2024年6月に公表された2022年度の「食品ロス」は推計値で472万トンでした。このうち「家庭系」ロスが236万トン(前年-8万トン)、商品の売れ残りや外食での食べ残しなどの「事業系」ロス(食品の売れ残り・食べ残し)は、40万トンあまり減って236万トンとなっています。
今後、国は事業系の「食品ロス」について強化の方針で、削減目標を今年度中に策定するようです。農水省では、外食産業の中では、食品ロスの原因として客の食べ残しが昨年度の半数近くを占め、48.1%にも上るという。対応が急がれるところです。
さて、忘年会シーズンを迎え改めて食品ロスについて厚労省のガイドラインを参考にしつつ確認してみたいと思います。
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食べ残しの持ち帰りガイドラインとは
2024年に厚生労働省から出された、食べ残し持ち帰りガイドラインを確認します。
- 持ち帰りの希望者には、食中毒等のリスクや取扱方法等、衛生上の注意事項を十分に説明しましょう。
- 持ち帰りには十分に加熱された食品を提供し、生ものや半生など加熱が不十分な料理は、希望者からの要望があっても応じないようにしましょう。
- 清潔な容器に、清潔な箸などを使って入れましょう。
- 水分はできるだけ切り、残った食品が早く冷えるように浅い容器に小分けしましょう。
- 外気温が高い時は持ち帰りを休止するか、保冷剤を提供しましょう。
- その他、料理の取り扱いについて、注意書きを添えるなど、食中毒等の予防をするための工夫をしましょう。
上に示したのは、飲食店向けのガイドラインとなります。
一方、今回のガイドラインは、食べ残しの持ち帰りは消費者の自己責任で行うことが前提だとしています。
そのため、料理の詰め替えは基本的に消費者が行うとしたうえで、▽使い捨て手袋を使ったり、手指を消毒したりして衛生的に詰め替えを行うことや▽微生物の増殖を抑えるため水分はできるだけ切り、温度管理がしやすい容器に小分けすること、としています。
また、▽持ち帰る時は速やかに帰宅することや▽持ち帰った後は食品に応じて再加熱して食べること、さらには▽飲食店で箸をつけた料理は、持ち帰った後にその本人が食べることなどを求めています。
飲食店はどのような対応が求められるか
食べ残しは、廃棄することになり飲食店にとっても損失となるものです。食べきっていただくように料理を出すタイミングや、客層に応じた工夫が求められています。
- 消費者が、食事量の調整・選択ができるように、小盛りや小分けの商品をメニューに採用する。
- 宴会等、大量の食事を準備する際には、食べ残しが発生しないよう幹事と食事量やメニューを相談する。
- 宴会等において、食べきったらサービス券を配付するなど、食べきることにインセンティブを持たせる工夫を考える。
宴会や結婚披露宴等の際には
- 企画側であれば、参加者の嗜好や年齢層、男女比を考えながら食べきれる量に配慮する。
- お店を予約する際は、こうした参加者の情報をお店側に事前に伝えるましょう。
- 食べる時間を作りる工夫。例えば、乾杯後の30分間は、提供された出来たての料理に集中して食べることや、お開き前の10分間は食べ残しをしないよう幹事が声を掛けるなど、料理を食べ切るように声がけをする。
具体例で考える
飲食店では、必要に応じて、
- 手指の消毒液や使い捨て手袋を消費者に提供する
- 保冷剤を用意する
- 詰め替え容器を提供する場合衛生的に保管する
- 持ち帰りに適した料理をあらかじめ検討しておく
<持ち帰りに適している食材>
フライドチキン・焼き魚・ピラフ等
<持ち帰りに適していない食材>
サラダ・刺身・ドリンク類
~まとめ~
宴会シーズンを控え、予約が入り始めていることと思います。予約時や宴会開始前に食べ残しについての御願いや持ち帰り用容器が準備されていることをお伝えし協力を仰ぐようにしましょう。独身の方などこれまで言い出せなかったけれど、持って帰れるなら喜んで頂きますという方意外と多いものです。