飲食店の閉店 知らなかったでは済まされない手続き・届出とは【業界人が語る】

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photocredit:pakutaso

飲食店 閉店手続きとは

飲食店の閉店手続きでは、

  • お店の賃貸借契約で定める解約予告通知を大家さんもしくは管理会社に提出が必要
  • 保健所へは閉店から10日以内に届出が必用
  • 深夜営業のお店は、閉店から10日以内に警察署に届出が必用
  • 税務署へは、閉店した年の翌年3月15日までに届け出が必要

つまり、飲食店を開業する際に届出をした公共機関には、消防署を除き届出が必用なのです。

1 閉店時に必要な手続き・届出

飲食店を閉店するタイミングは、それぞれ違います。

解約予告期間に従って数か月の時間の中でその時をむかえる方、急に実家に帰らなければならなくなり慌ててお店を人に譲ることとなった方、体調を崩されてお店に立てなくなる方など様々です。

閉店を決意した時から閉店まで、時間があるとないに拘わらず、必要な届出、手続きがあります。中には手続きを忘れて放置してしまい、後から請求が来てしまっただとか呼び出し状が届いただとか聞いたことがあります。

実は、飲食店を閉店するためには、開店時に行ったのと同じか、それ以上の届出や手続きが必要なってきます。

今回は、閉店時で気持ちがあがらない中であっても、必ず行わなければならない手続きについて考えてみたいと思います。

2 借入金がある場合

お店を開店する際に国民政策金融公庫や保証協会で融資を受ける方は大勢いらっしゃいます。万が一、返済期間中に閉店を余儀なくされる場合は仮に月々の支払いを閉店後も払い続けることが出来たとしても必ず金融機関の窓口を尋ねて事情を説明してください。なぜなら、融資の対象がなくなるわけですからお金を借りた趣旨と異なるからです。だからと言って直ぐに残額を一括返済しろとはなりません。

なぜ報告をした方がいいのかと言えば、先々飲食店を再開する際にプラスになるからです。もし事情があって閉店したにも拘わらず月々の支払いを怠らず完済していれば次に融資を申し込んだ際非常に有利に評価してもらえます。もし、なにも言わずに閉店し返済が滞ることにでもなれば結果がどうなるか想像に難くないと思います。

3 リース契約がある場合

長年、飲食店を経営なさって来た方だと、「借入金などの借金はないけど、古くなったエアコンや4ドア冷凍冷蔵庫をリースで入れ替えている」というような方はけっこう多いと思います。

月々の支払金額があまり負担でない分、ついその残債を忘れがちなリース。調べてみたらリースの残債が100万円単位で残っていたという場合もザラにあります。

当然ですが、お店を閉店する場合、リースの清算を行う必要があります。

ここで問題になるのは、「リースの残額があっても、リースしている機器をリース会社に返せば残債分を払わなくていい」とリースをかんちがいなさっている方が相当数いらっしゃることです。リースとレンタルを混同しているわけですね。

レンタルは、希望の機器を一定期間使用料を払って借り、必要無くなれば返還するもの。

リースは、リース会社に希望の機器を新品で購入させ、その代金を長期に渡って分割払いしている割賦契約の様なものです。ですので、その機器を返したからといって支払いが免除されるわけではありません。ご注意ください。

実際、閉店をする際に、リース契約の残債が多く、一括で清算することが不可能な場合も数多くあります。そのような時はどうすればよいのでしょうか。

リース会社も、一括返済が不可能だと分かれば別の方法で提案をしてきます。例えば、リース対象となった機器をリース会社が引き上げた後、毎月のリース料を満額になるまで払い続ける金銭消費貸借契約のような扱いです。そもそも、リース自体が機器を貸す代わりにその代金を分割払いしてもらう、というファイナンスといってもいい仕組みなのです。

まれに、リース物品を売って返済の足しにしたいと考える方がいますが、そもそもリース機器の所有権はリース会社にありますから、第三者に転売はできません。居抜き店舗を売買する現場で、リース物品であることを告げずに内装や厨房機器の売買契約を結び後でトラブルになることがあります。リース機器は勝手に売れないどころかリース会社が引き上げてしまうことを忘れないでください。

閉店する飲食店 廃業原因はこれだ

4 解約通知(解約届の提出)

賃貸契約上、借りた物件を返す場合、書面による解約通知が必要と書かれていることがほとんどです。

この解約通知を提出した瞬間から、解約予告期間がスタートします。これは、マンションやアパートの賃貸契約では1か月前に告知しなさいと書かれている場合が多いのですが、事業用であり飲食店舗物件の場合、3か月前から長いもので8か月前となっています。逆に言えば、その期間は飲食店舗として使用しても、お店を閉店しても、家賃を払い続けなければいけない期間です。

