
「電気代が高い」と感じても、請求額だけを見ていては、何を直せばよいのか分かりません。
10~15坪の飲食店では、冷蔵庫、製氷機、エアコン、炊飯器、照明などを限られた店内で同時に使います。小さな店でも、契約容量や運転時間が合っていなければ、電気代が毎月の利益を削ります。
2021年の元記事では、契約の変更とLED化による節約を取り上げました。今回は2026年9月の東京電力の料金で、月にいくら下げられるかを試算します。
電気代は4つに分けて見る
電気料金は、基本料金、使用量に応じた電力量料金、毎月変わる燃料費調整額、再エネ発電賦課金で構成されます。
2026年9月の従量電灯Bは、基本料金が10A(アンペア=同時に使える電気の大きさ)当たり311円75銭。300kWhを超えた部分の電力量料金は1kWh当たり40円49銭です。
業務用エアコンなどに使う低圧電力は、基本料金が1kW(キロワット=動力側の契約電力)当たり1,098円05銭。9月の夏季電力量料金は1kWh当たり27円14銭です。
ここに9月の燃料費調整額マイナス10円96銭と、再エネ発電賦課金4円18銭が加わります。実質的な使用量単価は、電灯の300kWh超過部分が約33円71銭、動力が約20円36銭です。
ただし、燃料費調整額には国の支援による4円50銭の値引きが含まれています。今月の請求額だけを今後の基準にはできません。
200Vなら必ず安い、ではない
200Vの動力は、電灯より使用量単価が安いため、機器を移せば得だと思われがちです。しかし、動力は契約電力に対する基本料金が高く、8kWなら使用量が少なくても月8,784円ほどかかります。
長時間動かす業務用エアコンや冷凍冷蔵設備には向きますが、短時間しか使わない機器では、使用量の差より基本料金の増加が上回ることがあります。また、すべての200V機器を動力契約へ接続できるわけではありません。変更前に電気工事会社へ確認が必要です。
1 電灯の契約容量を見直す
モデル店舗の電灯契約を60Aから50Aへ下げられれば、基本料金は月約312円下がります。小型店舗では40~60A程度の契約も多いため、まず請求書で現在の契約アンペアを確認しましょう。
機器に表示された消費電力を単純に足すのではなく、営業時間中に何台が同時運転するかを調査して判断します。容量不足でブレーカーが落ちれば営業に影響するため、感覚だけで変更してはいけません。
なお、ビルのキュービクルから電気を受けるテナントは、東京電力との低圧アンペア契約とは仕組みが異なるため、この試算の対象外です。
2 動力の契約電力を見直す
動力契約を8kWから6kWへ下げられる場合、基本料金は月約2,196円下がります。
以前の店が使っていた大型空調や厨房機器の契約が、そのまま残っている居抜き物件もあります。現在の設備と契約内容が一致しているかを確認しましょう。
3 営業時間外の運転を2時間減らす
1kW分の空調や照明などを、1日2時間、月25日短縮すると50kWhの削減です。電灯側の実質単価で月約1,686円下がります。
客席を暗くする前に、早すぎる空調運転、長すぎる予熱、閉店後の看板や客席照明を見直します。お客様の満足度を下げない時間から減らすのが基本です。
4 冷蔵庫と空調の効率を戻す
フィルターや凝縮器の汚れ、室外機前の荷物、傷んだ冷蔵庫のパッキンは、機器の運転時間を延ばします。
冷蔵・空調設備で月600kWh使う店が、清掃や配置改善で5%抑えられた場合、30kWhの削減となり、動力側で月約611円下がる計算です。5%は効果を保証する数字ではありませんが、買い替え前に確認できる部分です。
5 残っている白熱灯をLEDに替える
60Wの白熱電球20個を、同程度の明るさの7WのLEDへ替え、1日8時間、月25日使うと、月212kWhの削減です。電灯側で月約7,147円、年間では約8万6,000円相当になります。
すでにLED化している店では効果は出ません。交換費用と残りの営業時間を比べ、回収期間を確認します。
5項目で月約1万2,000円
今回のモデルケースの節約額は次の通りです。
- 電灯の契約容量見直し:約312円
- 動力の契約電力見直し:約2,196円
- 営業時間外の運転短縮:約1,686円
- 冷蔵・空調設備の清掃と配置改善:約611円
- 白熱灯20個のLED化:約7,147円
合計は月約1万2,000円、同じ条件が続けば年間約14万3,000円です。
ただし、契約や設備の状況は店ごとに異なります。最初に電灯と動力それぞれの請求書を開き、契約内容、使用量、前年同月との差を確認してください。請求額ではなく使用量から原因を探すことが、利益を残す節電の第一歩です。
電気代以外も含めた利益の確認は、関連記事「売上が増えても利益は残らない|飲食店が見直すべき3つの数字」も参考になります。
※東京電力エナジーパートナーの2026年9月時点の単価を使用した概算です。口座振替割引、端数処理、工事費、機器購入費などは含みません。
参考:東京電力エナジーパートナー「料金単価表-電灯」「料金単価表-電力」「燃料費調整単価等一覧」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」
(構成・執筆:著者 / 画像生成・ファクトチェック:AI活用)





