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飲食店を開業する時に防火管理者は必要?その基準と疑問にお答えします

防火管理者-飲食店-必要

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Summary-まとめー

  • 防火管理者の業務とは
  • 防火管理者が必要な飲食店、その基準とは
  • 防火管理者になるには
  • 防火対象設備使用開始届
  • 防火管理者のよくある勘違い
  • 飲食店開業に防火管理者は必要かー結論ー

大規模な火災が起こるたびに改正される消防法。平成28年の暮れ、新潟県糸魚川町で起きた大規模火災は見る人の眼を奪う大火災でした。あれだけの災害を引き起こした火元が1軒の飲食店だったこともあり早速消火器に関する法改正がなされています。

これまで150㎡以上の飲食店にのみ設置が義務付けられていた消火器は、2019年10月1日より面積の如何に関わりなく設置が義務付けられることとなりました。

さて、このような防火に関する事業所ごとの責任者はいったい誰だとお思いでしょうか。

飲食店で言えばオーナーや店長、つまり会社で言えば社長にあたる方です。確かにそうかもしれません。ただ、国は消防庁をして防火管理に関する法令を長年に渡り義務付けております。

今回は、飲食店にフォーカスした防火管理の在り方やよく質問の出る防火管理者の設置基準について解説いたします。

Contents

飲食店を開業する際の防火管理者の役割

飲食店を開業する時の役割の前に、まず防火管理者について、そもそも防火管理者とはなにをする人なのか解説しましょう。

消防法施行令第3条の2で、防火管理者の責務について次のように規定されています。(抜粋)

  1. 消防計画の作成及び届出
  2. 消防計画に基づく業務
  •  消火、通報及び避難訓練の実施
  •  消防の用に供する施設、消防用水又は消化活動上必要な施設の点検及び整備
  •  火気の使用又は取り扱いに関する監督
  •  避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理
  •  収容人員の管理
  •  その他防火管理上必要な業務

3.火元責任者その他防火管理業務従事者に対する必要な指示

となっています。

飲食店で防火管理者をする場合このなかで特に求められる業務が、

  • 消防計画の作成と届出
  • 火気の使用又は取り扱いに関する監督
  • 収容人員の管理

の3つがあげられます。ではなぜこの3つを上げたのか、防火管理者の設置が義務付けられている対象物の基準と併せて確認します。

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防火管理者が必要な飲食店とその基準

防火管理者の要不要を分けるポイントがあります。それは、お店の収容人数です。30人以上か30人未満かで法律が分かれます。

更に言えば、この30人という数字のカウントの仕方です。収容人員と表記されると店舗内の席数を連想しがちですが、そうではなく従業員数にアルバイトの数を加えて算出されます。

仮に席数が23席、従業員が2人、毎日来るアルバイトが2人だと計27人という計算になり防火管理者は必要ありません。但し、次のようなケースはそうなりません。

日替わりで雇っているアルバイトがシフトの関係で全員で5人が入れ替わり出勤しているような場合、現場の人数ではなく、飲食店に来ていない非番のアルバイトも含めた総勢30人というカウントになるのです。この場合、防火管理者を必要とする対象物扱いとなります。

このことが、防火管理者の業務でいう収容人員の管理にあたります。お気を付けください。

【飲食店舗の収容人数】

30人未満・・・防火管理者の必要はなし

30人以上・・・防火管理者が必要

その上で、

【店舗の延べ床面積】

300㎡未満・・・乙種防火管理者の届け出が必要

300㎡以上・・・甲種防火管理者の届け出が必要

この防火管理者の選任届は所轄の消防署に「営業開始日までに」届ける必要があります。

防火管理者になるには

開店しようとする飲食店を管轄する消防署で防火管理者講習を受ける必要があります。予め講習日を予約しないと受講できません。予約も電話ではなく実際に所轄の消防署を訪ねて予約をしなければなりません。

また、防火管理者といっても2種類あり、対象物の規模や収容人員によりどちらを受講しなければならないのか定められています。その区分は次のように規定されています。

甲種防火管理者は、防火対象物の用途、規模、収容人員にかかわらず全ての防火対象物の防火管理者として選任することが出来るが、乙種防火管理者は、小規模な防火対象物(乙種防火対象物)の防火管理者としてしか選任することができない。

実際の講習会は以下の通りです。甲種防火管理者でまる2日、乙種防火管理者でまる1日の日程となります。受講にはテキスト代として5,000円程度の費用がかかります。

1日6コマの講習の始まりには必ず点呼があります。受講漏れがあると後日再受講となります。また、最後に簡単なテストもありますのでシッカリ受講しないと資格をくれません。

この講習を受け防火管理者となった後に、所轄の消防署に「防火管理者選任届」と「防火管理者資格」を出せばようやく次のステップです。

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防火対象設備使用開始届

居抜きで手に入れた飲食店舗であっても「防火対象設備使用開始届」を所轄の消防署に出す必要があります。

以前から居抜き店舗を扱う不動産会社さんは、必要ないと言うかもしれませんが、冒頭で書きました糸魚川大規模火災により平成28年以降厳しくなっています。

東京消防庁のホームページを見ますと、工事を行わなくても届け出が必要と書いてあります。届出の時期も「使用開始7日前まで」となっていますので、もし工事をなさるのであれば内装業者が届けるとして、なにも手を入れずに居抜きで開業される場合であっても、所轄の消防署への届け出を済ませられることをお薦めします。

よくある勘違い(重要です)

自分たちの飲食店は、収容人員30名なので防火管理者の義務がないと思われた方の中で、3階以上の建物で一部テナントとして入居される場合は注が必要です。

例えば複数入居するテナントビルでは、飲食店や美容室、オフィスに拘わらず全ての収容人員を合算します。それにより同一建物で50人を越える場合は必ず各テナント毎に防火管理者の資格を取らなければなりません。

飲食店開業に防火管理者必要か?~結論~

2018年10月に築地魚市場は豊洲へと移転しましたが、2017年場外の飲食店から出火し複数の建物が消失しています。出火の原因はガスレンジの伝導過熱により壁体内部から出火したとされています。

防火管理者の業務の中に、火気使用に関する監督という事項がありますが、火元を壁面から15cm、上方100cm離すと定められているという知識を活かすことができれば場外のような惨事は未然に防げたと思います。

すなわち防火管理制度の冒頭に記されている言葉が防火管理者の真の役割だと思います。

防火管理とは、このように火災の発生を防止し、かつ、万一火災が発生した場合でもその被害を最小限に止めるため、必用な万全の対象を樹立し、実践することをいう。

飲食店を開業する時に、うっかり忘れてしまいそうでとても大切なコトが防火管理者の存在です。飲食店での防火管理者の必要・不要は規模などの制限があるものの、あなたのお店の将来性を考えた場合、お店のオーナー自身が防火管理者となっておいた方がいいでしょう。

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