Summaryーまとめー
- 居酒屋業態で居抜き店舗を買う場合に気をつけるポイント
- 居酒屋業態で居抜き店舗を売る場合に気をつけるポイント
飲食店の居抜き物件で一番市場に出てくるのがこの居酒屋ではないでしょうか。
なぜでしょうか?一つには飲食店業界で一番数の多い業態ということがあげられます。ラーメンやイタリアンの様に修業時代からのネットワーク・絆が太い業種ではないということも理由の一つです。
その理由とは、飲食店を閉店したいと考えた時に相談できる相手が同じ業界内にどれだけいるかという点です。当然数が多ければそのネットワークを通して店を引き継いでくれる方がすぐに見つかります。
しかしそのネットワークが弱ければ、原状回復をして閉店するか、不動産業者を介して市場に売りだすかどちらかの方法に頼ることになります。このあたりが居酒屋の居抜き店舗物件が市場に多い所以ではないかと分析しております。
さて、意外と使い込まれた居抜き物件が多い居酒屋物件について、居抜き店舗として活用する際のチェックポイントと居抜き店舗として市場に出される方が気をつけておきたチェックポイントを考えてみたいと思います。
Contents
居酒屋の居抜き店舗を「買う」場合に気をつける4つのポイント
居酒屋の業態を考えたときに、お店のサイズが大きくかかわってきます。50坪を超えるような大型店の場合と10坪から20坪ぐらいの小型店では注意点も異なってきます。今回は小型店にフォーカスして4つのポイントを検証してみたいと思います。
① 厨房の床
居酒屋の厨房を数多く見てくるといくつかのパターンが出てきます。
一般的なタイプとしては、床に排水溝がありグレーチング(鉄もしくはアルミの蓋)が備え付けてあるタイプです。ザバッと水が流せます。
次に多いのが、床にすのこ(木製の踏み板)がひいてあり、その板の上で作業をするタイプです。これは厨房とホール(客席)を行き来することがおおい飲食店に見受けられます。いちいち足の裏を拭かなくて済みますから便利なようです。
同じことなのですが、すのこの代わりに段ボール紙を敷き詰めているお店もあります。毎日取り換えているようです。
最後に床にお水を流せない乾式床の居酒屋です。厨房の床が防水処理されていないためにそのような使用方法となっていますが、揚げものや焼き物メインの居酒屋でないと大変苦労すると思います。
魚など調理にお水をふんだんに使うお店ではどうしても床が濡れてしまいます。また、掃除の面でも大変苦労されると思います。もし厨房で水が流せない居抜き物件を検討する場合は注意が必用です。
②排気ダクト
厨房にレンジフードは完備されているものの、換気扇は有圧扇でもなく、家庭用換気扇のチョット大きめの物がついているだけという居酒屋居抜き物件を見かけることがあります。
この場合、どうしてもこの設備ではダメということではなく、居抜き物件で取得した後にどのようなお店にするのかで判断が分かれます。
このタイプの換気扇の弱点は風の強い日に現れます。換気扇の外側で風圧が強いと上手く煙を吐き出せないからです。また、サンマや焼き鳥など脂分が多い食材を扱う際に近隣から苦情が出ることがあります。
もしそのようなメニューを予定されているなら、コストをかけてでもダクトを立ち上げるか、オイルフィルターや電気式のトリートメントなどの支出を覚悟すべきです。一度でも近隣から苦情が出てしまうとその後の煙を抑える為に時間とお金がかかることが予想されるからです。
③グリストラップ
ポイントは2つ。まずグリストラップが「ある」か「ない」か。あるとすれば、ちゃんと清掃が行き届いているかどうかです。
そもそもグリストラップが無い場合はシンク下のスペースを潰して簡易型のグリストラップをつける必要が出てきます。もっともグリストラップが無ければ居酒屋は出来ないかと言うとそういう訳ではありません。
一義的には、下水に直接脂分や調理で出た切カスなどが流れることで環境に良くないというものですが、それ以上に排水管の詰りを誘発します。
もし、お客様が大勢来られている時に目詰まりを起こしたとするとお店の売上に大きな打撃となります。グリストラップは必要な設備だとご理解ください。
