居抜き店舗にまつわる「飲食店譲渡」 その始まりと実態とは

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居抜き店舗にまつわる「飲食店譲渡」その始まりと実態とは

飲食店の開業に携わったことのない方が「飲食店譲渡」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?読んで字のごとく飲食店を譲渡する契約つまり売り買いの契約と解することが出来ますので土地、建物の売買と勘違いされる方も多くいらっしゃいます。もちろん中には同種の取引もありますが、その場合飲食店であることがことさら前面にでることはありません。ではこの飲食店譲渡とは何を売り買いするものなのか今回はその実態をみてみたいと思います。

【これで十分】居抜き店舗 とは? 居抜きの意味

飲食店譲渡の生まれる背景

ロードサイドにある回転寿司やファミリーレストランなどが入居していた物件などが売りに出されているケースを見かけますがこちらは売買物件がほとんどです。このような物件はそもそも飲食店であっても飲食店譲渡とは呼びません。この場合、売買対象は土地、建物の所有権であり今回の賃貸借物件とは異なります。

ではなぜ賃貸借物件で譲渡は発生するのでしょうか。それは物件を借りる際に締結した賃貸借契約書と大きなかかわりがあります。国内の賃貸借契約書には必ず原状回復義務と呼ばれる条項が含まれています。この条項はなにも飲食店など事業用に限った話ではなく、マンションやアパートを借りる居住用の賃貸借契約書にも必ず入っています。

この原状回復義務とはいかなるものかといえばこうです。居住用なら壁紙の張替や畳表の張替などが代表的です。もし大家さんに断りもなく大きな棚を作りつけたり壁に穴を開けてしまったりだとかも借りた人が部屋を解約する際に修繕費を負担しなければなりません。居住用のように住むことが前提の場合、次も住む為の修復をすればよいのですが、事業用はそうはいきません。

飲食店であろうと物販店であろうと借手の目的により内装がその度大きく異なります。大家さんは、賃貸借契約が終了するたびに、次のテナントを見つけやすいように内装や設備を一旦すべて壊してスケルトンと呼ばれる状態に戻すことを要求してきます。たとえ10坪前後の場合でも飲食店をスケルトンに戻そうとすれば、100万から200万円もの工事代が更に必要となります。出店するのにお金がかかり、閉店するにもお金がかかるという訳です。

居抜き物件 の見分け方は「内見」にあり

「飲食店譲渡」はどこから始まったか

銀座や赤坂のソシアルビル(ビル全館にBarやクラブなどお酒を提供して女性が接客するお店が入っているビルのこと)でお店が入れ替わる際に行われていた営業譲渡という形式に近いと言われています。

お店を借りているお店のオーナーが閉店をする際に、次の借手を自分で見つけてきて大家さんに名義変更を申し出ると言うものです。新しく借りる人は旧オーナーから営業譲渡代として数百万から1千万円以上のお金でそのお店を買うのです。大家さんもよくその仕組みを理解していて、営業譲渡の承諾料として賃料の数ヶ月から譲渡代金の10%相当を請求することがあったようです。

閉店情報の流通経路はどこから

ではなぜ閉店する飲食店が譲渡をすることを知らせることが出来たのか疑問が出てきます。本来壊すべき内装や設備を買う相手を探すとなると本来仲介役の不動産会社が行うものですが、大家さんからの依頼で募集活動は行っても、賃借人の依頼で営業活動は行いません。そこには意外な仲介役が存在したのです。

それは、2000年前後から売上をのばした中古厨房機器販売会社の存在でした。当初彼らは、閉店をする飲食店から厨房機器を買取り、修理をして再販をしていたのですが、買取をする飲食店などで内装や設備をスケルトンに戻す費用が出せないお店が多く、厨房機器の買取りをする傍ら不動産業者にこの閉店情報を流し始めたのが始まりのようです。当時は居抜きではなく内装だけが残っている残置物件が主流だったようですが、厨房機器などが残されている居抜き店舗に特化する不動産会社が現われ現在の姿になったと言われています。

