Summaryーまとめー
- 冷たいか温かいかを選択
- 席毎の温度差、風量を知る
- 猛暑メニューの開発
- 時にはゲーム感覚で
- 耳から癒す
- 視覚から情報を届ける
- 五感に訴える
熱中症により搬送される人が1年で一番多い7月。これまで東西に長い日本では、離れた場所で起こっている猛暑は身近に感じられないと言うのが一般的でした。
ところが北海道から沖縄までほぼ同じ気温に見舞われることが常態化しつつある今、我々は早急に対応して行かなければならなりません。これはもう異常気象ではないのです。
連日最高気温が35度前後の日本列島、飲食店がすぐにでも出来る売上アップの対策は、暑い日はあのお店に行こうと思って頂ける目的作りなのです。
猛暑で飲食店が持つべき発想
- 逆転の発想
- ホスピタリティー
- ゲーム感覚
- 五感に訴求
Contents
1.「冷たい」のにしますか「温かい」のにしますか?
アイスコーヒーに冷やし中華など普段は温かくして出しているメニューを夏場は冷たくして出すというのは飲食業界の定番です。長らく業界的には夏はそれで良いとされてきましたが、ここ数年変化が出始めています。
その分かりやすい例が夏場に売れる温かい「おでん」です。特にオフィス街にあるコンビニエンスストアほどその傾向が顕著だと言います。
ここでオフィス街とあえて書いたのには理由があります。このところの猛暑にあって一日中オフィスにいる内勤の方も多数いらっしゃいます。
彼ら彼女らは一見暑さと無縁の様に思いますがさにあらず、外気の温度が高い故に低く設定された室内温度の犠牲者だったのです。勤務時間内で冷えてしまった身体が求めるままに温かいおでんに走るのです。
ここでお分かりの様に、暑いからと言って冷たいものを出せばよいのかという疑問がわいてきます。
例えば、
- 冷たいお茶かお水、それとも温かいお茶
- 冷たいおしぼり、それとも温かいおしぼり
- 冷えたビール、それとも常温のクラフトビール
最初に選択肢を用意することがそのままホスピタリティーです。また、選択肢があることを伝え選んでいただけるということがサービスなのです。
2.風の当たらない席をご用意しましょうか?
夏場の女性は意外と冷風に弱いものです。
猛暑の中を歩くことに焦点を合わせているため冷房の効いた電車内やオフィス、冷えすぎた飲食店内は敬遠しがちです。さて、この特性を踏まえた上で飲食店側は何ができるでしょうか。
飲食店の空調設備にはさまざまなタイプがあります。天吊り型、壁掛け型、床置き型、それらの組み合わせ等々お店のレイアウトで何通りもの組み合わせがあります。
逆を返せば、それだけ空調機が本来の性能を発揮していないと考える方が自然です。これにより多くの弊害が起こっています。
空調の死角となるエリアに合わせて温度設定をすると、他のエリアが冷えすぎてしまうと言うのがそれです。逆に直接風が当たる場所が冷えすぎる為温度設定を上げたり風量を絞ることで今度は店内が暑く感じられてしまいます。
ここで一工夫です。
メインのエリアを中心に個室やエアコンの死角になっているエリアの体感温度をチェックしましょう。きっと冷えすぎるエリアにあまり冷えないエリアがでてくるはずです。
例えばノースリーブの女性客は直接風が当たらないエリアに座って頂いたり、外回りをしてともかく涼みたいと言うビジネスマンには、風がガンガン当たる場所に座って頂きましょう。発想を変えればこれまで空調能力で悩んでいたことが、ホスピタリティーに変わります。
3.夏バテ防止メニューとその効用をアピール
人間が食べるものを美味しいと感じるのは、味覚だけではなく視覚や料理にまつわるストーリーにあると言われています。高級店で食材や調理法を説明してくれるのも同じ理由からです。
さて、猛暑で疲れた体に良いものは何なのか。真っ先に思い浮かぶのはウナギです。ビタミン、ミネラル豊富なウナギは万葉の頃から日本人に食べられてきた栄養食材です。昨今シラスウナギが不漁で価格が上昇してしまい大衆魚で無くなってしまったのは残念です。
ここは「猛暑+土用+疲労回復」のストーリーを飲食店が打ち出すことでお客様が来店する目的となります。
例えば、「豚もも肉+ニンニク」
豚もも肉に多く含まれるビタミンB1には、炭水化物(ごはん)に含まれる糖質をエネルギーに変える効果に加え、老廃物を代謝して、疲労を回復させてくれる効果があります。
ビタミンB1には、体内のアルコールを分解する働きもあります。猛暑でビールを多く飲む人にはうってつけの料理です。
ここでポイントになるのがニンニクに含まれるアリシンという成分です。このアリシンはビタミンB1を摂取する手助けをするため豚肉と同時に取ることで一層の効果が見込めます。
ブランド肉にこだわるのもいいですが、疲労回復に焦点をあてたメニューとその効能を分かりやすくビジュアルに打ち出しましょう。
4.チャレンジしますか?
