飲食店 おしぼりで繁盛する店しない店の違い

飲食店 おしぼりで繁盛する店しない店の違い

都内でも一時おしぼりを出さない飲食店が増えたのですが、最近はまたその数が戻ってきたように思います。このおしぼり食文化、そもそも日本が発祥の地であることはご存知のことと思いますが、その起源については、室町時代まで遡る記録があるのは御存じないと思います。また、おしぼりの語源とされるのは、江戸時代の旅籠に由来すると言われています。旅人がワラジを脱ぎ、手拭いを手桶の水で濡らして“しぼって”使用したところから来ていると言われています。どちらのエピソードもその時代のホスピタリティーをおしぼりで表しています。今回飲食店のおしぼりにフォーカスして現代のホスピタィティーに及ぼす影響を考えて見たいと思います。

このところのおしぼり事情

おしぼりと言えば2種類あったように思います。自家製おしぼりと貸しおしぼりです。昭和の時代、お店の軒先には数多くのおしぼり用タオルが干してあった記憶があります。それを開店前に従業員やアルバイトが一本ずつ丸くたたむのが日課だったのではないでしょうか。均一に整えられたおしぼりは、カゴに入れられ専用の蒸し器で蒸されてお客様に提供されていました。その後、アルバイトの時給上昇はタオルを洗ったり折りたたむ時間がコスト上昇を招き、賃料の上昇はタオル蒸し器を置くスペースを奪っていきました。

やがておしぼりの主役は、貸しおしぼりへと移って行くことになります。

おしぼりと言えばタオル地でロール状に巻かれたものを想像します。各社バラつきはありますが、1本数十円です。これに対しコンビニのお弁当を買った時などに付けてくれる紙おしぼりはわずか数円です。目的は同じでも数十倍の開きがあります。一時広がった飲食店の低価格競争に対応すべくこぞって紙おしぼりに変換していったのはこの価格に秘密があったようです。ところがどうでしょうか。このところ紙おしぼりをやめて従来のタオル製のおしぼりに戻りつつあります。この変化はどこに原因があるのでしょうか。

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客単価とおしぼりの関係

通常お店にお邪魔して席に通された時におしぼりが提供されます。その飲食店で出されるおしぼりは基本その1本のみです。料亭とまではいかなくても客単価が5,000円を超える飲食店ぐらいからおしぼりの提供の仕方が変わってきます。トイレに立った後に新しいおしぼりを出してくれたり、食事が一通り済んで最後のお茶やコーヒーが出されるタイミングでおしぼりを出してくれたりと1回の訪問で3本も出してくれる飲食店まであります。そう言えば、高級と言われる銀座や赤坂のクラブも同様です。

こうやって見て行くと高額の飲食代がかかる高級店になるほどおしぼりの消費量が多いことに気づきます。少しでもリラックスしておもてなしを受けているという気分に浸れるようお店側が気配りをしていることに他なりません。つまりおしぼりは日本人にとって大事にもてなされているというバロメーターでもあるようです。

残念なおしぼりは繁盛店にあらず

最近おしぼりに関するアンケートを見かけました。おしぼりで顔を拭くのは是か非かというものでしたが、意外や最近はマナー違反にあらずという意見も増えているようです。男性から絶大な支持を受けるおしぼりでの顔ふき行為、女性がいぶかる理由の一つに、メイクが落ちるのでやりたくてもできないというやっかみがあるのではないかという意見があるようです。

さて、ビジネス街のことに居酒屋あたりで頻発するおしぼりでの顔ふきで、あることを聞きつけました。おしぼりを顔に乗せた時に生乾きの臭いがするというもです。一日の疲れを晴らそうと訪れたお店で一息つけるはずのおしぼりが臭いとなれば最悪です。当然次回その店に行くのがためらわれます。工場で十分な衛生管理のもと出荷されるはずのおしぼりのどこに問題があるのでしょうか。

おしぼりとは高級ホテルのトイレに置いてあるような乾いたタオルではなく湿気を含ませた状態でビニールに袋詰めされています。これをおしぼりウォーマーやクーラーで温めたり冷やしたりしているのですが、実は貸しおしぼりには消費期限があってその期間内に使用しないといろいろと問題が出てきてしまうというのです。その為貸しおしぼりを提供している会社は、週に2度3度配達と回収をしているのです。つまり、臭いの原因はこうです。

本来消費期限1日程度の貸しおしぼりをウォーマーやクーラーに入れてお客様に提供するのですが、消費しきれずに翌日や翌々日に持ち越すことが主な原因なのです。それに輪をかけているのがくだんのおしぼり器です。一旦過熱、加冷をした後夜電源を落とすことで袋内の湿度が戻り洗濯物の生乾きの臭いの発生源となってしまうのです。よくお店で無造作におしぼりを詰め込む光景を見かけますが、そのことでお客様が減るとは夢にも思っていないはずです。

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五感に訴えるおしぼり

これに対し繁盛店はどのようなおしぼり対策をしているかといえば、お客様が来店される数や来店後の使用を考えておしぼり器にセットしています。当日余ったおしぼりは廃棄です。また、顔に乗せた時にほんのりいい香りが楽しめるように工夫をしています。おしぼり器内に香りのシートを入れ無臭のおしぼりに香り付けしています。ほのかな香りは女性客にも評判が良いようです。

冒頭でお話したお店の従業員が作るおしぼりを出す老舗は今でもありますが、いくら洗い替えがきくと言っても繰り返し使える回数は20回からせいぜい30回が限度のようです。それ以上は、手触りもさることながら顔に乗せた時にザラザラ感が出てしまい、先程の生乾き臭とは違った不快感を与えてしまいます。タオル地の風合いには十分気をつけたいものです。

10月29日はおしぼりの日だそうです。10本の指=手をふ(2)く(9)というのがその起源とか。また、東日本おしぼり協同組合によりますと、1週間に消費されるおしぼりの本数は5600万本で1日あたり800万本にも上ると発表しています。如何に日本人がおしぼりに癒しを求めているかわかる数字です。

今回取り上げたおしぼりから見えてきたことは、最近飲食店の繁盛に欠かせないというクリンリネス(清潔)とホスピタリティー(おもてなし)の一番の入り口がこのおしぼりであることがうかがえます。ゆえにここで手を抜いたり、不具合に気付かずにいるとお客さんが離れて行ってしまう大きな要因となることを知っておいてください。

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