コロナが終焉し日常が戻った令和6年、土曜日の集客を増やせないか相談を受けました。
そのお店がある場所は、古くからの高級住宅地に近く、子育てを終えたご夫婦をよく見かけるというような立地です。シルバー世代はコロナ禍でペットを飼う方が増えたと聞きます。そこでペット同伴で利用できるお店として宣伝してみたらどうかと話がまとまりました。
結果どうなったでしょうか。土曜日だけでなくそれまで全く利用されていなかった午後の時間にもお客様がペット連れで来店されるようになり売上が伸びたと手ごたえを感じている様子でした。
ペットを家族同様大切にされている方がより一層増えています。ご主人たちが外で食事をする際は、家でお留守番が定番だったのですが、家族の一員であるペットも同伴できる飲食店はないものかと利用されるようになったものと考えられます。
今回は、飲食店の売上アップをペット同伴にすることで実現できないかと考えた時に、押さえておかなければならないポイントを検証します。
Contents
飲食店がペット同伴可で保健所は大丈夫か
ペット同伴とは趣を異にしますが、最近は動物をおくカフェが人気です。
犬、猫にとどまらず、フクロウなどの猛禽カフェに爬虫類をおくカフェもあります。ちゃんとした料理まで出すお店もあり、ペット同伴程度なら問題ないと思われるのですが。
本来厚生労働省が打ち出している飲食店など営業店舗の基準としては、「店内で動物を飼ってはいけない」こととされています。しかし実際には各自治体により柔軟に運用されているようです。
- 客席に動物がいる・・・〇
- 厨房に動物がいる・・・×
上記のような区分けのようです。ですので、客席と厨房の縁がちゃんと切り分けられていて、客室を歩いた履物で厨房に立ち入るようにしなければOKです。
これまでペットと飲食店の衛生基準は相いれないような判然としない感覚がありましたが、どうやら飲食店のペット同伴は問題なさそうです。
飲食店がペット同伴で気をつけなければならないこと
同伴ルールの明示
一口にペット同伴可と言っても犬と猫が共存する環境は考えにくいでしょうし、同じ犬同士でも大型犬や小型犬でお店の対応も異なります。
まずは、ペットなんでもOKとはせずに、店側で受け入れ可能なペットの「表示」をしましょう。
「小型犬のみ同伴可」「リード着用」などがそれにあたります。
また、店内をペット同伴席と一般に分けるのもお客様同士が気兼ねなく利用できるという点で有効です。
例えば、テラスがあるような飲食店では、テラスのみ同伴可能としているお店を見かけますが同じ考え方です。不要なトラブルを起こさない為にも店頭でシッカリ表示しましょう。
清掃(バッシング)の強化
犬にせよ猫にせよ毛が抜けるペットを同伴させるとなるとマメに清掃を行う必要が生まれます。
床、椅子やソファの座面などです。舞い上がった抜け毛が料理に紛れ込むだけでなく雑菌を感染させる可能性もあります。
ペット同伴のお客様が帰られた後はその都度床の清掃(粘着テープを利用)、テーブル、座面のアルコール消毒をルーティン化することをお薦めします。
臭い対策(備品準備)
人間が年を取ると介護が必要なように、年老いたペットと暮らす場合やはり介護が必要になります。
最近ではオムツをつけているペットを見かけることがありますが、飲食店でもペットのし尿対策は考えておくべきです。
一気に水けを吸収するペットシーツや消臭剤などは必需品です。良く躾けられてはいると思いますが、備えは万全にしておきましょう。
犬同士のケンカに注意
ドッグランと違いカフェでペット同士がけんかを始めると言うのは考えづらいのですが、無い話ではありません。
猫などと違い犬などは結構危険です。もしもの時の仲裁方法は知識として店側は知っておくべきです。
「犬の顔に水をかける」
こうすることでその場は一旦収まります。そのすきに飼い主が双方のペットとコンタクトしてクールダウンをさせます。間違っても人の声でケンカを辞めるように大声を出しても何の効果も無いようです。
ドッグメニューを加える
以前、日本初進出のハンバーガーショップがドッグ向けのビスケットを1,000円で販売し話題になりました。
全粒粉を使用した無添加、合成着色料を使用していないなどの気配り商品です。別のペット同伴カフェでは、おからを原料としたクッキーやヨーグルトを使用したメニューをそろえているところもあります。
単にペットと一緒に入れる飲食店ではなく、ペットに配慮した飲食店、もっと言えばペットが喜ぶ店づくりをした方がよりお客様を集めることが出来ますので確実に売上アップに繋がります。
盲導犬・介護犬
盲導犬や介護犬はペットではありませんが勘違いをされる方がおられます。
ペット同様店内に入ることをお断るする店員や飲食店がありますがこれは大きな間違いです。2002年に盲導犬法が制定され、病院であっても盲導犬の立ち入りを拒むことはできないのです。
日本盲導犬協会がまとめた盲導犬お断りの実態を見ても飲食店での理解が進んでいないことがよくわかります。この点は誤解のないように理解しておきましょう。
~まとめ~ 飲食店はペット同伴で売上アップを狙う
ペット同伴が出来る飲食店は、どこか喫煙可能な飲食店と似たところがあります。
たばこの煙は受動喫煙といって他人の健康に害を及ぼす可能性があります。ペットに関してもアレルギーを持つ方にとっては深刻な問題です。両者がゼロサムの関係(一方の利益が他方の損失となる関係)にありますので、飲食店側の割きりが求められます。
文中でも触れましたが、喫煙を認めている飲食店が分煙をしているように、ペット同伴の飲食店ではエリアを分ける配慮が必用でしょう。