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【飲食店の立退き】居座るテナントの言い分と対処法~未然に防ぐ方法まで~

飲食店-立退き-対処法

Photo by Assorti

先日ある大家さんから相談を受けました。内容は飲食店の立退きです。20年近く入居されているテナントをなぜ今出て頂く必要があるのですかと尋ねたところ意外な答えが返って来ました。

現在の飲食店は建物を建て替えた時に入られたそうですが、その賃貸部分の一部が容積を越える違法部分だったのです。

大家さんは、この建物の売却を考えているなかで、違法部分を本来の姿に戻して更に別のテナントを入居させて売却したいと考えたのです。飲食店が入居される時そのこと知っていたかはわかりませんが、難航が予想される案件です。

大家さんが考えるテナントの立退き理由は、売却に限らずいくつものパターンが予想されます。おそらくテナントである飲食店はその主張に対し同じような反応をするものです。

今回は代表的な立退き理由とそれに対する飲食店の言い分、最終的な解決の方向を整理して考えてみたいと思います。

Contents

飲食店の立退きで「正当事由」が必要とはどういう意味か

法律用語に「正当事由」という言葉があります。簡単に説明をすると、普通借家契約を結んだ後、貸し手である大家さんから契約を終了する申出をする際、この理由ならしょうがないですねと法律が認めた理由の事を指します。

賃貸不動産の場合はこの2つのみです。

  1. 大家さん本人がどうしても自己使用しなければならない理由がある場合
  2. 老朽化により、生命の危険が感じられる場合

とは言え、これまで飲食店はその場所で収益を上げてきたわけですから、おいそれとは出て行くわけにはいきません。また住宅などと違い多額の設備投資をしている場合なども考えられます。双方が合意するとしても大家さんから飲食店側に何らかの補償なされることになります。つまりこれが立退料です。

さて、様々な理由のもと告げられる立退きですが、飲食店の場合すんなり決着することの方が少ないといえるでしょう。代表的な2つのケースをもとに考えてみたいと思います。

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建替え(老朽化)にともなう立退き

おそらく大家さんが立退きを言い出す一番の理由が建物の老朽化です。立退きの後は建替えというのが定番です。大家さんの言い方としては、建物の老朽化が進み修繕にお金がかかるようになってきたことや地震などで倒壊の危険性も考えるとして次回の契約更新はしないというものです。

テナントが居座る理由

仮に移るにしても代替物件を探さなければなりません。飲食店としては当然周辺エリアでの出店が前提になるでしょうし、お店のサイズ、立地、賃料など多くの希望を満たしてゆかなければなりません。

物件探しには相当な時間が予想されます。そうこうしているうちに雨漏りや傾きなど本格的に建物に不具合が生じて、最後は金銭での単純解決となることもあります。

大家さん側の対策は

長期的な視点での対策が求められます。賃貸借物件として築20、30年を超える物件であれば、テナントが入れ替わるタイミングで普通借家契約ではなく賃貸借に期限のある「定期借家契約に切り替え」ておくことをおすすめします。

定期借家契約が終了すればテナントは自動的に退去となります。それで計画的な建て替えが可能となるのです。

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賃料滞納による立退き

大家さんにとって一番頭の痛い立退きではないでしょうか。賃料を払わないのに飲食店は営業している。一体どうなっているのかと怒り心頭のはずです。

最初から滞納をする飲食店などありませんから、家賃が払えずやむなく営業をしているというのは生活の為にお店を開いているということでしょう。また、滞納請求に応じても全額ではないものの少し入金しては翌月全額滞納をしたりだとか気がつけば敷金と同額の滞納になっていたというケースもあります。

仮に出て行ってもらえたとしてもポイントになるのが退去時の原状回復工事です。

住居と違い飲食店の原状回復工事は高額なものとなります。坪当たり10万円ぐらいは平気でかかります。10坪ほどの小型店でも100万円ほどかかる計算です。

本来は大家さんが預かっている敷金からこの分を差し引いて残りを返還する方法が一般的ですが、滞納がある場合その分が既に消滅していることがあります。

大家さんとしては早く出て行ってもらい新しいテナントに入って欲しいところですが、飲食店側も生活が懸かっている場合おいそれと閉店できない為長期化することがあります。

大家さん側の対策は

まず、滞納による立退きは大家さんから立退料を払うことなく出て行ってもらうことになります。

このようなケースでは、現在の飲食店舗を原状回復工事でスケルトンに戻すのではなく、居抜きと言って内装や設備、什器備品一式を次のテナントに買い取ってもらうことで受け取りそびれた賃料分を取り戻すことが現実的です。

とはいえ飲食店側もすぐには出て行けないと言うのであれば、居抜き店舗の買取会社を仲介役として、滞納金以上に高く売れた際は、飲食店側にそのお金を分配する方法で早期の立退きが完了できることでしょう。

さらに原状回復工事も免除になりますから、大家さんから返還されるお金も残る可能性も大きいといえます。

~まとめ~コロナが変えた大家と棚子の関係

昭和から平成になったころ不動産価格の上昇と共に家賃が高騰する時期が続きました。賃料の値上げに応じてくれなければ出て行ってくれという大家さんが続出した時代です。

平成の時代が進みリーマンショック後は逆にテナントの値下げに応じないと退去されるという時代もありました。

平成から令和になるころ、物件次第ではようやく新規賃料の値上げができるようになっていたのですが、コロナが発生し飲食店は一時解約ブームを迎えました。

コロナ禍が一段落して徐々にコロナ前の日常が戻りつつある今、大家さんは新規募集の賃料設定を柔軟にしてゆかないと空室期間が長引く可能性もでてきました。ここは不動産仲介会社からよくヒアリングして乗り切ることが一番です。

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