突然の地震 その時飲食店はどうする
皆さまに愛さえる飲食店であれば、あるほど 突然の地震に対してなにかできないかと考えます。この記事は突然の地震対策についてご案内いたします。
時と場所を選ばない地震。
令和6年1月1日(月)16時10分頃、石川県能登地方で最大震度7を観測する地震があり大きな災害をもたらしました。
災害はどこにいても嫌なものですが、もしご自身が経営するお店の営業時間中に発生したらどうしますか?
地震の発生は揺れだけではありません。
今回の地震で4万世帯に及ぶ停電が発生しています。大きな津波被害もありました。日頃からあらゆるリスクを想定して準備をしておく必要を改めて感じました。
現在飲食店を経営している皆さん、これから飲食店を始めようと考えている皆さんも含めて一度落ち着いて考えて見たいと思います。
大きく分けて3つのポイントがあります。
- 飲食店で地震の事前対策
- 飲食店で地震発生時の対応
- 飲食店で停電時の対応
- 地震後飲食店を離れる時の注意点
Contents
飲食店で地震の事前対策
対策その① ・・・ 落下物を無くす
地震の揺れによって一番身近な危険は落下物です。まず、客席を見渡して座席より高い位置にディスプレイしてある置物や絵画などの額縁は落下の危険があります。
いくら不意の地震とはいえ、お客様にケガをさせてしまったのでは心苦しいものです。ここは一つシッカリと固定しておいてください。
対策その② ・・・ 収納棚には扉とラッチをつける
次に厨房です。
小さな飲食店舗は収納スペースが少ない分どうしても高い場所を利用しないとお皿やグラスなど収まり切りません。調理をするうえで、あまり移動せずにお皿がとれるよう手を伸ばせば届く範囲に収納している飲食店をよく見かけます。
望ましいのはアルミ製の引き違い戸が付いた吊戸棚にして頂くのが良いのですが、出し入れが面倒だ、中が見えない等効率の悪さを理由に引き戸を外されている方が結構いらっしゃいます。
やはりちゃんと戸をつけて頂くことをお薦めします。
また、開き戸の場合であればご家庭同様ラッチ機構の付いたものにして、地震で中身が飛び出してこないよう対策をしてください。
対策その③ ・・・ Barなどのカウンター
最後にBarなどのカウンター内です。
Barの雰囲気を決定づける、壁にうず高く飾られた洋酒の数々。重厚なカウンターとともに大切な装飾の一部となっています。今回の様な地震が起こった際に高級モルトのボトルが棚から落下して大変な被害が出たと聞いたことがあります。併せて、バカラのような高級グラスも同様の被害にあわれたとのことです。
知り合いの方にお伺いしたところ、ボトル棚はボトルの高さの3分の1ぐらいのところに落下防止用のパイプ(紐)を通し、見栄えが悪くならないよう工夫しているそうです。
飲食店で地震時の対応
対策その① ・・・ ガスの元栓を閉める
地震を感じたらすぐにグリルやオーブンの火を消し、ガスの元栓を閉めてください。
最近はマイコン付きのガスメーターが普及していますので、震度5以上の揺れを感知すると自動的にガスをシャットダウンしますが、是非習慣づけてください。
対策その② ・・・ 慌てて屋外に飛び出さない
地震時のマニュアルなどでよく書かれているのですが、大きな地震の際でも主要振動は1分程度がほとんどです。
慌てて行動を起こすよりもまず「1分間」は様子を見ましょう。
対策その③ ・・・ お客様を安全な場所(室内)へ誘導する
もし強い揺れが続くようであれば、窓ガラスや大きな照明器具の下を避けて安全なテーブル、場所までお客様を誘導してください。
外に出るのはその後でも十分遅くありません。
よく不動産や建築の業界で言われることですが、昭和56年6月に建築基準法が改正になり新耐震基準が導入されております。もし地震発生時に新耐震基準の建物に入居されていたならば、むやみに外へ出るより建物内に留まっていた方が安全です。
もっとも、棚や落下物を避けて安全な場所であることが前提ですが。
屋外に出る際の注意点
- 上部からのガラス片などの落下物
- 足元に上部から落下したガラスやコンクリート片など
