫やコールドテーブルがなくなっていたなどと言うトラブルはよく耳にします。

2.状態の確認

実際に売買する厨房機器やエアコン等はちゃんと作動しているのか、不具合はないのかしっかりと聞き取りをすべきです。当然ですが、中古品ですので性能は新品の頃に比べ落ちているのは間違いないのですが。

作動場合によっては、お店を引き継いだあとに新しいものに取り換える必要が生じます。そうなれば、当然付属資産(造作)売買の売買価格に影響します。事前に状態を確認しなかったばかりにあとで不具合に気が付きお店を売却された方とトラブルとなるケースもあります。お互い嫌な思いはしたくありませんよね、そのためにもリスト作成時に必ず状態確認をしましょう。

3.所有権の確認

厨房機器やエアコンなどは価格が高い為に、飲食店オープン時にリースで設置することがあります。ご存じのようにリース契約とは、リース会社が新品で機器を設置し、契約者は月々リース料を払って使用するというものです。もしそのことを知らずに売買契約を結び引渡を受けてしまったとすればどうなるでしょうか。

店舗を売買することでこのリース契約が終了するとなると、残債を一括清算をするかリース会社がリース物品の撤去をするかのどちらかになります。

清算するにせよ無くなったものを購入するにせよどちらにしても大きな出費を伴うこととなります。引き渡しを受けたと言うことは賃貸借契約を済ませた後ですし、新たに居抜きで店舗を引き継いだ側は後には引き返せなくなります。こちらもリスト作成時に必ず確認をしましょう。

4.瑕疵担保責任がないことの確認

新品を購入した際は保証期間があり、購入から1年以内の故障はサービスで修理しますと言うのが一般的です。このサービス我々は車や家などの大型耐久財などの購入時に必ずついてくるものという思い込みがどこかにあります。そのことがこの付属資産売買にも影響を及ぼします。

当然ですが、付属資産は基本すべて中古です。動作なども保証ではなく現況渡しが基本となります。よって、引き渡し後に運悪く直ぐに故障する可能性を買う側は十分理解しておく必要があります。このことを契約時に書面にしておかないと心情的にもつれるトラブルの元となります。あくまでも引き渡し後は何があっても買い手の責任と負担において対応することが大原則です。

5.虚偽の報告がないこと(表明保証)

これまで、水漏れを起こしたことがあるとか大雨の際天井から雨漏れがあっただとか、近隣と臭いや煙でトラブルになったことがあったかなかったかと言うことは極めて重要な情報です。もしこのことで後日事実を隠していた、故意に言わなかったと分かった際のペナルティは決めておいた方がよいでしょう。

また、先ほどの瑕疵担保責任は存在しないという部分では、故障歴や不具合を知っていたにも関わらずそのことを隠して契約をした場合は当然に何らかの補償義務が生じます。だからこそ、開示した情報に虚偽はありませんと契約締結時に表明保証をしていただくのです。

6.引渡状態の確認

一番トラブルになりやすいのが、引き渡し当日の店舗の状態です。なにも取り決めもしないまま当日を迎えると思いもよらないトラブルとなります。実際にあったのが

  • 冷蔵庫の中身が残っていた
  • お皿やコップ、ボトルなどが処分されていない
  • グリストラップは清掃していない
  • 清掃は終わっていたがゴミが残置されていた

お金を払って付属資産(造作)を買った側からすれば、ごみまで買った覚えはないと怒り心頭のことでしょう。

ただでさえ飲食店はお店を営業している時には気にならなかったところが、いろいろ物品がなくなると急に見すぼらしく見えるものです。グリストラップの汚れやグリスフィルタなど清掃をして引き渡してもらえるよう取り決めましょう。重飲食店を引き継ぐ場合は、排水管の高圧洗浄なども引渡し前に済ませてもらうぐらいの交渉をしてみてはいかがでしょうか。

~まとめ~プロが教える飲食店造作売買の落とし穴【内装・設備・厨房機器】

居抜き店舗を扱う不動産会社でも付属資産(造作)の引き渡しについては経験豊富という会社は少ないものです。もしそうでなくても不動産会社に仲介をお願いする際は最低限ここに挙げたポイントを確認するようお願いしましょう。

居抜き店舗はコスト的にも非常に魅力ある物件です。ただ、扱う不動産業者のレベルが追いついていないような気がします。事前によく内容の確認をすることと間違っても勢いだけで契約を結ばないよう気を付けてください。

安く買ったつもりがとても高くつく恐れがあります。開業前につまずかない為にもここは気を引き締めて契約に望んで下さい。

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