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なぜ5坪の飲食店が繁盛するのか

JayMantri / Pixabay

Summaryーまとめー

  • 適正賃料の求め方
  • レイアウト
  • 競合店調査
  • 周辺環境
  • 物件の部屋型

脱サラをして飲食店を始めようと思い立った時どこから手をつけるでしょうか。料理の腕を磨く、出店するエリアの選定、お店のサイズ、金策などがさしあたり思いつくところでしょう。これまで飲食店の経験がありお店を切り盛りする勘どころを持ち合わせておられるのであればなにか申し上げると言うことはないのですが、初めての飲食店開業で、繁盛しているお店を参考に最初から席数の多いお店にチャレンジするのはとてもリスクがあります。

冒頭からネガティブな話で恐縮ですが、席数が多いほど売上が増え繁盛すると考えるは事業計画上の話で現実はそれほどあまくありません。

今回は、5坪というミニマム店舗を題材に、売上を増やす基本と利益を残す基本を学んでいただきたいと思います。それさえ分かれば、10坪でも20坪でも自在に繁盛店は作れます。

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Contents

1.適正賃料の求め方

契約面積と席数から適正賃料を導き出します。

駅から近い、人通りが多い、視認性が高いといった理由から物件を選ぼうとしていませんか。世間一般的にはそのような土地を一等地と呼びます。あたかも商売繁盛の一等地のように思われがちですが、どちらかと言うと「家賃が高く貸せる」といった意味でつけられている言葉です。すなわち一等地=繁盛の方程式ではありません。

もう一つ。初めて飲食店を出される方は、目の前の物件から事業計画をたてようとされます。その結果、本来売上見込みから逆算して支払い可能な賃料を導き出すところを、賃料から初めて、客席数を増やし売上を作ってしまう過ちを犯すのです。

シミュレーション

前 提: 契約面積 5坪、席数7席、

ランチ: 客単価  800円 × 3回転(21人)

夜  : 客単価2,500円 × 2回転(14人)

月の営業日が25日(日曜定休日)で月の売上を計算すると、

ランチ 21人 × 800円 × 25営業日 = 42万円/月

夜   14人 × 2,500円 × 25営業日 = 49万円/月

トータル: 91万円/月

適正賃料は、対売上の1割と言われています。この事業計画では家賃を月額9万円迄支払うことが可能です。想定が5坪ですから坪単価@1.8万円となります。都内でも1.5等地と呼ばれる、通りから1本入った比較的いい場所に出店が可能です。

2.レイアウト

5坪程の小型店はカウンターのみが一番効率良いとされています。今回のような7席のお店であれば、調理からお会計まですべて一人でできます。すなわち人件費がかからない分利益が出ると言うことなのです。あえていういならランチタイムの2時間だけはアルバイトをおいた方が回転数を上げられる余地は生まれます。このように人件費を考えると断然カウンターだけのお店が利益を生みます。

別の角度から考えてみましょう。テーブル席や座敷などの小上がりがある飲食店を想像してみてください。4人掛けのテーブルに4人座っていることの方がめずらしくないでしょうか。カウンターは満席でも座敷は空いていたり、6人は入れるところ3人しか入っていない場合などを想定すると、稼働率を加味しなければなりません。これは満員のお店で余っている席の割合を指す言葉です。

仮に15席のお店でも満員時に3席は空いているせきがあるとすると稼働率は80%ということになります。冒頭のお店で考えると夜の売上49万円に稼働率80%を加味すれば売上は40万円をきってしまいます。つまり如何に空き席を減らす工夫をするかがレイアウトの決め手となるのです。

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3.競合店調査

近隣にある同業や同じ客単価のお店調査は欠かせません。どのような味で提供しているのか、時間帯別にどの程度お客様が入っているのか、何曜日が入っているのかお客様の属性はどうかなどを調べます。ご自身のお店がそれらの競合店に勝っていくには、価格なのか量なのか質なのかポイントを見出さなければ繁盛は厳しいでしょう。

とりわけ競合店が如何にしてリピーターを作り出しているのかその秘訣を盗みたいところです。時間をかけて常連客を作り出すことも重要な要素ですが、例えば、100円ビールを出すお店として覚えてもらうだとか、なにを注文しても料理は全て500円までに抑えるだとかの工夫も必要です。

4.周辺環境

店の規模、レイアウト、競合店が分かったら出店場所の検証をしなければなりません。つまりターゲットとなるお客様がいる場所なのかどうかです。例えば、会社帰りのビジネスマンをターゲットにしているお店が住宅街にあってもダメです。OLをターゲットにしたカフェが駅から10分以上歩くのもミスマッチです。逆に言えば、どんなに駅から離れていても繁盛するラーメン店や居酒屋があるようにニーズにマッチした場所か、さもなければ目的をもってわざわざ来ていただけるような店造りをしなければ、繁盛どころか2年もしない内に閉店の危機を迎えてしまいます。

また、街と業態の相性も大事です。表参道や銀座で煙モクモクの焼き鳥がはやるでしょうか、下町の長屋で客単価の高い本格フレンチはうけいれられるでしょうか。そういったことも想定に入れて場所選びをしないと折角のお店は受け入れられることもなく店じまいをすることになります。

5.物件の部屋型に要注意

カウンターだけのお店が利益が出るとお話ししました。ということは、間口が狭く奥行きがある部屋型か、間口が広く奥行きがない部屋型のどちらかになります。つまり物件として限られるということです。といって諦めるのは早計です。ラーメン店、鮨屋さん、スナック、Barの居抜き物件などが狙い目です。この共通点は比較的面積が小さくカウンターだけの作りが多いことです。改装にもさほどお金はかかりません。但し弱点もあります。ガス容量と排気です。寿司屋、スナック、Bar等は家庭用のガス3.5号の引き込みしかないところが多いのですが、足りない分は大掛かりな工事をせずプロパンガスで補いましょう。また排気はダクトの増設と有圧扇などの力の強いものをつけ消臭フィルターかダクトを少々高い位置まで立ち上げれば近隣からのクレームはあまり出ません。周りの環境を見ながらですが、業態変更をすることで賃料を抑えることが出来ます。

短命な飲食店の勘違いは、家賃が高い一等地ならその分稼げるだろうと思うこと、席数が多ければその分売上が増えるだろうと思うこと、どこの場所であれ味さえ良ければお客様は来てくれるだろうと思うこと、物件が無いからと言って安易に妥協してお店を決めてしまうことです。これから出店される方は参考になさってください。もし既にお店を開店していて間違いに気づかれた場合は、居抜きで誰かにお店を譲る準備をしつつ、その間次の場所をジックリ検討して出直すのも一つの解決策です。

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