飲食店の閉店 処分の仕方と相談相手

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希望に燃え開業準備をしている時はいろいろな方面からアドバイスを頂くものです。融資、不動産、工事、メニュー等々数えるときりがないほど多岐にわたります。それもそのはず、それぞれに商売の思惑が絡んでいるからなのです。不動産は手数料、工事会社は工事代金と言った具合です。更に、彼らに飲食店を始める方を紹介した見返りに紹介料を期待する人まで登場します。またこれらをトータルで指南をするコンサルタント会社や個人が数多く存在しますが、ほとんどが「開業屋」と呼ばれる紹介料狙いの方々です。

そんな輩とは別にご自身で開店までの道を切り開いていかれる方も数多くいらっしゃいます。飲食店開業に向けたノウハウ本やネットに数多くあがっているサイトを参考にしていらっしゃいます。便利な世の中になったものだとつくづく思います。

さて、この開業に向けた情報量に比べ閉店に関するアドバイス、書籍、ウェブサイトの情報量は極端に少なくなります。この理由をあげるなら、これまで閉店にまつわる関連ではあまり商売にならないと思われていたからです。

そこで今回は、閉店の際にお店の処分に困った時や事前にどこへ相談すべきなのかを改めて考えてみたいと思います。

飲食店 突然の閉店 原状回復工事をして解約する費用を考える

飲食店の閉店では原状回復工事をしない

飲食店を処分(閉店)する際に一番重要なことは、賃貸借契約にうたわれている原状回復工事をせずに済ませることです。契約行為の重要性をよく理解されている方ほどにわかに信じがたい内容だと思います。そこは後で説明するとして、まず原状回復工事が無くなる経済効果を考えます。

飲食店のオープン当初、内装、設備をスケルトン(床・壁・天井など一切の仕上げがなされていない下地がむき出しの状態)から作り上げた際、内容にもよりますが15坪程度の飲食店で約800万円から高いもので1,000万円以上のコストがかかったことでしょう。この一度作り上げたものを最初の何もない状態(スケルトン)に戻すのですからこれまた相当なお金がかかります。またただ壊すだけではなく、壊したものは産業廃棄物として特別な手続きを経て産廃業者に引き取られてゆくのです。この際坪当たり10万円程度は覚悟する必要があります。15坪なら150万円となります。もともと入口のなかったところに外壁をくりぬいて入口を作っただとか、多層階の建物で屋上まで立ち上げたダクトを撤去となれば更に金額は上乗せされてゆきます。お店を辞めるさいにこれほどの金額がかかることをご存知だったでしょうか。もし手元にまとまった資金が無ければ、大家さんに預けてあった敷金から捻出することになります。閉店後の活動資金に敷金の返還金を当て込んでいたとすると大きな誤算が生まれます。

なぜ原状回復工事が免除となるのか

最初にお断りしておきますが、ほぼすべての賃貸借契約書にうたわれている原状回復義務が100%無くなると言うことはありません。あくまでも賃借人から賃貸人である大家さんへのお願いにより承諾を取り付けた結果です。

さて、どのようにその承諾を取り付けるのかというと実務的には「名義変更」と呼ばれる手続きになります。

この名義変更ですが、賃貸条件、契約期間は現在のものを引き継ぎ、敷金などの返還も行わない手法です。ただ原状回復義務の引継ぎなどを契約書とは別に締結する場合があります。

もう一つは、第三者を連れて来て賃貸借契約の切替をお願いするケースです。名義変更と違う部分は、契約期間を引き継がず別途契約を締結します。場合によっては賃貸借条件が変更になることもあります。敷金の返還なども通常通り行われます。原状回復工事については名義変更同様義務の引継ぎを書面で約束するのです。

これらの手続きを経ることで閉店によるコストをかなり削減することが出来ます。

閉店の相談相手はだれ?

まず浮かぶのが不動産会社に勤める友人でしょうか。そこで気をつけて欲しいことが一つあります。大手と呼ばれる不動産会社にお勤めの方はほぼこのスキーム(仕組)をご存知ないと思います。そればかりか契約書に書いてある条文は曲げられないとおっしゃるかもしれません。普段からそのような精神で契約書と向き合っているからなのです。逆を返せば、今回のようなお願いは大家さんが大手やファンド所有物件だとするとまず望みはないと思ってください。

次に、浮かぶのが同じ不動産会社でも、普段のトラブルや契約更新業務を受け持つ管理不動産会社です。ただ、不用意に相談を持ちかけると通り一遍の答えつまり契約書通り原状回復工事をして退去してくださいと言われかねません。何故なら大家さんの承諾もなしに彼らの立場で契約書の文言に関わるコメントが出来ないからです。もし相談するにしても具体的に話ができるようになってからの方が無難でしょう。

名義変更相談事例

現賃借人Aさんは原状回復工事を次の賃借人に引き継いでお店を処分することを考えています。誰か引き継いでくれないかと考えた挙句、そのお店で店長として働くBさんに相談をしました。予てより店を任されていたBさんはチャンスとばかり快諾をします。ただAさんが大家さんに預けている敷金と不動産会社に払う手数料、大家さんには礼金も用意する必要があります。そのお金は公庫から借りられることが分かり二人は管理会社を訪ね事情をお話し名義変更のお願いをしたのでした。結果大家さんからも承諾が取れて晴れて引継ぎとなりました。

名称で異なる 飲食店舗売買取引の実態

さて、飲食店を処分しようとネットで検索をすると、「お店が売れます」や「飲食店高価買取り」と言ったサイトを目にすることでしょう。ここには二種類の不動産会社と二つのシステムが関わっています。

  1. 飲食店舗を居抜きのまま仲介する不動産会社
  2. 飲食店舗を居抜きのまま転貸をする不動産会社(サブリース会社)

簡単に二つの違いを説明します。

まず前提となる「居抜き」と言う文言ですが、不動産用語で内装や設備などを残したすぐに使える状態の不動産物件を指します。つまり原状回復をしないで人だけが出て行く状態を表しています。この状態で次の賃借人を探す活動をして手数料を稼いでいるのが仲介をする不動産会社です。その際の仲介とは賃貸借だけではなく、内装設備も次のテナントに売ることでそちらの手数料もとります。少しでもお金になるのであればと利用する方も多いようですが、実際話がまとまって大家さんに相談に行くと断られてしまい途方に暮れたという被害者も多くおられます。

もう一つの不動産業者はサブリース業者とも呼ばれています。彼らはお店を処分したい方からお店を居抜きで買取、第三者に転貸をすることで利ザヤを稼ぐ業態です。こちらも大家さんからお断りを受けることが多いのですが、双方ともそもそも居抜きでの引継ぎを大家さんが認めてくれるかどうかも分からない状態で任せっきりにするのは危険だと言えるでしょう。予め確認するか、そのリスクを知った上で利用しましょう。

やはり相談に伺う一番の相手は大家さんです。名義変更の時の様に筋道を立ててお願いすればかなりの確率で承諾が得られることでしょう。但し普段からのお付き合いが出来ていればの話しです。つまり、お近くや上層階に住まわれていて、たまにお店を利用してくださったり、季節のご挨拶や賀状をしたためるなどのお付き合いがちゃんとできていれと言うことです。逆に言えば、出来る事ならばそういったお付き合いのできる大家さんの物件を選んで飲食店を始めることができれば、後々も安心と言えるのではないでしょうか。

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