Summaryーまとめー
- 飲食店ごとの浸水リスクの調べ方
- 避難レベルについてのおさらい
- 飲食店の浸水は3つの保険特約で備える
令和5年の梅雨は、東海地方で線状降水帯が発生し、新幹線がまる1日止まる事態が発生しました。
昨今の梅雨時の特徴は、局地的なものばかりではなく九州から北海道までの広い範囲にまたがって強い雨が同一エリアに長時間降り続く線状降水帯が発生すること多くなっています。
特に雨量の多い、福岡、高知、神戸、京都、岐阜、北海道だけでなく、いつ何時関東に襲い来るやもしれません。
さて、このような大雨による浸水の被害に対しご自身の店舗がどのようなリスクを抱えているのかあまり考えてこなかったと思います。
今回は、立地条件で異なるリスクの見方、水害に備える保険、TV報道にある避難レベルについてもおさらいしておきたいと思います。
Contents
飲食店の立地別洪水リスクの調べ方
地震や大雨に対する各自治体の取り組みは近年充実してきております。実際に被災されたエリアを参考に平時から有事に備えることが当たり前となって来たからです。
例えば、今回の様な雨量の大雨が東京で降ったとしたらどうなるか想定して見ましょう。
都内23区を含む各自治体では洪水ハザードマップというものを作成しています。これは各自治体のHPから見ることが出来ます。
浸水の予想を0.2m~5.0mまで4段階に色分けされています。この色分けされた中にご自身の飲食店が入っていたとすればすぐに対策を講じる必要があります。
また、東京都では、過去の大雨を参考にシミュレーションしたものや多摩川、荒川などの大型河川が氾濫した際のシミュレーションを落とし込んだハザードマップも別途作成しており、刻々と移り変わる雨量に対し増えるリスクを分かりやすく教えてくれます。
併せて、避難所の場所を記載していますので、もしもの時にどこへ避難すればいいのかもこの洪水ハザードマップで一目瞭然です。
もっとも、これらの大雨に関する洪水のハザードマップは1階や2階などの低層住宅や店舗向けのものであり、洪水の避難先としては「3階以上に避難しましょう」とも書いてあります。如何にも都会的な表現です。
大雨、洪水時の避難勧告のレベルを知る
避難勧告と避難指示どっちに強制力があるのか一瞬迷います。改めて避難レベルの整理をします。強制力の高い順位並べてみます。
- 警戒区域・・・設定した区域への立ち入りを制限、禁止またはその区域から退去を命ずるものです。従わない場合、罰金または拘留の罰則が科せられます。
- 避難指示・・・避難指示(緊急)。人的被害の危険性が非常に高い状況です。直ちに避難。外出することでかえって命に危険が及ぶ状況では、自宅内のより安全な場所に避難。
- 避難勧告・・・避難場所などの安全なところへ速やかに避難
- 避難準備・・・避難準備・高齢者等避難開始。いつでも避難できるよう、非常用持ち出し品を用意し家族や近所の人と連絡を取るなどの準備をする。避難に時間を要する人(ご高齢の方、障害のある方、乳幼児を帯同する方など)は避難を開始。
確かに土砂災害が発生した場所は警戒区域に指定され立ち入りが制限されていると言う報道は記憶にあります。また、避難勧告が出ているというのに避難所に来ている方は数名という報道もよく耳にします。
皆さん避難指示が出るまでは様子を見ていると言うことなのでしょうか。近年の洪水による災害では、自治体による避難指示が遅れたために逃げ遅れたと言う報道もあります。
「正常性バイアスが非難を遅らせる」
人は自分が経験したことのない災害に対して、まだ大丈夫だ、もう少し様子を見ようと考えるそうです。ここ数年大雨による災害が多発する九州でさえそうなのですから、水災害になれていない都内は言うに及びません。
幸い垂直非難が可能なこともありますが、早め早めの避難が求められます。
飲食店は大雨、洪水に保険で備える
TVの映像に移し出される飲食店などへの浸水の様子。土のうを積んで浸水を防ぐ努力や、泥水を一生懸命かき出す姿などおよそ他人事とは思えません。また、水が引いた後の店内を見渡して途方に暮れる姿はとても気の毒です。
さて、洪水による水災保険に入っていますかと聞いて、入っていますと答えられる飲食店がいくつあるでしょうか。
都内で保険と言えば火災に対する備えが一般的です。プラスするなら製造物責任保険特約つまり食中毒保険です。
今一度現在加入中の火災保険を確認頂きたいのですが、オプション契約でいくつかの条項が付加されている場合があります。それぞれ見てみましょう。
①物損害補償条項
風災や雪災に落雷などに水害による物損をカバーするものです。
飲食店の水害の場合、店内にあった食品や厨房機器など侵入してきた水の量次第では大きな損害が生まれる可能性があります。これらをカバーしてくれます。
ただ、掛金次第では損害を100%カバーしてくれるのか70%しかカバーしないのか分かれるプランがあります。洪水ハザードマップと相談して決めましょう。
ちなみに、この物損害補償条項というのは、単独で水災保険が用意されているのではなく、あくまでも火災保険のオプション契約として付帯するものです。
ですので、ご自身が現在加入されている火災保険にプラス料金を支払うことで加入することが出来ます。詳しくは保険代理店に問い合わせてみましょう。
②費用補償条項
読んで字のごとく水災の後処理でかかる費用を補償します。
たとえば、洪水による水の浸入でダメになってしまったテーブルや椅子、厨房機器、食材を廃棄する為にかかった費用や復旧までの間、仮設店舗を借りて営業する際の賃料なども補償してくれます。
③休業損害補償条項
水災から復旧した後に営業再開をするにあたり広告宣伝などを行う費用などを補償します。
~まとめ~
最近「過去何十年ぶりの○○」「観測史上始まって以来の○○」「想定外の○○」など自然災害の猛威はこれまでの常識が通用しなくなっています。
また、自然災害は当事者になって見ないとその恐ろしさが分からないとも言います。今後列島を覆う自然災害リスクは、気をつけていれば低減できるというレベルではなく高い確率で身の回りに降りかかってくると考えた方が無難です。
今すぐに現在入っている保険をチェックし、もし未加入であればすぐに加入されることをお薦めします。備えあれば患いなしです。