揺れが収まったからと言って不用意に外へ出るのはとても危険です。
オフィスビルなどの密集エリアの場合、割れたガラスが上から降り注いでくる可能性があります。最初の揺れでひび割れたものがその後の余震で落ちてきます。
これは外壁も同じです。飲食店内に座布団やクッションの様なものがあれば頭部を守るものとして頭を押さえながら上部に注意を払い外へ出てください。
対策その① ・・・ 飲食店にあるクッションでお客様の頭部を守っていただく
外に出る際も地面に散乱するガレキで怪我をしないよう注意を払い、落下物から身を守る為に出来るだけ建物、塀から離れて非難するようにしましょう。
東日本大震災の際、多く方が歩道ではなく大通りの中央分離帯に避難していた光景を覚えていますが、大きな企業でも同じよう避難誘導をしています。
対策その② ・・・ 建物、塀から離れて非難する
飲食店で停電時の対応
地震発生時に停電になった場合
対策その① ・・・ 誘導灯の設置
決められた場所に誘導灯を設置しておけば慌てることはありません。お客様には着席のままお待ち頂き、停電時用のキャンドルを用意すればひとまず混乱はさけられます。
一旦外に出て停電の状況を確認します。周辺は何ともないのに自分のお店だけが停電している場合、ブレーカーが何らかの原因で落ちた可能性がありますので復旧してください。
対策その② ・・・ 正確な情報をお客様に伝える
もし、周辺も含め停電になっているようでしたら、所轄の電力会社に電話で連絡をいれ停電の原因と復旧の見通しを聞き、その上でお客様に停電の情報を正確に伝え安心して頂きましょう。
対策その③ ・・・ 厨房機器のスイッチをoffにするかブレーカーを落とす
次に厨房です。必ず冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、エアコン、フライヤー、茹で麺機などの機器類のスイッチをOFFにしてください。
なぜかと言うと、電気が復旧した際に一気に電気を使い過電流が流れることが考えられます。ブレーカーが落ちるばかりか機器類に不具合が生じることがあります。気を付けてください。
対策その④ ・・・ 清算をする
もし長時間停電が続くことが判明した場合ですが、注文途中のオーダーはキャンセルさせて頂き清算をするのがよいでしょう。
コース料理などはお店の判断で割り引いた金額を決め料金を申し受け、後日正式にご来店いただきたい旨お伝えしましょう。
対策その⑤ ・・・ 冷蔵、冷凍食材を傷みから守る知恵
今度は厨房です。夏場の冷蔵庫や冷凍庫は電源が落ちるとすぐに庫内の温度が上昇し始めます。
庫内やいくつもの機器にバラバラに収納されている食材を出来るだけ一か所にまとめ、製氷機に残っている氷をビニール袋に小分けしてから庫内に詰めるようにしましょう。
2時間ぐらいであればしのげると思います。作業が済んだら極力ドアを開けないようにします。
対策その⑥ ・・・ 復旧方法を日頃から学んでおく
電気復旧時の注意点ですが、厨房機器によってはスイッチを入れるだけで再起動するものもあれば、復旧ボタンが再起動スイッチ代わりになっているものもあります。
その時になって慌てなくてもいいよう日ごろから確認しておきましょう。
地震後お店を離れる際の注意点
対策その① ・・・ 大切なデータや書類はひとまとめにしておく
地震の規模によっては震災がもたらされる可能性があります。
津波、火事、倒壊などがそれにあたります。
もしそうなった際に飲食店舗を再度オープンさせる為のデータを持って出られるよう普段から工夫をしておきたいものです。現金は言うに及ばず、通帳や印鑑などもです。
手提げ金庫などにひとまとめにしたり、雇用契約書やタイムカードなども重要です。なによりも顧客データや従業員の緊急連絡先のデータなども持って出られるようにしておく必要があります。
常に所定の場所を決めておき、持ち出し用の袋まで用意しておければ完璧です。
「備えあれば憂いなし」説明するまでもなく普段からよく耳にする言葉ですが、こういう時、先人の知恵としてあらためて重く響きます。