食中毒は夏のものだと思っている方が結構多いと思います。それゆえ夏場は作り置きのカレーや煮物など一日一度は加熱して痛まないよう気をつけていると思います。
ところが秋から冬場は少々の事なら大丈夫だと安心していると食中毒を起こす危険が高まります。
飲食店でも、食中毒はどこか別世界の出来事の様に思っていて、特別に対策をしていないと言う方もおられます。実はいくつかの資料を見ると食中毒対策をしなければいけない事実が浮かんできます。
今回は、データを見ながら食中毒、とりわけ昨今発生が増えるノロウイルスなどに対策を講じなければならないことをご理解していただきたいと思います。
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食中毒を防ぐには、まずよく理解することから始める
一口に食中毒と言ってもある種の集合名刺なので、食中毒を引き起こす原因物質はいくつも存在します。
- 細菌
- ウイルス
- 寄生虫
- 化学物質
- 自然毒
などがそれです。それぞれ簡単に振り返ってみましょう。
細 菌
ぶどう球菌やサルモネラ菌などの細菌があげられます。厚生省が区分けしている原因物質でも15種類があげられており食中毒の約4割りはこの細菌により引き起こされています。なかでも一番多いのがカンピロバクターと呼ばれる細菌です。
この菌は、鶏・豚・牛の腸内に生息しており、加熱不足などで引き起こされます。また、鶏やその他の肉をさばくまな板で他の食材を調理することで起きると言われており、まな板を分けるかよく洗うように指導されているのはそのせいです。
細菌は食材の中で繁殖しますが、一度口から人の体に入ると増えないと言う特徴があります。だからこそ、夏場の保存状態により引き起こされることが多いというのはそのせいです。
ウイルス
これはノロウイルスがイコールと考えてよいでしょう。食中毒患者の約6割がノロウイルスによるものだと報告されています。主な感染ルートは二枚貝や牡蠣などノロウイルスに感染した食品を口にすることで発症します。ただ、感染力が強くウイルスのついた部分を触った手から移ることもあります。以前スーパーのトングから菌が見つかり感染源とされる報告がありましたが非常に怖い原因物質です。
このウイルスは、細菌と違い食品の中では増殖しません。口から人の体に入り人の体の中で爆発的に増える性質を持っています。
寄生虫
今年の夏前に話題となったアニキサスをはじめクドア、サルコシスティスなどの名前があがります。同じ食中毒でも細菌やウイルスが下痢や嘔吐を伴う症状に対し、寄生虫が胃や腸内で活動することによる痛みが伴うもので、同じ食中毒でも若干異なる症状のようです。
化学物質
家庭内で原因物質が誤って食品に混入するケースが一番多く報告されています。洗剤、漂白剤といったものがその最たるものですが、平成28年だけで300人近い方がこれらの物質を誤って口にしたことで食中毒症状を発症されました。
自然毒
これには2つの毒があがります。植物性と動物性です。植物の筆頭はなんといってもキノコです。平成28年で200人を超える方が発症しています。動物性はふぐなどがあげられます。資格を持った方でないと調理できないこともありその数は100人足らずです。
食中毒と季節
まずは下のグラフをご覧ください。
平成28年の統計を見ますと、食中毒患者の一番多い月は、12月の3,379名でした。続いて多かったのが3月の2,278名です。一年で一番熱い8月は1,224人と少ない方から数えて4番目となっています。
さらに12月をよく見てみると、細菌ではなくウイルスによる食中毒が9割以上を占めています。
さて、ノロウイルスが12月に多いという事実はよくわかりましたが。さらに詳細な発生状況を示したグラフが次の棒グラフになります。
ノロウイルスの発生は46週から51週にかけてピークを迎えています。これは忘年会の最盛期とクリスマスの時期と重なります。まさにこの2~3週間ほどに集中すると言うことです。
コロナ感染防止効果は期待できるのか
ノロウイルスを引き起こす原因の一つに「アルコール消毒」信仰があると言われています。昨今のコロナ予防対策で定着したアルコール手洗いはノロウイスに効果があるのでしょうか。
実は、ノロウイルスはアルコール消毒で死滅させることは出来ないのです。まな板、包丁などの調理器具、ドアノブやスイッチ類など消毒が必用ですが、塩素系漂白剤を希釈したものでふき取る以外でウイルスを死滅させることは出来ないのです。
飲食店でも簡単に作れる消毒液の作り方
次亜塩素酸ナトリウム消毒液の作り方(1ℓ)
<ハイターなど原液濃度5%の家庭用塩素系漂白剤を使用する場合>
2.5ℓの水に原液10mlを加えて混ぜる = 200ppm
一般的な拭き掃除に使用します。
※原液を50ml食われる場合は、1,000ppmの消毒液となります