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吉野家の定期券で考える飲食店 繁盛する方法

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吉野家の定期券で考える飲食店 繁盛する方法

牛丼の吉野家が甲子園球場近くに2,000店目をオープンしたと発表がありました。記事を読んでみますと店舗数の事よりも看板の事がクローズアップされており話題となっているようです。それは、吉野家独特のオレンジ色の看板を甲子園球場をフランチャイズにしている阪神タイガースのユニホームカラーにしているようです。名より実をとった作戦です。

うまい、早い、安いのキャッチフレーズで5店舗から5年で一気に266店舗まで伸ばした伝説のナショナルチャーンも紆余曲折の末この店舗数にたどり着いているのですが、今回注目したいのは2018年4月より始めた割引定期券についてです。この割引定期券、系列のうどん店でも利用可能なうえに、ほぼ1ヶ月半の間何回来店しても80円引きになるようです。

今回はここに隠された儲かりの仕組を検証しながら個人の飲食店でも応用できないか考えてみたいと思います。

共通定期券

まず目を引くのが次のコピーです。「毎日80円引き」「みんなで使える!テイクアウトでも使える!」とあります。姉妹店のうどん屋に行けば天婦羅1品無料のサービスが受けられます。この定期券、無料で配布したのかと言えばさにあらず1枚300円で販売しています。なぜ300円という値段で売ったのでしょうか。

もし、新規の顧客を開拓するのであれば無料キャンペーンのようなインパクトがないと旧来の牛丼というイメージを打ち破ることはできません。もっとも、某携帯電話会社と組んで金曜日に牛丼1杯無料になるキャンペーンは、無料牛丼を求める人の列で車の通行に支障をきたしチョットした社会問題となりました。この展開の後で有料定期券を出した狙いを考えると、今度はリピーターに向けた戦略ではないかと想像がつきます。以下に検証してみます。

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300円という価格設定はどこから

今回は並盛420円を例にとって検証してみたいと思います。

単純に300円の元をとろうと考えれば、

80円×4回=320円 > 300円

つまり1ヶ月半の間に最低でも4回は来店することになります。短期間に4回も牛丼が食べられるわけですから、リピーターというよりはもはや牛丼マニアの域です。

キャンペーンを始めるキッカケ

1ヶ月半の間に4回という数字はどこから来ているのでしょうか。これはカレンダーを見ると想像がつきます。4月1日から5月7日はゴールデンウィークを挟んで6週にまたがっています。内ゴールデンウィークの休日が6日あります。この割合を祝日が無かったとした場合の日数26日営業日で割ると約23%にも上ります。当然なにも手を打たなければ営業日が少なくなる分売上は落ち込んでしまうことは必至です。つまり、休日以外の平日に休日に失われる分の売上を上げようという作戦です。週ごとに1回利用すると4月中に4週あり元が取れる計算です。さらに休み明けの5月7日(月)を含めることで5回目の来店を誘導しておりお客様にとっても買ってよかったと言う満足が得られる仕組みとなります。

この発想を個人店で拝借すると

一つの例ですが、10坪で15席の飲食店をモデルに考えてみたいと思います。

  • 月 商: 150万円
  • 月の稼働日:  25日
  • 客単価: 3,500円

今回の連休では休日が6日間あり想定売上は115万円まで落ち込む計算です。差額を客単価で割ると、100人に相当します。これを期間の稼働日27日で割ると1日あたり3.7人分に相当します。さてこの人数をどうとらえますか。

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集客のポイント

1.低稼働時間帯の集客

最初に考えたいのが、お店の稼働状況から客の入りが悪い時間帯限定でサービスを組み入れる方法です。分かりやすい例で言えば夕方5時前の時間帯でよく目にするハッピーアワーなどがそれです。ドリンク価格を割り引いて早い時間帯の稼働を上げています。逆に21時を過ぎると新規のお客様の入りが悪いというのであればその時間帯で同様の仕掛けをすればいいのです。名付けてレイトハッピーアワーです。

2.回転数を上げて不足分を補う

プラス3.7人と考えずに、回転数を上げることで売上を確保することも考えられます。食べ放題などに近い発想です。「ドリンクすべて半額。但し1時間のみ」この方式のいいところはこうです。いくらドリンクを半額にしても長い時間席を占拠されては、利益の稼げる料理が後半で無くなり返って赤字になります。ところが同じ時間で2回転すれば、客数が増えることで経費の部分がまかなえますし、なにより料理のオーダー数が落ちない分利益が出せます。

3.前日予約でドリンク半額やワイン1本プレゼント等

割引のインセンティブをつける代わりに予約をして頂くことで、効率よく席を埋めることが可能になります。予約の電話を受ける店員は、一番利用しやすい時間帯で予約をとることで、前後のお客様が入りづらい席割をするのではなく、「もう30分早くなりませんか」だとか、「もう30分遅くなりませんか」と軽く交渉することで前後の予約がとりやすくします。ここは店側の工夫次第で上乗せは可能です。

吉野家の定期券が300円でほぼ4回の利用を確保したとしましょう。さて最終日に5回目を利用する方が1店舗当たり仮に20名いたとするとどうでしょう。420円の牛丼は80円引きで340円です。最近吉野家牛丼の原価率がほぼ50%と言われていますので原価は210円です。当然差額の130円は利益となります。つまり、

130円×20人×2,000店舗=5,200,000円

本来来店することがなかったであろうリピーターに1回でも多く足を運ばせるだけで単純計算でこれだけの利益を稼ぐことが出来るとはよく考えられた作戦です。

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