準備期間に励ましやアドバイスをくれた友人、元の同僚達。開店日にはそんな方々を一人でも多くご招待したいと思うものです。
もし何も考えずにそれらの人に開店のご招待状を出すとどうなるでしょう。きっとお店に入り切らない程の人で混み合い、ろくに話もできないばかりか肝心の料理を楽しんで頂くこともできなる悲劇が間違いなく起こります。
今回は、これまでお招きいただいた多くの開店セレモニーを参考にどのようにプレオープンの日を迎えるべきか考えて見たいと思います。
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飲食店がプレオープン日を設ける理由
最近の複合店舗では、総てのお店が開店するのがグランドオープン。これに対し一部先行オープンをプレオープンと言いますが実に上手いやり方です。
これを参考にさせて頂くと、飲食店のプレオープンは正式な開店日の前にホールや厨房のオペレーション確認や実際に予定している段取りが機能するかを確認する日ととらえることが出来ます。
オペレーションや厨房の仕込み、調理手順などをプレオープンで確認し、不具合や想定外の部分を修正してグランドオープンを迎えることが出来ます。
プレオープン
これまで考え準備して来たやり方を実戦で試す場です。当然いろんなハプニングにも寛大な気持ちで見守って下さる方に来ていただくことになります。
逆に最初だからと大目に見るのではなく、ダメ出しをしてくれる方も大変有難いものです。プレオープンにはそんな忌憚のない意見を言ってくれる恩師や友人、開店に係わった関係者に来ていただくのが良いでしょう。
プレオープンはご来店頂く皆様には少々ご迷惑をかけるかもしれませんがとお断りをしたうえでお店側が好きに飲んで食べて頂く振る舞いの日と考えるべきです。感謝の気持ちと実戦での貴重な確認ということで一石二鳥です。
余談ですが、プレオープンにお招き頂く際はあることを聞くようにしています。
立食形式の場合はさておき、メニューから料理を選ばせるような時は、注文の際に料理の内容を伺うようにしています。初日にちょっと意地悪ですがホールの店員さんがメッセンジャーにならないように気づいて頂くためです。
グランドオープン
招待をして食べて頂くプレオープンに対しグランドオープンは来られたお客様に正規の料金をお支払い頂くものです。
フレンチやイタリアンのお店ではカジュアルなコースメニューに絞って一人いくらというのもあります。
通常はオープン記念に一品サービスするか記念品の様なものを会計の後にお渡しするのが一般的です。
お世話になった皆様へプレオープンの招待状
本当の身内と呼べる皆さんはプレオープンにご招待し、友人や関係者の皆さんが多い場合はグランドオープンとは別に貸し切りでのご招待日を設けてその日に来ていただくのがよいと思います。
料理もさることながら実際にオープンする店を見て頂き、お集り頂いた皆さんとゆっくり旧交を温める時間とするなら厨房で料理を作っている暇はありません。
予め作り置きした料理を食べて頂きながら立食やセルフで気の知れた仲間と自由に楽しんで頂くのが良いでしょう。
お店の大きさにもよりますが、ここで招待状を出し過ぎると入り切らないということになりかねません。
また、招待状を出した方が全員来られるということもありませんので、2時間程度の時間内で収容人員の1.5倍ぐらいの方に招待状を出すのが無難です。
最近では、メールアドレスを知る皆さんに通知を出す場合簡単に出欠がとれるサービスもあります。こういったサービスも活用すれば便利です。
本当にあった飲食店悲劇のプレオープン日
その居酒屋さんはプレオープン、グランドオープン、知り合いだけの日も全て1日(1回)で終わらせようと招待状を思いつく限りに出したそうです。後で聞いたのですが、なにも考えずにただオープンの招待状を一斉に出したといっておられました。
さてくだんの飲食店のオープン当日ですが、6時開店の1時間後にお邪魔した時にはすでに満席状態です。我々はもとよりご馳走にならずにお祝いだけを置いて帰るつもりでいたのですが、お客様の料理に追われるご主人は厨房で格闘中です。
なかなか声を掛けらずにいたのですが、あとから来店されるお客様も事情を察してかお帰りになる始末です。
それ以上に気になったのがお客様の席の状態です。どの席も料理があまり並んでいません。それもそのハズ、オープン日からフル操業です、料理が追いつくはずがありません。
これではせっかく祝福に来られた方も、オープンを知ってご来店された一般のお客様も興ざめです。
もちろん挨拶もそこそこに店を後にしたのでした。後日談ですが、ご友人から改めて貸し切りでの祝賀会の申し入れがありなんとか不義理をせずに済んだようです。
~まとめ~プレオープンの招待状は営業ツール
最近頂いた開店日の招待状で面白いのがありましたのでご紹介します。
もともと立ち飲みのお店を居抜きでバルに改装されたお店ですが、開店日の招待と言っても10人も入ればいっぱいになるお店だけに文面に「予め混雑が予想されますのでご容赦ください」の文字と、「もし当日来られない場合でも本状をお持ちいただいた皆様には感謝の気持ちとして最初のワンドリンクをサービスさせて頂きます」とありました。とてもいいアイデアです。是非参考にしたものです。
逆に席数が50を超える少々大きなイタリアンのお店は、開店記念と称して3名以上で来店のお客様に限りワインを1本ボトルでサービスとありました。
招待状といえども飲食店によってはしたたかな戦略を感じます。開店日にスタートダッシュを決める大切なツールであることが確認頂けたと思います。間違っても出せばいいというものではありません。