Summaryーまとめー
- 求人の状況は今
- アルバイトの実態
- アルバイトが辞めてしまいたいと思った理由
- 面接をキャンセルする理由とは
コロナが5類に移行し、世間が日常を取り戻した、閉店の相談に来られる飲食店オーナーがこのところ増えています。その理由をたずねてみると「人手不足」という返事が返ってくることが大半です。それは、個人店でも複数店舗を持つ企業でも同じで、2種類のタイプに分けることが出来ます。
一つは、人材が集まらない為にお店が回らなくなり、経営者自身がオーバーワークで体を壊されるパターンと、数の問題ではなく、調理を取り仕切ってきた従業員が辞めたことで味のレベルを落としたくないと閉店するパターンです。こちらは複数店舗を経営されている場合に多く見受けられます。
今回は、物理的に人手が不足している飲食店の現場で、アルバイト採用に関して意識すべきポイントを中心に話を進めたいと思います。
Contents
令和の求人状況はどうなっているのか
コロナ前の2018年6月に厚生労働省から発表された全国の一般職業紹介状況レポートをみます。サービス業種のなかで、飲食物調理の職業の有効求人倍率は「3.14倍」、接客・給仕の職業の有効求人倍率は「3.91倍」。全体平均の「1.37倍」に比べると3倍程度で収まっています。この数字を見て多いのか少ないのか判断できません。
では、東京のハローワーク上野が出している同様の指標を見てみましょう。こちらはフルタイムとパートタイムに指標が分かれています。
フルタイム ・・・ 飲食物調理 12.55倍
接客・給仕 30.62倍
パートタイム ・・・ 飲食物調理 7.29倍
接客・給仕 44.79倍
調理をする人材はフルタイムつまり正社員としての求人が多いのに対し、接客・給仕では圧倒的にパートタイムつまりアルバイトの求人が多いことが分かります。
最初に示した厚生労働省のデータが全国平均、フルタイムパートタイムを合わせたデータであることを考えると都内の飲食店がいかに求人に窮しているのか伺えるデータとなりました。
アルバイトの働き方の実態は
実際に飲食店でアルバイトをしている女性に話を聞いたところ最近のアルバイト事情が分かってきました。
かつてアルバイトといえば、一つの店舗で長く続けるというのが一般的でした。ところが最近のアルバイト達はいくつも掛け持ちをする人が増えているそうです。
例えば、昼はイタリアンでアルバイト、夜は日本食店でアルバイトといった具合です。また、週の中で月曜と火曜日はカフェ、木曜と金曜は居酒屋というパターンもあるようです。
この背景には、人との出会いや興味があるという理由の他に、同じ職場で長く働くことに抵抗があるようです。時給が変わらないのに後輩アルバイトの指導やシフトの穴埋めなど責任を負わせられるぐらいなら気楽に働きたいというのです。いまどきの発言と思いました。
アルバイトが辞めた理由を採用にいかす
- 思ったより体力的にきつかった
- 面接で聞いていないことをさせられた
- 他の人と溶け込めそうになかった
ある大手求人会社から出されているレポートにある会社を辞める理由です。
逆に言えば、一度でもアルバイトをしたことがある人であれば、同様のことがおこらない働き先を探すはずです。飲食店はこの部分を採用時に明確に伝えるべきでしょう。
応募後に面接をキャンセルする理由
下記の表をご覧頂きたいのですが、同じ求人サイトの調査データです。題して「面接をドタキャンする理由」です。
採用を成功させる対策を考える
先ほどのキャンセル理由の内トップ3つの理由はアルバイト自身の都合(理由)ですから飲食店側はどうすることもできません。注目したいのは4番目、6番目、7番目、8番目、10番目です。それぞれに対策を考えてみたいと思います。
その会社・お店からの連絡や対応が遅かったため
アルバイトを探している人の行動パターンを考えてみましょう。以前の様にアルバイト雑誌を見ながら一件一件電話をして面接を申し入れる時代ではありません。携帯電話からネットで面接を申し込むことがほとんどです。
ですから、これはというアルバイト先に数件は面接の申し入れをします。すぐにレスポンスのあったアルバイト先であればまずは良かったと安心します。これが、1日経ってからおっとり刀で連絡しようものなら無視されてしまうのが関の山です。
ここから読み取れるのは、面接の申し入れに対する店側のレスポンスは早ければ早いほど採用の確率が上がると言うことです。面接の日程もすぐに設定しましょう。
条件や仕事内容が想定していたものとは違っていたため
どちらかと言えば、アルバイトを辞める理由に近いかもしれません。サービス残業をさせられたとか、急に呼びだされて予定外の勤務をした、なかには業績連動ボーナスがあると言って結局支給されないだとか、話が違うというだけで今はブラック企業の烙印を押されてしまいます。いいとばかり求人欄に書いてはいけません。
その会社・お店の対応が悪かった
これは面接時のことが想定されます。面接時に対応した人がたばこを吸っていただとか、言葉使いが乱暴だったとか、面接にくることが店内で共有されていなかった、面接の時間にお店に行ったものの長い時間待たされた等々枚挙にいとまがありません。心当たりはありませんか。
インターネット等で調べた結果、やめた方が良いと判断したため
飲食店の採用で一番怖いのがこの事かもしれません。いわゆる口コミです。元のアルバイトや面接にきた希望者による生の声として書き込まれたものです。事実ではない等困った背景があったとしても一度書き込まれてしまうとよほどのことがないと取り消すことが出来ません。そのことを踏まえてお店側は、対応や面接に十二分に気を配って行いましょう。
下見をした結果、辞めた方が良いと判断したため
面接の日が決まった後、事前にお店を下見ついでに利用する人が多いようです。訪れたお店の店員が活気がなかったり、がさつだったり、また少ない人数で恐ろしく忙しそうにしていたり、お店の清掃が行き届いていなかったり、自分自身がそこで働いている姿を想像した時にこれは大変そうだとか苦労しそうだと思えば誰も来てはくれません。普段からお店の清掃、店員の教育など地道な積み重ねが結果アルバイトの来てくれる飲食店となるのです。
~まとめ~
時給を上げたのにアルバイトが来てくれない、折角採用できたアルバイトがすぐ辞めてしまう、これは世間の風潮と一言で片づけられる問題ではなく、それぞれの飲食店に根差した問題でもあるとお分かり頂けたと思います。
今回のテーマでも、このようにすればアルバイトは働きにきてくれますと書くことはできますが、そもそもアルバイトをする世代の人たちの考えや価値観を知らずして彼らから選んでもらえるような飲食店造りは出来ません。
飲食店経営者が一念発起してお店の働き方改革を行えば、アルバイトが来てくれるばかりでなく間違いなく繁盛店になっていることでしょう。