飲食店舗が譲渡される前提条件から考えてみましょう。

 ・賃貸借物件であること

 ・内装(椅子・テーブルを含む)、設備(電気・空調・給排水)、厨房機器が使用可能であ  り、現在営業中か直ぐに営業できる状態のもの

 ・大家さんの承諾を得ていること

ここで重要なのは大家さんがどのように理解をしているかです。

1.賃貸借契約書に原状回復義務がうたわれているにも拘わらず原状回復を行わない

2.解約予告期間を無視して名義変更をお願いする

3.内装、設備、厨房機器を有償で売却する

1と2については、場合によっては賃料が値上げになるかもしれませんし、通常の新規契約の様に、大家さんに礼金や敷金償却という臨時収入が入るため抵抗がないケースがほとんどです。ただし、3に関してはまだまだ抵抗感のある大家さんもいらっしゃいます。

ご自身の不動産に付随して金銭の授受が行われることに不快感を持ち、無償の場合のみ許可する場合や譲渡に関しては関知しないから勝手にやってくれというスタンスの大家さんがまだまだ多いように思います。

飲食店 独立・開業 に必要な資格・届出 とは

これから譲渡を希望する方へ(譲渡までの流れ)

まず何から手を付けて良いのか迷うはずです。大家さんが先か居抜き物件を扱う不動産会社が先か。まずは大家さんの立場で考えて見ましょう。

次の入居者が決まってもいない状態で、店を第三者に売ってもいいかと聞かれたらどうしますか、以前に経験のない限り返事のしようがないと思います。であれば、店舗を買ってくれる人を探すことが先になります。その際気を付けたい点があります。

 1.店舗価格は使用時期の長短に大きく左右されない

 2.引き渡しまでの期間を2ヶ月間は見ておいた方が無難

 3.何件もの不動産会社に声をかけない

なかにはこんな方がいらっしゃいます。

・飲食店譲渡を希望される方で、店をスケルトンから造って1,000万円以上かかったので少しでも高く売って多く回収したいと言う方

・飲食店をオープンしてまだ1年しかたっていないので高く売りたいという方

この二つの共通点は、飲食店譲渡を中古車価格の様に考えておいでです。つまり高級車で新しければ高い値段がつくというのと同じです。それは売る側と買う側のマーケットが存在し価格が広く開示されているから可能ということなのですが、飲食店舗の譲渡価格はそうはいきません。確かに新しいに越したことはありませんが、飲食店舗のマーケットから言えば立地や階数などそもそも飲食店としてのポテンシャルが大きく左右します。さらに、本来閉店をするなら原状回復工事で壊さなければならない運命の物を売りに出すわけですからその時点で買い手市場となります。逆に、立地によっては古くても多額の飲食店舗譲渡料を払ってでも欲しいという物件もあります。この譲渡価格はどうやら物の値段である前に場所を引き継ぐための権利金の要素が強いようです。

次に引渡のタイミングですが、譲渡を希望される方の中には一日でも早くといわれる方が多数存在します。一般論として、新たにお店を始められる方の準備期間と言うものがあります。ちょっとした内装でも手配や内容を決めるまでに時間が必要です。食材や酒類の卸との契約などの準備期間も必要ですから、引き継ぎ迄は最低でも2ヶ月は見込んでおかれた方が無難です。

特に気を付けたいのが飲食店舗譲渡を依頼する不動産会社選びです。どこも同じように見えると思いますし、迷うところだと思いますが、ホームページやダイレクトメールで宣伝色が強い会社は要注意です。例えば高額で譲渡が可能であることをうたう会社などです。買取りもしないのに、高額な提示を口頭でしておいてインターネット上で勝手に営業をする会社が散見されます。なかには相談しただけなのにネット上に売り物件として出されてしまい、管理会社から譲渡を認めない通知を受けてしまい困り果てている方にも何人もお会いしたことがあります。

飲食店譲渡を成功させるには

まず電話で相談です。ちゃんと最後まで面倒を見てくれる会社は、場所や名前を告げなくても相談に乗ってくれます。すぐに場所聞きたがる会社や訪問をしたがる会社、ちゃんと譲渡の流れを説明できない会社はこの時点で候補から外すべきです。

場合によってはその会社を訪問するのも一つの手です。オフィスの様子や接客態度などで感じる部分は多いと思います。その上で譲渡に関する査定や希望金額に沿った営業方法を相談しましょう。

決して高く売れないというのではありません。高くなるほど譲渡完了までに時間がかかるのだと言うことを覚えておいてください。

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