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飲食店 キャンセルが出た 料理どうしてる?
このところ話題となっている無断キャンセル問題、意外な方向に話が飛び火しています。ご存じの様に、お店に予約を入れておきながら当日になってキャンセルしてきたり、悪質な例で言うと連絡もなく現れない、いわゆるノーショウというキャンセルが問題となっています。このことにより飲食店側は見込んでいた収益をとれないばかりか、用意していた食べ物が無駄になってしまうことで損が発生します。
では、無駄になった食べ物はどうなったのかということが今回のスタートラインです。その日のうちに別のお客様に提供できるものもあるでしょう。SNSなどでキャンセルを伝えるSOSを発信して来店頂くこともできるでしょう。しかし、ほとんどの場合が廃棄となっているところに深刻な問題が隠れています。
今回は食べられる食品の廃棄、つまり食品ロスについて考えてみたいと思います。
食品ロスの実態
日本国内で流通している食品の総量は、年間8,294万トンだと言われています。このうち食品に由来する廃棄物の量が2,775万トンだそうです。さらに、この廃棄物の中で、まだ食べられるにも拘わらず捨てられている食品、つまり食品ロスが、平成26年度推計でなんと621万トンにも上ると言う調査結果が出ています。ただ、621万トンといってもピンとこないと思いますが、東京都民1,300万人が1年間に消費する食品量に匹敵すると聞けばその膨大さがお分かり頂けると思います。
食品ロスに関する取り組み
さて、この食品ロス、各団体それぞれに活動を始めています。例えば東京都の場合、環境局が音頭をとって東京都食品ロス削減パートナーシップ会議を開催しています。また、防災備蓄食品から生まれる食品ロスについても削減する方向で事業が始まっています。
国の機関である環境省はどうでしょうか。「3010運動」(さんまるいちまる運動)という啓蒙運動に取り組んでいます。どのような内容か普及用に作られたパンフレットを見てみると、居酒屋などの宴会では、最初の30分と最後の10分間は参加者全員で食事をする時間をとり、大量に出る食品ロスを軽減しようと言う運動です。確かに、宴席の料理は残りがちです。
フードシェアリングというビジネス
最近二つの会社が初めたフードシェアリングというビジネスが話題です。どちらの会社も食品ロスに着目して、これを減らす為に立ち上げた会社ですが、全く異なる発想で行われています。
TABETE( https://www.cocooking.co.jp/food-sharing )
飲食店がお客様に提供する為に準備していた食品や料理が何らかの都合で提供されなくなり時間の経過とともに廃棄となる食品ロスに対し、TABETEに加盟している飲食店は、それらの食品や料理をTABETEのサイト上に掲載し、利用者がサイトから購入するという仕組みです。ただ、購入者はお店まで商品を取りに行かなければならないので、距離の制約は受けることになります。TABETEのサイト上で取引が成約した場合、TABETE側は販売額の30%を成功報酬として徴収するというビジネスモデルです。一見高いと思われがちですが、本来廃棄をする予定だったものが収益を生むこと、一般的な食品販売の考え方として原料は販売価格の30%というところから原料以外の部分、人件費や賃料などの部分は回収できるだろうと言う発想から出て来た数字のようです。会員が増加するにつれTABETEが徴収する額は低下するのではないかと思います。
Reduce Go (https://reducego.jp/ )
もう1社はSHIFFTというIT企業が立ち上げた「Reduce Go」というフードシェアリングのサイトです。こちらは利用する側から、つまり食品や料理を買う側から月額1,980円の会費を集め、サイトに登録している飲食店で提供される商品を1日2回まで好きなお店から受け取れるという仕組みです。近くのお店や出先の帰りにいつもと違うお店に立ち寄るという楽しみもあります。先程のTABETEがお店ごとに料金を払ったのに対し、こちらはReduce Go が集めた月額会費を登録している飲食店全店で山分けするという方式です。商品の人気不人気や販売実績などに拘わらないと言いますから多少と不公平感がある気はしますが、月額会費の59%が飲食店の取分だそうです。
飲食店以外の取り組みが重要
なにも食品ロスは飲食店舗に限った話ではありません。スーパーマーケットやコンビニエンスストアーなどが相当な食品ロスを生み出しています。その例で一番話題になったのが恵方巻です。常に売られているレギュラー商品でない恵方巻は基本節分の日のみに提供されます。あるコンビニで見込んでいた数量がさばけず大量に捨てられる映像が流れてネット上で話題となっていました。また、売れの残ったコンビニ弁当を値引き販売していたとして大手フランチャイザーから契約を解除されたケースもあり食品ロスを防ぐ努力がなされているとは到底思えない状況です。それに加え食品業界とコンビニ、スーパーの間では「三分の一ルール」なるものが存在し食品ロスに拍車をかけていると聞きます。このルールは製造から店舗に出荷される期限を賞味期限までの三分の一を限度とし、賞味期限の三分の一を切った商品はメーカーに戻されると言うものです。日本には変わったルールが存在すとつくづく思います。
先日まだ十分に食べられるパンやおにぎりなどの食品がトラックで運ばれてきて粉砕機のような機械で細かく裁断される様子が映し出されていました。正体と言えば、コンビニやスーパーに並んでいた食品たちが、一定時間経過したという理由で一カ所に集められ畜養の餌として加工されている現場だったのです。冒頭でも書きましたが、食品ロスが都民の一年分の食品量と同じぐらいで、食べ物に喘いでいる飢餓難民を救うために世界中で援助されている食品量の2倍とまで言われています。折角もったいない精神が受け継がれるこの国で、このままでは食品ロス大国の烙印を押されかねません。各機関、民間バラバラではなくそろそろ国を挙げて取り組むべき時期ではないでしょうか。