飲食店舗専門情報サイト 店サポ

飲食店舗専門情報サイト

飲食店の大家さんへ「外国人テナント」は怖くない!これで安心の心得とは

飲食店-外国人-大家

Photo credit : daizi_ikeda on Visualhunt

日本人であれば家に帰ると靴を脱いで生活をします。それはなぜですかと外国人に聞かれたことがあります。とっさに口をついて出た答えがHabitつまり習慣でした。

後日、日本の文化を海外の人に知ってもらう為の本をながめておりましたところ偶然にもその答えを知ることが出来ました。

その本曰く、日本人が家の中で靴を脱ぐのは「儒教」の教えから来るものであると。確かに孔子に始まる儒教は2000年も前から強く日本に影響を及ぼしてきました。礼節を重んじる日本人気質はここに由来しているといえるでしょう。

外国人をテナントとして迎えるにあたり、外国人と我々日本人との違いはどこに根差しているのかを考えて頂く為にこのエピソードからスタートしました。

実際にあったトラブル、彼らの気質など本当の姿を知る大家さんが少ない中で今回は外国人テナントを迎える大家さんの心得について考えてみたいと思います。

Contents

海外の賃貸借事情はいま

日本で暮らす我々にとって不動産の賃貸借は借地借家法のもと借りる側が手厚く守られています。大家さんのなかには一度貸したら戻ってこなくなるので賃貸はお断りとおっしゃる方までおられます。では昨今のアジア圏の賃貸事情について簡単にみてみましょう。

まず全般的に言えることですが、海外には日本の借地借家法にあたる法律は存在しません。圧倒的に大家さんつまり貸す側が力を持っています。

契約を交わして入居しても突然退去を迫られることがザラにあります。より高く貸せるテナントが現れた時などです。

とは言え契約書を交わしているのだからそんな無茶なことはさすがにないだろうと思われるかもしれませんが、あちらでいう契約書は、借手である「テナントが守るべき義務」だけが書かれており、大家さんが黒と言えば白でも黒くなるという世界なのです。

中国を筆頭に東南アジア圏は皆そうだと言います。本来、海外の賃貸借契約の期間は長期の契約が主流で、日本の様に途中で解約するというオプションはありません。

逆の言い方をすると、オフィス系など大家さんに出て行けといわれない限り家賃を払い続けなければならないのも事実です。

大家さんがドッグカフェ・猫カフェを入居させる時に注意すべきこと~使用細則案~

飲食店における外国人テナントの実態

テナントに外国人を入れたくないという大家さんがあげる理由に「言葉の壁」があります。つまりコミュニケーションが取れないからだと言います。

実はそのようなことはほとんどありません。まれに飲食店の外国人オーナーは日本語が堪能でも使用人がほとんど日本語を話せないということがありますが、日本語の契約を理解し、日本人を相手に料理で稼いでいくわけですから基本的なコミュニケーションはほぼ心配ありません。

アジア圏の外国人の中ではネパールの方に比較的流ちょうな日本語を話される方が多いように思います。

中国から来ている外国人オーナーは国土の広さゆえ出身地で気質が大きく異なるようです。ともかく交渉事が好きなお国柄ですのでいろいろと注文を付けてきます。

大家さんが甘い顔をするとどんどん要求が上がってゆきます。できること出来ないことはハッキリ伝えた方が良いでしょう。

一度ダメだと分かると逆にそれ以上は言ってこないのもまた彼らの気質かもしれません。

先程海外の賃貸事情で大家さんが絶大な力を持っていると申し上げましたが、そのせいもあってか外国人テナントで賃料を滞納する方はほとんどおられません。

また日本人との違いで一番大きいのが見切りの早さです。お金をかけてオープンした飲食店も見込みがなければすぐに解約をします。

その姿は、日本人が考える職業としての飲食業ではなく、投資としての飲食業の様にもみえます。

外国人テナントに向けた重要事項説明書、契約書は慎重に

少々ネガティブなエピソードを紹介します。トラブルの内容はともかく、たまにあきれる外国人テナントが存在します。

大家さん側がテナントの契約違反に対し改善要求を出すと、第一声が「知らなかった」「聞いていない」というのが常套句です。

更に改善を求めると最後は「日本語はよくわからない」とまで言い出す強者も存在します。

さて、これを聞いてやっぱり外国人テナントは厄介じゃないかと思われるかもしれませんが、よくよくテナントの言い分を聞いてみると悪意があったり、ダメを承知で契約違反をしている方はほとんどおられません。

大家さんに断りもなく工事を始めただとか、許可なく壁に穴をあけたなどよく耳にしますが、これは契約時に大家さんや管理会社で説明しないことに起因しています。

なんども言いますが、大家さんを怒らせると追い出されるという国の方々ですからわざわざ大家さんの機嫌を損ねるようなことはしません。彼らの言う「聞いてなかった」は実は本当なのです。

共通認識のある日本人同士と違い、やってはいけないことや必ず許可を取らなければならない事項は重要事項説明か別紙で予め説明しておくことで不要なトラブルは防止出来るでしょう。

例えば以下の通りです。

  • 看板設置場所・数の許可・制限
  • 軒先のノボリなどの許可・制限
  • 工事届
  • ゴミ収集方法
  • 共用部などの使用方法と制限
  • 営業時間の制限
  • 解約手順(解約届・解約予告期間・敷金返還時期)

衛生環境一つとってみてもアジア圏に比べ格段にレベルの高い日本では、母国の基準に比べ非常に厳しい内容ととらえられています。

その一つに定期的な害虫駆除などがあります。彼らの基準から言えば必用ない出費だと言いたげです。でも最初に約束をしておけばちゃんと守ってくれるのが外国人テナントなのです。

~まとめ~

今後アジアで人口が増え経済力を持つ国の中には比較的気温の高い国が多いせいか、強い火力と油で香辛料を多用する料理が多くみられます。

ダシで味付けをしてきた日本人には味もさることながら、調理中の煙や臭いの強さに戸惑うこともあります。

働き方改革で海外特に東南アジアの労働者が今後日本にやってきます。そんな彼らの為の飲食店や彼ら自身が始める飲食店が増えるにつれ外国人テナントも増えて行くことでしょう。

彼らと上手く付き合ってゆくには最初の契約内容の理解が全てです。

最後にもう一つ、日本人ならわざわざ契約書に書かなくても当たり前のことでも外国人テナントはそうはいきません。「契約書に書かれていないことに義務は負わない」ということが大前提ということを大家さんは忘れないでおいてください。

飲食店テナントが家賃を2ヶ月も滞納したら?大家さんがとるべき行動とは 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加