さて、もう一つポイントはグリストラップがあるのに掃除をしていない場合です。
多分悪臭の根源となっているはずです。そうなるともはやグリストラップの機能は果たしていません。またグリストラップの清掃は、水で流すわけにいかないので、専用の油を吸い取るスポンジなどで根気よくくみ取ってゆかないと綺麗になりません。清掃業者に頼めば平気で3万円はかかる作業です。
④製氷機
意外と盲点なのが製氷機です。席数やお客様の回転数により容量が変わってきます。居酒屋で平均的な容量は「席数×2㎏」が標準的ですが、ハイボールや酎ハイなど氷を多く使うメニューを想定しているとすればそこに備わっている製氷機で足りるのかチェックが必要です。
その心は、もし後から製氷機を大きいサイズに替えようとした際、スペースが足らずに置き場所に困ったということをよく聞くからです。
またこの氷に関していうと、一度氷が切れてしまうと20分程待たなければならなくなります。大丈夫だろうと言う過信は禁物です。
居酒屋の居抜き店舗を「売る」場合に気をつける3つのポイント
今度は居酒屋を居抜きのまま売却する場合に抑えておきたいポイントが3つあります。それは、引き継ぐ際に新しい店主とトラブルをさけるもので、売る側からすると意識しなければ当たり前になっている部分でもあります。ご自身が居酒屋を引き継ぐ立場となって考えてみてください。
①殺虫殺鼠
これ不動産業界用語で「サッチュウサッソ」と読みます。要はゴキブリとネズミの駆除を意味する言葉です。
まず、ゴキブリやネズミは突然発生するものではありません。また、すぐに駆除できるものでもありません。とは言え差し迫った店舗の売却を考えるとすれば、少なともゴキブリ対策として安易に噴霧式の駆除剤を使用するのではなく、時間をかけてシッカリと清掃を行いましょう。
その過程で、ネズミが出入りしているであろう隙間などがきっと見つかります。DIYショップなどで売られている、エアコンホースの目地を埋めるシーリング材などで埋めてしまえば一定の効果(ネズミ対策)は得られます。
厨房内にゴキブリ捕獲シートやネズミ駆除用の団子が並べられているより断然印象は良くなります。
②排水管
グリストランプの清掃の必要性は先に書いた通りですが、居抜きで居酒屋を売り出すにあたっては、排水管の清掃を行っているという情報は大きなプラスです。
やってなかったからといって高圧洗浄をする必要はありません。トーラーといってワイヤー式の簡易洗浄方法があります。コストも抑えられ人一人で作業が出来る為時間もかかりません。是非知り合いの清掃業者に問い合わせてみてください。安いコストで十分な効果と信頼が得られることでしょう。
③空調フィルター
猛暑が続くと空調機から水が落ちてくるという問い合わせが増えます。本来、空調機は空気中の湿気を取り除きドレンパイプから屋外に流しています。このパイプが詰まっていない限り、本体から水が出るとすれば原因はただ一つ、フィルターの詰り以外ありません。
フィルターを丁寧に水洗いすると空調機からの水は止まります。このフィルターが目詰まりを起こすと水がしたたり落ちてくるメカニズムは、本体が取り込む風量が少なくなっているのに、本来の風量に合わせた冷却能力を発揮することで、吹き出し口付近が結露することが原因です。
同様にフィルターの目詰まりは、余計な電力や早期の故障の直接的な原因となります。売り出し前には必ず清掃を施し、空調設備が十分機能していることをアピールしましょう。
~まとめ~
居酒屋と言っても最近は差別化が進み、立ち飲みのような簡易な設備でOKな業態もあれば、生け簀(いけす)などを完備した鮮度が売りの居酒屋までそれぞれです。
居酒屋の多様化は、飲食店居抜き店舗で何をしたいのかハッキリ決まっていないと物件選びもままならないということにつながります。
つまりガス容量が何号必要なのか、水道の引き込みは何㎥必要か、電気容量はどこまでアップが必用なのかなも物件選びで重要なポイントとなります。
立地に魅了されてしまいこれらのポイントをよく吟味することなく契約してしまっては、後から思いのほかお金がかかってしまいます。そうならないよう細心の注意が必要です。