都内で不動産業者免許を持つ不動産会社の数はれ令和42年末で25、642社にもなります。近隣との比較で言えば神奈川の3倍、埼玉の4倍、千葉に至っては6倍という数になります。それだけ都内の扱い物件が多いことを物語っています。
インターネットが普及する前は、電話帳の様な分厚い不動産情報誌を買うか自分の足で不動産会社を回るしか方法がありませんでした。今ではPCどころかスマートフォンで簡単に物件探しが出来る時代となりました。時間をかけずに目的の不動産が見つかるいい時代なのです。
このように物件軸で不動産取引を考えた場合は確かにユーザー本位で便利になっていますが、果たして不動産会社の質もそれに追いついているのでしょうか。
今回は、ともすれば見逃されがちな不動産会社軸で不動産取引を考えた場合に見えてくるトラブルや落とし穴について考えて見たいと思います。
いつの時代もより良い物件の取引は、良い不動産会社選びからです。
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不動産免許番号の見方
ウェブサイトであれ紙媒体であれ不動産広告には必ず不動産会社の免許番号が明示されていなければなりません。(もし発見できないようであれば非常に危険です。)
東京都知事(1)第○○○○○号
国土交通大臣(1)第○○○○○号
何処かで見かけたことがあると思います。ここで注目するポイントが2つあります。まず知事免許か大臣免許かの違いです。
これは不動産の取引をする事業所をどこに置くかによってどちらかを選択することになっています。都内だけでオフィスを構えて不動産取引をするのであれば知事免許で十分です。
一方、複数県にまたがり営業所を構える場合は国交省の大臣免許が必要となります。
次に( )内の数字に着目してください。ここには免許を取得してから何回業者免許を更新をしたのかという回数が数字で入ります。
現在の更新は5年に一度です。平成8年3月までは3年に一度の更新となっていました。ここに(1)と入っていれば免許を取得してから5年以内となります。(3)と入っていれば10年以上15年未満の営業年数ということになります。つまり何年不動産業者として営業して来たかを知ることが出来ます。
更新回数から見た不動産会社の傾向
更新回数が多い不動産会社は、長く地元に根差した経営をされているケースが多く、その地で管理を任されている物件数が多いことが特徴にあげられます。通常、大家さんからの信頼が厚く入居テナントの選定や入替時の価格設定なども全て任されている場合が多く見受けられます。
従って、物件を借りたいと申込をしても不動産会社に気に入られないと大家さんの判断の前にお断りを受ける運命にあります。相手が不動産会社と思わず立ち振る舞いに気をつけましょう。
仮に、希望に合うような物件が出た際に一番に紹介をお願いをしても、お付き合いのあるお客様がが多い分連絡が頂けるかどうかは正直わかりません。足しげく通って顔を覚えてもらうことが一番の早道なのです。
一方弱点もあります。古くからの物件には強いのですが、新築やデベロッパー案件を含めウェブなどで公開されている物件には正直あまり強くありません。
これに対し、更新回数が少ない不動産会社はどうでしょうか。彼らは設立から年数が浅い為に管理している物件があまりありません。その代り「レインズ」と言って不動産会社だけが見ることの出来るウェブサイトから情報をいち早く探し出し掲載しています。お客様のニーズ登録をまめに行い毎日のように物件の発信をしています。
また、専門分野に特化した不動産会社が多く存在するのも更新回数が浅い会社の特徴です。
彼らは、更新回数が多い不動産会社にありがちな、マンション、戸建て、オフィス、賃貸、売買なんでもやりますというのではなく、飲食店舗仲介専門だったり、投資用ワンルームマンション専門だったりと特化することで差別化と迅速な情報更新を図っています。
営業年数に関わりなく老舗の不動産会社にはない情報量を誇っています。
来店型不動産会社とネット型不動産会社のメリット、デメリット
従来の来店型を活用してメリットがある方は、飲食店を出店するエリアを決めている方です。「ピンポイントで物件を探す」ならこのタイプです。ただすぐに物件が見つかるかどうかはタイミング次第です。
デメリットは実際に不動産会社を定期的に訪れないといい情報は入手できないことにあります。残念ながら、地元の方がどうしても優先される傾向にあります。
反対にネット型はどうでしょうか。どのような飲食店にしようか、場所はどこにしようかなどいくつか候補があって迷っているという方に向いています。そのメリットとは容易に比較検討が出来るからです。
ここで気をつけたいのは、1ヶ月以上もサイトに出ているような物件です。飲食店の居抜き物件に限らずどこかに問題があると予想できます。価格なのかお店の状態なのか地型が悪いのか理由があるから決まらないと判断すべきです。
この辺を担当者に単刀直入に聞き、実際に物件を見ることで借りてはいけない物件がどのようなものなのか判断がつくようになります。
これらの不動産情報を組み合わせて探すという方法もあります。最初はネットで広く物件を集めて研究し、ご自身のイメージがまとまったところで来店型の不動産会社を回ってみるのも良い物件探しの近道です。
飲食店舗探し 第三の不動産会社とは
マンションやオフィスビルでは一般的なサブリース会社が飲食店舗の分野でも増えつつあります。専業のところもありますが、どちらかといえば仲介をメインにしながらいい物件だけをサブリースをするという不動産会社が増えています。
なかには、お客様が決まりそうになってから慌ててサブリースに切り替える会社もありますし、ひどいところは大家さんに断りもなくサブリース契約と称して募集をしています。
その結果大家さんからお叱りを受けると言ったトラブルも耳にします。事前に大家さんとサブリース契約を結んでいるかどうか確かめる必要があります。
メリットはたくさんあります。貸し出し中のサブリース物件のなかで、自分が気に入った物件がもし解約になるようなら貸してほしいと申し入れておけば優先順位が高くなります。
また借りたいと思う条件を伝えておくことで、一般公開前に不動産会社から連絡が来ることが多いものです。不動産会社も物件を仕入れる前に次の借手が見つかっていた方が安心だからです。
~まとめ~
日本の不動産会社の9割以上が従業員5人以下の事業所という統計があるように、基本不動産会社は少人数で営業しています。
これを可能にしているのが護送船団方式にも似た相互営業方式です。つまり誰かが不動産物件情報を公開すると、その物件に誰かがお客様を見つけてきて手数料を分け合うという図式です。
本来物件情報を独り占めするというよりも大手情報会社が運営している不動産サイトの様に広く開かれた取引でなければならないはずですが、物件数に対して物件を探すお客様が格段に多い飲食店の居抜き物件情報は、一部の不動産会社で情報を広く公開することなく取引してきたことが健全なマーケットに育ってこなかった経緯があります。
今後、この分野で健全な取引が行われることで更に数多くの物件情報が世に出てくるに違いありません。