飲食店を“売却する”と聞くと違和感を覚える方が多いようです。とりわけ不動産取引に詳しい方々です。まず、「売る」と聞けば土地建物の売買を連想されるようです。昨今市民権を得て来た飲食店の居抜き売買は、賃貸借が基本です。
その上で、内装や設備、厨房機器といった資産を売り買いします。しかし、経験がなければ飲食店の売買イコール居抜き売買とはならないようです。
次に多いのが、賃貸借契約と売買という二つの言葉が結びつかないようです。ですので、賃貸借契約当事者以外に内装や設備、厨房機器などを買うことで第三の権利者が現れるように感じると言います。確かに、飲食店の居抜き物件を扱ったことが無ければごく自然な解釈です。
今回は、飲食店の居抜き物件や取引に馴染みのない皆様に、なぜこの取引手法が市民権を得るまでになったのか、実際にこの手法を利用する現場の声をもとに大きなメリットを解説します。
Contents
飲食店を居抜き店舗のまま売却する3つのメリット
- 原状回復義務を次のテナントに引き継げる
- 解約予告期間短縮(名義変更)
- 売却したお金が手元に残る
飲食店舗売却のメリット①で原状回復義務を次のテナントに引き継げる
日本における不動産の賃貸借契約には必ず原状回復義務がついてきます。
これは不動産にまつわる法律をまとめた借地借家法ではなく民法の規定によるところです。つまり借りたものは借りた状態で返しなさいという規定があり、この法律に準拠しているのです。
さて、この原状回復義務ですが賃貸借契約を解消する際には必ず履行するよう契約書にうたわれています。なのに居抜きという状態で売買をしてしまってよいものなのかという疑問や不安がついて回ります。当然のことだと思います。
そもそも不動産を借りる時に、解約をする際の事を約束したのですから貸主つまり大家さんがノーと言えばそもそも居抜きでの売買は成立しません。ですので日頃から大家さんとは良好な関係を築いておく必要があるのです。
また、飲食店をやめる側からすると内装や設備、厨房機器などを金銭の授受を伴い第三者に売る訳ですから売買という表現になりますが、大家さんから見ればあくまでも原状回復義務の次のテナントへの引き継ぎでしかありません。賃借人であるうちはどこまで行っても壊す義務を負い続けるということなのです。
飲食店舗売却のメリット②解約予告期間の短縮が可能
本来賃貸借契約を終了させることになれば、契約書に書かれている中途解約条項(中途解約特約)に定められた期間は家賃を払う義務を負います。
本来普通借家契約と呼ばれる通常の契約では、契約期間を2年か3年に定め、期間満了後更新契約を結ぶというのが一般的です。つまりこの期間は賃料を払う義務が借主には生じる訳ですが、何らかの事情でこの期間借り続けることが不可能となった場合に、途中で契約を終わらせることができるようオプションが用意されているという訳です。
但し、賃貸借契約を辞めたいと意思表示をしてから3ヶ月~6ヶ月の解約予告期間が一般的です。その期間は仮に不動産を使用することが無くても賃料を払い続けなければならない期間なのです。
では、なぜ居抜きでお店を売買することでこの解約予告期間を短くすることが出来るのかというと以下の様に解されています。
居抜きでお店を売買する(引き継ぐ)という表現は賃貸借契約上は、「借主の名義を変更する行為」と同様にみなされています。
当事者(売る側と買う側)の都合の良い日をもって契約の切り替えを行うと言う具合です。やめる側からすると辞めたいときにお店を手放せるので余計な金銭を掛けずに精神的にも大助かりだといえます。
飲食店舗売却のメリット③店舗を売却したお金が手元に残る
平成に入るまで内装や設備を売りに出すと言う発想はほとんどありませんでした。ただ、銀座や赤坂のソシアルビルに入居するバーやスナックを除けばです。
バブルがはじけた後、飲食店舗を含む1階店舗跡がスケルトンつまり原状回復工事後にテナントがつかないと言った物件が増え始めます。
その理由は、賃料が高かったことに加え、内装工事費にお金がかかるために出店を躊躇するようになったからです。
そこから徐々に内装を残す物件が出始め、今となっては物により数百万の価格で取引されるようになってきました。
本来原状回復工事で坪あたり10万円ほどの工事費を支払わなけれならなかったところを逆に手元にお金が入ることになるのですから辞める側(売る側)は是が非でも居抜きで終了したいと考えるのです。
飲食店舗売却のメリット④不動産業者のメリットもある
飲食店を居抜きで扱ったことがなければいろいろと心配することが多いようです。冒頭に書いたように内装等を売買すると聞いて賃貸借に関係のない第三者が関係者として現れることもその一つです。
また、居抜き物件で内装を引き継いだ賃借人が、引き継いだ状態を原状だと主張するかもしれないと心配することもあるようです。
借地借家法や民法に照らし合せても心配することはなく通常の賃貸借契約書に懸念されることを特約に一つ一つ組み込めばトラブルにはなりません。
なにより心配よりもメリットの方が多いのです。
飲食店の立地が人通りの多い駅前であったり交通量の多いロードサイドであれば居抜きで飲食店を始めたい方はたくさんおられます。需給バランスで言えば基本売り手市場です。
当然、不動産物件の営業期間は短くて済みます。ところが、スケルトンとなってしまうとたちどころに優位性は失われてしまい次の借手を見つけるのに苦労します。
またよく耳にするのが、どのように宣伝をしていいのか分からないという疑問です。
レインズといって不動産会社だけが利用できるサイトがありますが、「居抜き」というキーワードではなかなか見つけてもらえないのが現実です。
飲食店の居抜き物件ばかりを扱うサイトへの登録(有料)もしくは店サポのようなサイトに委託頂ければ(無料)読者の中に物件を欲しいと申し出られる方も多数いらっしゃいます。
~まとめ~
先日不動産業者の方からこんな話を伺いました。飲食店の居抜きについてでしたが、今まで居抜きでなくてもお客様が現れたのにわざわざ居抜きで募集する必要はないとおっしゃってました。くわえて、物件に瑕疵が出ないよう解約ごとに原状回復工事をした方がいいと言うご意見です。
確かにおっしゃる通りです。ただ、全国にチェーン店を展開する大手でさえ飲食店用の賃貸物件は居抜きで欲しいと言い始めています。壊す前に一度大家さんとお話しされることをお薦めします。
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