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【プロが解説】飲食店テナントが家賃滞納で夜逃げした場合の対処法と予防対策

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夜逃げと言うと昭和といいますかアナログなイメージがあります。

携帯電話もインターネットもない、もちろん監視カメラもない時代でした。今では到底考えられない時代です。事実長く逃走を続ける犯罪者の数は昭和の時代から平成になり格段に減っているように思います。

今回タイトルにあげた夜逃げですが、長く不動産に携わっていてもそう頻繁にあるものではありません。

賃貸借契約に限って言えば連帯保証人をキチンととっていることが大きな抑止力となっているからです。たまに、法人契約の場合で連帯保証人がその会社の代表である場合など夜逃げが発生することがあります。

今回は、夜逃げが発生した時に知っておくべき対応、手続について考えてみたと思います。

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Contents

なぜ飲食店で夜逃げが発生するのか

マイナンバーに始まる国民総番号制度は健康保険や年金、税金などこれまで別々の行政機関が縦割りでおこなってきたものに横串を刺すことで一元管理をして漏れを防ごうという考えのもとに導入されました。このシステムがあれば日本国内で生活する限り必ず捕捉されてしまいます。

同様にクレジットカードやキャッシュカードもその一つです。ATMを利用すればたちどころに居場所が特定されてしまいます。また、国際空港で一部実用化が導入されている顔認証システムなどが普及すれば、まさに隠れ場所は無くなります。つまり夜逃げは100%補足されることになるでしょう。

とは言え夜逃げが無くならない理由も存在します。

仮に理由がお金であった場合、借りた先が金融機関(銀行、消費者金融等)ではなく友人ばかりであったならどうでしょうか。

一時どこかに身を隠し借りたお金を踏み倒すということが考えられます。踏み倒された方も大きな金額でなければ友人でもあった訳ですし被害届とまではならないだろうと考えられます。

もっとも最初から夜逃げをするつもりはなかったと思いますが、警察や裁判所が追ってくることはないだろうと判断できる場合は夜逃げとなることでしょう。

夜逃げをされる飲食店の大家さんの典型

冒頭で書いた賃貸借契約、つまり法人名義の契約と連帯保証人がその会社の代表という場合は夜逃げが起こりえると書きました。

本来法人なのだから会社も個人も破産宣告をする場合が通常ですが、この法人格が個人のようなもので借入と言えば友人、知人からの借金でだけでそれ以外の負債は滞納している家賃ぐらいという場合は破産などという面倒なことを考えるよりも雲隠れして踏み倒してしまおうとなることが多いのです。

例えば、10坪以下の飲食店など女性一人で営業しているスナックや一人で切り盛りする居酒屋が代表格です。彼らは、酒や食材などを買掛金つまり後払いでで買えないため大きな借金のしようがないので、あるとすれば家賃の滞納となるのです。

さて、突然の夜逃げとなると金銭トラブル以外の場合があるかもしれませんが、賃貸借がらみであれば通常数ヶ月の家賃滞納が存在します。大家さんからは口頭であったり手紙であったり、内容証明郵便であったり何度も催促があった末の事態がほとんどです。

ある時半月も1ヶ月もテナントが店を閉めていることに気づきます。携帯電話に連絡をしても出ないか料金未払いで利用できなくなっています。

心配になって自宅を訪ねてみると既に引っ越した後。そこで初めて夜逃げの事態を把握することでしょう。

でもちょっと待ってください。賃貸借契約にはそんな賃借人の負債を担保する為に敷金が大家さんには預けられています。

実はこのお金の存在が事態を悪化させる原因をつくっているとも言えます。どういうことか、大家さんの心理として、敷金の範囲は大目に見てあげようとか、督促もゆるくなりがちになり賃借人を甘やかす結果となるのです。

実際に敷金は3ヶ月分しか預かってないにも拘わらず半年以上も滞納をさせてしまったというケースを聞くことがあります。これでは大家さんは大損です。

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絶対にやってはいけない夜逃げ後の処理方法

さて、住居は引き払い連絡も取れないというのはどう見ても夜逃げだろうと考えるのが普通です。ましてや受け取り損ねた賃料があるとなると大家さんも黙ってはいません。

店内に残置されたものをお金に換え少しでも負債の穴埋めにと考えることでしょう。

実はこれは絶対にやってはならないことなのです。もっとも手続きを踏めば別ですが。まずは、どうしていけないのか説明します。

賃貸借契約に基づく負債があり賃借人とも連絡が取れない状態が数ヶ月過ぎたとしましょう。客観的に見て夜逃げです。ですが、冷静に考えてみてください、家賃の滞納と他人の財産を断りもなく勝手に処分する権利は全く別物です。

また、滞納や連絡が取れないことで賃貸借契約書には契約を解除できると書いてあるのだから問題ないと言うのも早計です。

実際にあった話をご紹介します。

夜逃げが発生し怒った大家さんは厨房機器などを売ってしまいました。造作は残置の状態で次のテナントまで早々に入居させました。それから1年後、もとの賃借人がひょっこり現われたのです。そしてもとの賃借人は、断りもなく勝手に店内のものを処分されてしまったと逆に大家さんを相手取って裁判を仕掛けてきたのです。

結局裁判は、賃借人が勝つ形で大家さんは和解金に数百万円支払ったのです。くれぐれも焦って簡単に処分などと考えないことです。

夜逃げの前に飲食店の大家さんがとる正攻法とは

まずは焦らず滞納額が3ケ月になるのを待って賃貸借契約にもとづき賃料不払いで内装、設備、厨房機器などの差し押さえ手続きを裁判所に届けましょう。飲食店内の動産は一旦裁判所の管轄になります。賃借人も勝手に手が出せない状態です。次に滞納家賃を回収する為に競売の手続きを行います。これにより裁判所が差し押さえた動産一式を売る手続きと公募まで行ってくれます。但し、飲食店の中古厨房機器や備え付けの設備などを高いお金で買う人はまず現れません。従って大家さんご自身が1円とか10円で落札するのです。この落札により晴れて大家さんは飲食店内の動産すべてを第三者に売り渡すことが出来るのです。

飲食店の夜逃げを防ぐ予防対策とは

最近数が減ったからこそ夜逃げの後始末に迷う大家さんが増えています。この事態を避けるためにはいくつかの対策を講じておく必要があります。

  • 法人=賃借人の契約は連帯保証人を代表以外にもう1名義務つける
  • 賃借人に賃料保証会社加入を必須とする
  • 滞納に甘い顔は絶対にしない

管理会社がなく大家さんご自身が管理される店舗不動産は数多くあります。大変とは思いますが夜逃げの抑止力は上記の点につきます。是非次の契約から対応してください。

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