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3.11 から学ぶ 飲食店 が出来る地域貢献とサバイバルプラン

飲食店-地域貢献

Photo credit: Yohei Yamashita on Visualhunt.com

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3.11 から学ぶ 飲食店 が出来る地域貢献とサバイバルプラン

今年も3月11日がやってきます。その日2時46分どこにいたか、何をしていたか、そしてどんな体験をしたのか毎年のように語られています。お酒をメインに出す居酒屋の様な飲食店ではこのことを熱く語る姿を何人も見てきました。首都圏におりますと輪番停電や直後の飲料水不足、車のガソリン不足などをあげる方が多いのですが、都心から幹線道路を20km以上歩く道すがら焼き付けた光景から次に首都圏で大型地震が起こった時はどうすればよいのか考えてしまいます。今回は、飲食店が311から学ぶべきことを、地域貢献と飲食店そのものがその後存続して行く為には何を考えて準備しておかなければいけないのかを考えて見たいと思います。

3.11 で目にした都内で考えたこと

都内全域で長時間全停電するという経験は戦時中か関東大震災以来ではなかったのでしょうか。まさか東北地方で大きな津波が発生してようとは思いもしない首都圏民は、すべて止まってしまった電車に乗ることもできずひたすら歩いて家路を急いだのです。冬の寒さのなか二つのことに気づかれた方も多いと思います。食べる物、食べる場所がないと空腹を抱えていたこと。そして公共のトイレが少ないということ。その二つを感じた人が次に思い至るのが、こんなにコンビニエンスストアーがあるのにすべて扉を閉ざしているのは何故だと。突然の震災と停電でレジは動かない、冷蔵庫は冷えないなどオペレーションや衛生上の問題もあったと思いますが、本質的には危機管理に関するコンビニのマニュアルが存在しないのだろうと考えておりました。

さて、もう一つ大きな混乱を招いた予想もしないインフラのダウンが携帯電話の電波ではなかったでしょうか。社員の安否、家族との安否、確認の指示もできない無力感を味わったものです。停電と携帯電話が不通というだけで、物理的な破壊は起っていないというのに。

地震発生 首都圏の飲食店が果たすべき機能、装備すべき備品とは

首都圏で500万人いた帰宅困難者

コンビニがこの帰宅困難者と呼ばれる人たちに向けて出来うるサービスがあると思います。なにも停電時に備えて発電機を義務づけるだとか言うことではなく、オフィスビルやマンションに設置されているようなバックアップ用のバッテリーを付けさせれば大幅な改善策となります。断水していなければ残置灯をつけることでトイレは使用できますし、パンや即席麺、水などを販売することも可能になります。なにより、真っ暗な通りで灯りがあるだけで安心感が違います。

実はこれと同じことが飲食店でも出来るのです

地域でのアライアンスとBCP

地域でのアライアンスを組む単位は町内会、商店街、街コン開催店同士など物理的に近い距離にある飲食店同士です。業種も規模も入居している建物構造も異なるお店がアライアンスを組む意味はいくつかあります。

・新耐震ビルなどに入居している建物被害の少ない飲食店を相互利用

・食材や水、お酒などを持ち寄ることで早期運営再開が可能

・小型店舗では準備できない、発電機や燃料などをスペースに余裕がある店舗で保管

・周辺住民に向けて炊き出しや食料を提供する駐車場などの確保が容易

知っ得 突然の地震 その時飲食店舗はどうする

無料で提供するのか少額でも販売の形式をとるのかは事前に決めておかれればよいかと思います。それぞれが持ち寄った食材で作ることが出来て、茶わんや箸なの必用が無いラップに包まれたご飯や直ぐに悪くならないような煮物など工夫はいくらでもできると思います。

折角買い入れた食材を停電で廃棄することなく活用できますし、なにより地域貢献になります。

地域でのアライアンスが組めれば震災直後よりも復旧するまでの間どれぐらいの時間がかかるのか分かりませんが、被災して開店出来なくなったお店でも店舗を間借りできますので生活の基盤を失うことにはなりません。また、食材を仕入れる場合でも、飲食店それぞれが注文をして運んでもらうということは不可能ですが、アライアンスを組んでいる共同体なら震災後から食材を運んでもらうことは可能です。その為には、どのような工夫や具体的な受け渡し方法があるのか食材卸しと協議をして約束を取り交わしておけばいつ何時首都圏を直下型の地震がおそってもすぐに前を向いて再スタートを切ることが出来ます。

これらの一連の作業をBCP=ビジネスコンティニュイティプランと呼び東日本大震災後から大手企業が積極的に取り組んできたことに通じるものです。

本来的には、サプライチェーンが分断されないよう、生産や指揮系統が失われた場合に備えてどのようにバックアップするのか予め決めておくことを意味しています。仮に大規模な地震や災害が発生して機能が失われても別の場所で肩代わりしてすぐに元の状態に復帰させる為の仕組みをBCPと呼ぶのです。このBCP、いくつかの拠点を有する企業だけにむけて語られてきたのですが、小規模な飲食店舗でも物理的に近い距離にあるお店同士が機能や役割を分担することで、同じような効果が得られると考えています。ポイントは発起人や取りまとめをする中心人物の存在です。311をむかえ、もし東京で同じような地震が起こったらどうするのかと漠然とした不安に駆られている飲食店経営者の方はたくさんいらっしゃるはずです。お隣の店舗からでも声をかけることを皆さんが始めれば意外と話は簡単にまとまるかもしれません。一度ご近所で話題にしてみて下さい。

311から「災後」と呼ばれ始めた日本。それは終戦を迎えた日から「戦後」と呼ぶようになったのと同じ表現です。ただ大きな違いがあります。戦争と違いこの国においてはいつ何時大型地震に見舞われるかわからないからです。その意味では、戦後復興と呼ばれるように焼け野原から立ち上がった力強さを参考にするよりも、予想できない脅威に対し減災と直ぐに再開できるBCPの充実が重要ではないかと考えます。

知っ得 地震 で被災、飲食店が絶望しない為にやれることとは

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