飲食に関わる方なら「QSC」という言葉を一度は耳にしたことがあると思います。マクドナルドの創業者レイクロックがチェーン店を運営する上で最も重視した言葉です。
クオリティー=Quality・サービス=Service・クレンリネス=Cleanlinessの頭文字をとって作られています。日本でもクオリティーやサービスという言葉は馴染みがありますが、クレンリネスとは一体なんなんでしょうか。
実は「清潔さ」を表す言葉です。厚生労働省が保健所をしてこの清潔さを守ってくれていますが、レイクロックが唱えたクレンリネスよりは衛生つまりHealthの方によっている感覚です。
日本の飲食店ではクレンリネスをどこかに置き去りにしてきたのではと思いたくなるお店がまだまだあります。今回は飲食店舗にまつわるクリーニングの実態とコストについて考えてみたいと思います。
Contents
飲食店がクリーニングをすべき箇所は?
飲食店内でクリーニング対象となるエリアは大きく3つに別れます。
- 客席
- 厨房
- トイレ
さて、それぞれにさらに詳しく見てみましょう。
1.客 席
- 床
- 椅子・テーブル・カウンター
- 照明器具
- ガラス(入口・窓)
- エアコン
2.厨 房
- 床
- レンジフード
- グリスフィルター
- 有圧扇
- グリストラップ
- 側溝
- グレーチング
- 厨房機器(シンク・コンロ・作業台等)
- 建具(棚等)
3.トイレ
- 便器・便座
- 床・
- 化粧ガラス
- ボール(手洗い)
3つのエリアだけでもこれだけの項目が出てきます。
飲食店のクリーニング代を安くすませる方法
飲食店のクリーニングを請け負ってくれるプロの清掃会社では、会社によって特色を出しています。
例えば、先程あげた項目一つ一つに金額設定をし自由に選べるカフェテリア方式の会社もあれば、客席の床清掃やエアコンのフィルター清掃それに照明器具などの清掃をセットにしてオールインワン販売しているところもあります。
金額的にはお店のサイズにもよりますが、小型店でセット価格30,000円~50.000円程度です。忙しくて年末の大掃除もままならないというお店にぴったりです。
クリーニングで一番金額を左右するのが「人件費」です。
単体でクリーニングを別々に頼めばその都度人件費がかかり割高となります。それに比べ一人で一日のうちにいくつもクリーニングを終わらせることが出来たならそちらの方が断然安上がりです。
結果、クリーニングをお願いするならまとめてお願いする方がコストパフォーマンスは高くなると言うことを覚えておいてください。
飲食店のクリーニングは掃除機だけで十分といえるのか?
答えはNOです。
クリーニングは冒頭に掲げたQSCのうちCのクレンリネスの部分です。清潔さと書きましたが、ただ見た目の綺麗さだけでは飲食店の場合不十分です。
菌の繁殖防止やゴキブリやネズミといった害虫害獣対策もこのクリンリネスに含まれます。ゆえに床の掃き掃除や掃除機による掃除だけではこれらを拭い去ることは不可能なのです。
そこで、役立つのがスチームによる床清掃の併用です。
高温、高圧のスチームクリーナーを使用することで、殺菌効果が生まれます。暗いもの陰でじっと隠れているゴキブリなどの駆除にも効果を発揮します。
また什器やシンクの裏側に産み付けられた卵にも効果がありますので、清掃箇所によりスチームクリーナーのノズルを替えて使用しましょう。
飲食店のクリーニングは想像以上の作業量
エアコン一つとっても業務用の分解清掃は大変です。トイレの便器などの陶器に磁器タイル、天然大理石を使った床など全て使用する薬剤が異なります。
家庭用でさえ混ぜると危険なガスを発生させる薬剤も、業務用となると更に強くなります。ですから、素人が薬剤だけ買ってきて自分でクリーニングをすると言う訳には行きません。
実際に現場でクリーニングを拝見しますと、清掃の順番や使用する薬剤など如何に効率よく尚且つ安全に済ませるか各社のノウハウがそこにはあります。
飲食店のクリーニングを最初から最後まで見ておりますと、正直価格以上の作業量ではないかと思えるほどです。
飲食店はユニホームのクリーニングも忘れずに
飲食店でクリーニングと聞いて、ユニホームのクリーニングを思い浮かべる方も多いと思います。今回は、飲食店のハード部分についてのクリーニング、クレンリネスを中心に話を勧めてきましたが、このユニホームのクリーニングも重要ですのでチェックします。
まず、厨房の調理服をわざわざ白にしている理由をご存知でしょうか。汚れが目立たない色で十分だと考えがちです。
これには理由があります。常に清潔な身なりで調理をしているかチェックできるからです。もし、汚れて雑菌が繁殖しているような調理服は、白だけにだれの目にも明らかです。
厨房服やホールでサービスをするスタッフのユニホームなど、既成品を買い求め、汚れたらクリーニング店に出して綺麗にするのが一般的ですが、他にも調理服やホールスタッフのユニホームに関するサービスがあります。
- レンタル
- リース
レンタルは借りるのですから、汚れたら返します。また同じデザインの違う服をレンタルするといった具合です。例えるなら貸しおしぼりと同じ発想です。
これに対してユニホームのリースというのは、飲食店ごとにデザインしたり、名前を入れた新品をリース会社が用意してくれます。これを月々で料金を払う場合とクリーニングをセットにする場合と2通りがあります。
レンタルとリースどちらがお得かと気になります。この点イメージを大切にする飲食店ならリースで新調した方が良いでしょう。小型店ではレンタルの定期契約を結び週に1回か2回、回収と配達をお願いするといいでしょう。
~まとめ~
閉店間際の洋食店でラストオーダーをお客様に給仕した瞬間からガスコンロを囲むステンレス壁、レンジフード、グリスフィルターなどを一斉にクレンザーで磨き始めるお店に入ったことがあります。伺ってみると毎日の日課として欠かさずやっておられるとのことです。なる程厨房は、どこもかしこもピカピカです。
またある居酒屋ではお客様が帰られたあとの片付けをアルコールで消毒しながら入念に行っているお店もあります。
いずれも本来は裏方の仕事なのですが、「うちはここまでやっています」といういいアピールでもあるのかなと感じた次第です。
クレンリネスは何も隠れてやれとはレイクロックも言っていません。
逆に営業時間内で定期的に作業するようマニュアル化されています。ここが重要なポイントで、クレンリネスの基準を人に委ねるのではなく、マニュアル化し定期的に行うことが一番のクレンリネスだと言っている点です。このあたり日本はまだまだ遅れていると言わざるを得ません。