暑い日に辛いものが欲しくなるという欲求はだれしもあるものです。一つには、暑さで後退する食欲を掻き立ててくれるからです。
もう一つには、辛いという刺激に対し脳内で分泌されるモルヒネの数倍といわれるβエンドルフィンという物質にあると言われています。ここを上手く取り込みます。
火鍋やカレーを専門店で頂くと辛さを選ぶことが出来ます。この手法を取り込み、ある一定以上の辛さにチェレンジして完食すればご褒美が貰えるといったキャンペーンを仕掛けるのです。
もちろん写真写りのよい料理であったり、完食後のご褒美や賞状などゲーム感覚が受けると思います。口コミでいい宣伝にもなります。
5.BGMを変えてみる
猛暑により身体が求めるものが変化します。これまで見てきたようにです。耳から入ってくる音、音楽も同じです。赤道に近い国の音楽が参考になります。
情熱的なサンバもあれば、ボサノバの様にスローで静かな曲もあります。レゲエの様に一定のリズムであまり高音と低音の差が大きくないメロディーもあります。
お店のイメージがありますので一概にどのジャンルがよいと言うことではありません。お好きなジャンルの中で、疲れた体にあまり刺激を与えない曲調を選ぶ方が暑さで興奮している自律神経の緊張をほぐす効果があります。さりげないホスピタリティーです。
6.視覚に訴えかける
いつも同じポスターに同じ絵、季節感のない置物など店内にありませんか。飲食を続けていらっしゃるとついそういうところに気が回らないという方をお見受けします。
毎日来ている方が気づくような変化であれば、たまに来られるお客さんにとっても新鮮に感じるものです。
特に視覚から入ってくる情報は多く、猛暑に向けたいくつもの取り組みに気づいて頂きやすくなります。つまり視覚情報は飲食店側の本気度やホスピタリティーを無言のうちに伝える最高の武器となります。出来るところからではなく、一気に変えましょう。
7.手触り、座り心地
クッション、座布団、ランチョンマット、スリッパ、室内履き、エプロン、ユニホーム等々、冬も猛暑も同じでいいのですかという問いです。
替えた方がいいとは思っているけれども実際にはお金がかかる、買いにゆく暇がないなどなどブレーキを踏んでいるのは経営者ご自身ということがよくあります。
畳に御座(ゴザ)を敷くだけで十分涼しげです。もっと言えば、座布団やクッションの素材を麻やコットンに替えるだけでも十分です。
人間は五感からうける情報を集めてその場所が自分にとって居心地が良いのかどうか判断します。仮に、手触り、足の裏から伝わる感触が不快となれば一気に気持ちが離れてしまいます。衣替えをすることで、五感に心地よさを訴えかけるお店にかえてゆきましょう。
~まとめ~
今回上げた7つの対策は、逆転の発想、ホスピタリティー、ゲーム感覚、五感に訴求という4つの原理と読み替えることが出来ます。この原理を組み合わせて行くことが繁盛店への近道であり、リピーター創出への鍵なのです。あとは、業種、業態におうじて何を変えて行くのか知恵を絞るだけです。