Summaryーまとめー
- 熱中症を正しく理解する
- 水分補給だけでは不十分
- 身体を冷やす知恵
- 疲れを貯めない工夫
令和5年7月(2023年)東京は連日35度を超す暑さに見舞われています。2001の7月に記録したひと月で猛暑日が7日間というのが過去最高だったのが、既に9日間と記録を更新中です。ちょっとした外出にせよ室内に留まるにせよキチンとした対策を講じないと知らぬ間に熱中症予備軍となってしまいます。
冷房や熱気対策がままならない小型店の厨房内ではこの暑さは死活問題です。体を壊してしまっては元も子もありません。今回は、お金をかけずに新しい習慣と知恵でこの猛暑を乗り切る方法について考えてみたいと思います。
Contents
まづは熱中症を正しく理解するところから
「外気の温度に体が適応できなくなり様々な症状を引き起こす症状」が熱中症と言われています。症状により重度がⅠ~Ⅲまで分類されていますが、生命の危険が迫る重度Ⅲともなると熱射病とも呼ばれるようです。
さて、この熱中症を発症するメカニズムですが、体温を調整する「汗」がポイントになります。
つまり体温を下げようと体は一生懸命汗をかきます。やがて体内から汗が失われて汗が出なくなることで体温が上昇し熱中症となるのです。
新習慣1.水分と塩分の補給が重要
単純に考えると水分補給が決め手ということになりますが実はそう簡単ではありません。
そもそも人間の摂取すべき水分量は一日2ℓから2.5ℓと言われています。これは体内の水分が失われることで血液の濃度が濃くなり脳血栓や脳卒中を避ける為と言われています。
また、同じ水分でもアルコールやカフェインが入った飲料は利尿作用といって、体内の水分を外に出す働きをしますから、ビール、コーヒー、お茶などはあまり摂取しないようにしなければなりません。
では、水だけを摂取していればよいのかと言えばそうでもありません。
汗をかくことで体内の塩分などのミネラル分が体外に出てしまいます。そこに水だけを補充すると体内のミネラルの濃度が下がりこれまた熱中症を発症する原因となってしまいます。
水分はこまめにとり、1ℓあたり1~2gの塩分も一緒に摂取する。
厨房内であれば屋外にいるより簡単に水分の補給が可能かと思います。それと同時に塩分の摂取も心がければよいのです。
例えば梅干しなどを水と一緒にたべるのは効果的です。また、ブドウ糖などの糖分も同時に摂取することが望ましいといわれますから、市販の塩分補給用タブレットなども有効な手段です。
新習慣2.身体を冷やす工夫を怠らない
熱中症になった方を介抱する際によく用いられるのが、腋の下や首筋の後ろを冷たいタオルなどをあてて血液の温度を下げる方法です。
汗が出なくなり高くなってしまった体温を外部から下げる方法です。逆に言えばここを冷やしていることで体温の上昇を防ぐことが出来ます。
長時間屋外でプレーするゴルフやランニングなどのグッズとしても売られていますが、お洒落なデザインのスカーフや冷蔵庫などで冷やして使う冷却剤など沢山売り出されています。
水で濡らしその気化熱で体温を下げるタイプの物は比較的安価で繰り返し使えるのでおススメでう。
このタイプであれば、首筋の後ろとリストバンドタイプで手首を冷やすタイプがあります。長く身に着けるほどに効果がありますので是非試してみてください。
暑い厨房内にあっては、常に体温を下げる工夫を怠らない。
水が利用できる厨房内では、そのメリットを生かし、常に気化熱を利用して体温を下げるスカーフやリストバンドを冷たい水で濡らしておきましょう。
新習慣3.疲れを貯めない睡眠を心がける
いくら気をつけていても暑さからくる疲れは体に蓄積されてゆきます。
その結果が夏バテや夏風邪という形で表れてきます。これを防ぐには出来るだけその日その日で疲れをリセットする必要があります。
一般的には十分な時間と質の良い睡眠が効果的だと言われています。では、その良質な睡眠はどのようにして得られるのでしょうか。
シャワーではなく、ぬるめのお風呂につかり、自立神経を整える。
この自律神経とは呼吸や循環器系の神経のことで、人が意識することなく働き続けてくれる神経をさします。この自律神経の内、夜に活発になる副交感神経をぬるめのお湯につかることでリラックスさせ、良質な眠りが得られることが出来ます。
ここでよくある間違いとして、お風呂上りにビールやもっと強いお酒を体に入れてそのまま眠りについてしまうことです。
アルコールは寝ている間に体から水分を奪い、良好な目覚めが得られなくなります。半ば飲酒が習慣となっている方はこの猛暑の間、少々飲酒を控えられた方が得策だと思います。
~まとめ~
連日の暑さに、天気予報のコーナーでは水の摂取を強く進めています。寝る前にコップに一杯、目覚めにコップに一杯というぐあいです。
同様に、厨房内の摂水も、厨房に入る前にまず一杯の水と塩分タブレットを口に含みます。調理中は首筋、手首などを気化熱でクールダウンし、こまめに摂水。
そして調理が終った段階で改めて塩タブレットと一杯のお水をとってください。理想を言えば、15分から20分程度の昼寝は夜の調理にあたり効果的な休憩となります。(ここで寝すぎるとかえって疲れます。ご注意ください。)
自分の体は自分で守れと言いますが、ここまでの暑となると大切な戦力をいかに維持して行くか飲食店ぐるみで話し合って備えるべきでしょう。