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飲食店 電子タバコはアリ?それともナシ?
最近電車に乗った際に目にした吊り広告が気になっています。「車内では、たばこ、電子タバコは禁止です」という内容のものでした。相前後してTwitterに流れて来たある投稿をきっかけに曖昧になっている電子タバコについて一度整理する必要があると思い今回の記事に致しました。公共の場や飲食店内で制限されている紙タバコと何が違いどこが同じなのを比較し、その是非について考えて見たいと思います。
タバコのみのマナー×
・飲食店が完全禁煙を決断した理由 電子タバコの吸殻を放置https://t.co/h9onpswlbr pic.twitter.com/B1iy5ffNLq— アソルティ (@Assorti_jp) 2017年10月26日
そもそも電子タバコとは
紙巻きたばこが、ニコチンやタールに発ガン性物質を含んでいることから肺ガンをはじめ多くの疾患を誘発すると世界的に警鐘が鳴らされております。さらには、たばこの葉を巻いている紙に問題があることはあまり知られておらず、たばこが途中で消えてしまわないよう紙に燃料材が練り込まれておりこれと共に紙が燃える際に出る煙も問題視されているようです。問題はたばこを吸うご本人に加え、間接的にたばこの煙を吸い込むことでおなじ状況に陥る受動喫煙がさらに問題視されています。
このままでは、発ガン性物質をまき散らすたばこを販売する会社は売上が減少するばかりです。そこで考え出された代替商品が電子タバコと言う訳です。
この電子たばこ、大きく2種類にわかれます。たばこの成分や葉が入ったカートリッジを電気で熱し、発生させた蒸気を吸引する「加熱たばこ」方式のものと、「リキッド」と呼ばれる液体を熱して発生させた蒸気を吸引する「VAPE」(ベープ)方式があります。本来どちらの方式もニコチンが含まれているのですが、日本では平成22年8月に厚生労働省から「ニコチンを含有する電子タバコに関する役位監視の徹底について」という通達がだされ、このVAPEに関してはニコチンを含まないものしか販売できなくなっています。
加熱たばこについて
2015年にフィリップモリスジャパンから発売された「iQOS」(アイコス)が人気となりオークションなどで高値が付くこともありました。なんでもフィリップモリス社は開発に数千億の巨費を投じたと言われています。この人気に続けとばかりにJT、日本たばこ産業が「ブルーム・テック」とブリティッシュアメリカンタバコの「glo」(グロー)が相次いで発売され日本における加熱たばこの覇権争いをしているというのが現状です。
紙たばこと電子たばこ、このたばこ共通点
- どちらもニコチンが含まれている
- どちらもたばこ税が課税されている(VAPEは課税されていない)
ニコチンの受動喫煙の観点から言えば紙タバコがダメで加熱たばこならOKということにはならないのではないでしょうか。
東京都、区ごとの対応は
品川区、渋谷区、大田区などは加熱たばこ、VAPEいずれも紙タバコと同じ扱いです。北区や杉並区の様に加熱たばこだけを紙たばこと同様に扱う区もありますが他の区では加熱たばこ、VAPEに規制がないようです。つまりところかまわず使用していいとなっています。この温度差はどこにあるのかと言うと、そもそも紙タバコの規制が受動喫煙よりも火のついたたばこによるやけどや服を焦がす危険などを想定して条例が制定されているため、加熱式たばこに対応していないことが大きな原因としてあげられます。では、この加熱式たばこ実際にはどのような位置づけなのでしょうか。たばこ被害を訴え続けているWHOの加熱式たばこに関するコメントを紹介します
- 喫煙よりは害は少ないかもしれないが、本当のところは未解決である
- 禁煙に役立つかどうか、喫煙の入口とならないかどうかは相反する成績が出ており未解決である
- たばこ産業は、たばこ消費量の減少を食い止める為に電子たばこを利用する意図を持っている
- 「禁煙と受動喫煙防止に貢献する」ためという口実で、電子たばこ販売を社会貢献の一環として進めている
- 電子たばこエアゾルへの曝露と、発火爆発事故を防止する為に、禁煙の場所での使用を禁止すべきである
気になったのは「5」の爆発です。電子タバコは、加熱をするためにリチウム電池を内蔵しています。少し前に問題になった外国製の携帯電話と同じで、過充電で発火の恐れや爆発の事故も報告されています。さてこのようなリスクがあることがちゃんと理解されたうえで公共の場での使用を認めるか今後広い議論が必要です。
飲食店の判断は
ニコチンや臭いに敏感な飲食店と言えばお寿司屋ですが、チェーン大手のすしざんまいは紙、電子どちらも不可となっています。逆にいち早く全面禁煙の店としてスタートしたスターバックスは店舗ごとに対応を分けているようです。お店の広さや造りで分煙可能かどうか判断をしているのだと思います。また、利用客がたばこ臭に敏感なホテル業界では、ニューオータニなどこちらも全面禁煙を打ち出しています。
夜にお酒を提供する飲食店は概ね紙たばこにも電子たばこにも寛容なお店がおおいのですが、ファミリーレストランや回転寿司など大型の郊外店では今後その対応が分かれるものと思われます。
電子たばこの今後
早くも来年増税のうわさが囁かれる加熱式たばこ、紙タバコとの税金の違いを簡単に見てて見ましょう。一般的な紙タバコに課税されている金額は、国税、地方税合わせて1箱当たり244.88円です。一箱460円のセブンスターですと、本体価格が181.05円にたばこ税が244.88円これに消費税34.07円掛かりますので、課税割合はなんと60.64%にも上ります。
これに対し電子タバコはカートリッジの重さに対して課税されます。日本たばこのブルームテックは、同じ460円の本体価格に占めるたばこ税金の額は60円と少なくその税割合は14,9%と紙タバコの4分の1程度でしかありません。なので財務省は今後の売れ行きを見ながら紙たばこに近い割合までの引き上げを狙っていると囁かれる所以なのです。
WHOの話にもありましたが、電子たばこについて有害性があるのかないのかはまだわからないとしています。仮に有害性が立証されたとしても別の商品が開発されることは間違いないでしょう。たばこ会社存続の為、税収確保の為です。ただ、自己責任で喫煙をする人とは無縁の周囲の人が受動喫煙被害にあわない手立てだけは早急に整備していただきたいと思います。
東京都が政府の決定に先駆けて受動喫煙防止の指針を打ち出しました。併せて、2020年のオリンピック、パラリンピックをきっかけに電子たばこのマナーやルールの議論も深まることを期待しています。