もし、居抜きで次の方に引き継ぎたいと考えるなら、お店を引き継いでくれる方が現れてから管理会社や大家さんを訪ねて解約届を出すやり方が無難です。なぜなら、解約届を出してしまった後で、居抜きによる引き継ぎが上手くいかなかった場合、解約予告期間が切れてしまえば明渡しをして出て行かなければならないからです。そうなると、売れるはずの店舗資産も売れなくなるばかりか、原状回復工事をやって出て行ってくれとなりかねません。そうなれば金銭的に大変厳しい状況に追い込まれてしまいます。

5 各種行政機関への届出

 5.1 保健所

飲食店を経営していたにもかかわらず、閉店、廃業の際に保健所に行かない方が多いと聞きます。

開業する際は保健所の許可がないと営業できないわけですから、届出の必要があるのは当然として、閉店、廃業時も同様に届出が必要です。

営業をしなくなったときから10日以内」に届出をすることになっています。

 5.2 警察署

風俗営業許可を得ている場合(スナック、キャバレーなど)は、お店を営業しなくなったときから「遅滞なく許可証の返納を所轄の生活安全課に行う」よう義務づけられています。これを怠ると30万円の罰金に処せられる可能性がありますので気を付けて下さい。

もう1つ、深夜酒類提供飲食店営業の開始届を提出し、深夜営業をしていた飲食店は、その廃止から10日以内に届けるよう義務づけられています。こちらは罰則がありませんが、必ず提出するようにしてください。

 5.3 消防署

飲食店の開業時に、飲食店舗の工事が終わり(居抜きの場合でも同様です)「防火管理者選任届」と「防火対象設備使用開始届」を提出しますが、防火管理者については、廃業した日を解任日として届けることになっています。ただし、保健所や警察署のように何日までにという決まりはありません。

これに対し、防火対象設備使用開始届は、内装業者が店舗オーナーに代わって提出している場合が多いため、出した記憶がないという方がほとんどだと思います。こちらは特に使用停止届のようなものはないのでご安心ください。

 5.4 税務署

こちらも確実に届出の必要があります。これを怠ると、税務署からの書類が追いかけてきます。

個人事業の場合についてお話しすると、

  • 「所得税の申告」に関して廃業届が必要・・・廃業から1か月以内
  • 「消費税など課税事業者」の場合、事業廃止届が必要・・・速やかに届出
  • 「青色申告」の承認を受けている場合・・・青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日まで

届出をせずに閉店、廃業をした場合、後日、追徴課税などの通知がくる場合があります。

同様に、雇用保険などの申請を行っていた場合などは、従業員やご家族にも影響が出ますのでちゃんと手続きをお願いします。

 5.5 公共機関(電気・ガス・水道)

前もって、解約日(契約の最終日)を電話で告げることで完了します。これを忘れると使用量は発生しなくとも基本料金は発生してしまいます。少額だからと甘く見て放置する方がいますが、追徴金など大変なことになりますので忘れずに手続きをしてください。幸いにして、次にその飲食店を引き継ぐ方や、新規の契約をする方が各公共機関に使用開始の連絡をした時点で各公共機関から確認の連絡が来ることもあります。

次々と閉店している飲食店には6つの法則がある

6 レンタル品の返還

飲食店を閉店する際に放置されることの多いレンタル品。返却の手続きをしなかったばかりに、レンタル品が捨てられてしまい、高額の料金を請求されることもあります。

ビールサーバー、おしぼりウォーマー、BGMの音響設備、グリスフィルター、玄関マットなどが一般的です。毎月月末支払いで請求書が来ているはずです。そこにある連絡先に電話を入れ、閉店後引き取りに来てもらう日を決めましょう。

たまに、閉店の打合せをしているときに自社のレンタル品だと言って引き上げて行く会社もあります。もし、居抜きで売却した後であればトラブルの元になります。早めに連絡しましょう。

7 取引先各社

食材やお酒といった仕入れ業者への連絡も必ず行いましょう。ただ、それまで仕入れ月の翌月払いだった支払条件が当月払いになっただとか、ひどいケースでは現金と引き換えでないと品物を届けないと言われたなどということが頻発しているようです。

彼らは、売掛金の未払いリスクを出来るだけ減らしたいだけですから、事情を説明して安心させることが大事です。本当に営業不振で閉店するような場合は、彼らの要求もやむを得ないとあきらめる必要があります。そうならないことを願っております。

やる気と希望に満ちた開業準備と違い、低いモチベーションで行う手続きは相当大変だと思います。誰しも面倒で無視したくなる気持ちになりがちです。しかし最後の気持ちを振り絞って手続きを行えば、次の希望が必ず湧いてくるはずです。

閉店にはいろいろな事情がありますが、何人もの方が数年後にリベンジをはたして飲食店を再開されています。そんなときに、前の閉店時の手続きがちゃんと行われていないと面倒なことになりかねません。

今後、マイナンバーが普及すれば、過去の事業履歴はたちどころに分かってしまいます。立つ鳥後を濁さずと覚えておいてください。

7つの実話でわかる 飲食店の閉店理由とは

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