飲食店 大規模修繕で注意したいこととは

最近マンションなどで定期的に行われる大規模修繕に関しあまりいい噂を耳にしません。もっぱら高騰する工事代やたちの悪いコンサルタントの噂ばかりです。先日お聞きした内容を少しご紹介します。2020年7月に東京で開催されるオリンピック・パラリンピックに向けた工事が急ピッチで進む中、職人や労働者の人材不足が深刻だそうです。これは、オリンピックの工事に限らず、各地で起きた自然災害とも深いかかわりがあるようです。東日本大震災の復旧工事、南阿蘇、北海道の震災復旧工事、岡山、北海道の台風による被害の復旧工事など全国各地で最優先とされる工事が頻発しているからなのです。昨今の工事代金の高騰はとりもなおさず人件費の高騰と直結しており、いきおいは収まるどころか増々上がりそうな状況です。

そのような中でも、計画的に行われる集合住宅の大規模修繕工事は、粛々と進められあちらこちらで大きなネットに囲われた姿を目にします。今回は、この大規模修繕を迎える集合住宅や複合施設に入居されている飲食店、さらには物件を所有されている大家さんに向けて工事にさいしての注意点を考えてみたいと思います。

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所有形態により異なる注意点

区分所有建物

分譲マンションが代表格です。大方の分譲マンションでは、新築販売時に修繕計画が策定されており、管理会社と理事会はその計画に沿って工事計画を進めてゆきます。ご存知のように、その計画があって毎月支払う管理費が決められていることも多く、前もって工事の実行時期を知ることが出来ます。ただ、そのことを知っているのは区分所有者である大家さんだけで、賃借人である飲食店は工事が始まるまでなにも聞かされていなかったというトラブルを数多く聞きます。大家さんは、区分所有建物に住んでいなくても、総会の開催案内や総会での決議内容が理事会か管理会社から必ず送られてくるはずです。また来たのかと思わず目を通すクセをつけましょう。そして大規模修繕などの決議情報や、工事の実施時期などテナントである飲食店とも共有するよう心掛けて下さい。

区分所有建物は、専門の管理会社が携わっていることがほとんどで、トラブルになりそうな事項は事前に確認してくれます。その意味では、飲食店にとって不都合なことは何らかの方法で彼らが解決してくれるので安心です。

所有権建物

こちらは、マンションやオフィスビルなど1棟で所有される大家さんの建物内で飲食店を営業するタイプの建物です。見た目には区分所有建物となんら違いはありませんがその運用方法が大きく異なります。区分所有建物の大規模修繕工事が、新築時にあらかじめ計画されているとお伝えしました。ところが、1棟ものの建物の場合そのような修繕計画はほぼありません。どのようにしているのかと言えば、不具合が起こった箇所をその都度修繕して行く手法をとっています。区分所有建物の様に計画的に行う修繕方法を予防保全と呼びますが、1棟所有権建物のそれは事後保全と呼ばれます。この事後保全の場合何が問題となるのか見てみましょう。

事後保全は問題が起こってからの工事と書きましたが、予防保全の場合と違い突然工事が発生するリスクが付きまといます。例えば、突然天井防水シートに亀裂が入り雨漏れが始まっただとか、地震で建物外壁が落下したなど外から見える箇所もあれば、排水管が劣化して水漏れを起こしているだとか高架水槽への揚水ポンプが壊れて突然水が出なくなったなど実際に起きることがあります。さてこのような事態になった時に大家さんはどうするでしょうか。まずは管理会社に調査を指示する→見積もりを取る→発注をする→工事が始まる。さてこれを何日でやってくれると言うのでしょうか。もし揚水ポンプの故障だとすると飲食店は営業できません。大家さんはこれを補償してくれるのでしょうか。次の章でも書きますが、まず補償はしてくれません。やはり普段から営業補償のついた保険に加入して自衛するしかないのです。事態が収束した後に、せめて賃料の値下げ交渉などをしてみるのも一つの手ではありますが。

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飲食店(店子)から見た注意点

入居時の賃貸借契約書には建物修繕にかんする項目が必ず入っています。どの契約書も、大家さんに有利に書かれているハズです。例えば、建物修繕を行う際、借主は協力するものとする。だとか、修理に関して一部貸室の利用が制限されても一切文句を言わないと書かれているはずです。つまり文面だけを見ると飲食店は泣き寝入りです。もし不利益を被った場合は、その額が分かる資料を携えて大家さんか管理会社と正面切って交渉をしましょう。金銭で解決となると大家さんの負担が出ますので、たいていの場合は賃料の免除や月々の賃料の値下げで収まることがほとんどです。

大家さんから見た注意点

事後保全の場合、何かしらの不具合が飲食店に発生している場合、とても険悪なムードになりがちです。調査から完了時まで管理会社や大家さんご本人からマメに進捗状況を伝えましょう。関係が悪化する一番の原因は伝わってくる情報の少なさだと言います。また、外壁などの修繕をする際、建物全体にネットを掛ける場合は、飲食店が営業していることを示す看板や横断幕を掛けてあげることをお薦めします。このあたりのテナントに対するホスピタリティーを欠くと契約更新時に、その時期売上が落ちたなどの理由で交渉の材料とされかねません。お気をつけ下さい。

さて、冒頭に書きました悪い噂のもうもう一つは大規模修繕のコンサルタントと称する人達です。かいつまんで説明をするとこうです。本来のコンサルフィーよりも格段に安く受注して通り一遍の仕事はするのですが、実際に工事を請け負う会社とつるんで高い工事を管理組合に支払わせて法外な利益を上げるという仕組みです。その舞台装置が外壁を囲む足場の金額に仕組まれていると言います。なぜなら、工事が終われば解体され検証できなくなるからです。区分所有にせよ所有権建物にせよやはり施工をしてくれたゼネコンを最初に尋ねるのが実は一番かもしれません。なぜならその建物を一番よく知る会社だからです。

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