今回は人気の「スナック」業態について買う時、売る時に失敗しない方法をお届けします。取得する際の注意点を中心にまとめたいと思います。
実は、Bar業態とスナックは共通点がいくつかあります。日本でBarとスナックを別の業態として扱いますが、海外ではスナックバーといって同じカテゴリーで分類されているのが一般的です。
今回は、日本スタイルのスナック店舗の居抜き活用法を考えてみたいと思います。
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スナックの定義について確認する
大きなくくりで言うとスナックは、カウンターがあり軽食(スナック)を提供するBarということになります。Barでも軽食ぐらい出すところは正直いくらでもあります。ただそこにお客様が期待するサービスは大きく異なっています。
例えば、スナックでは蝶ネクタイの男性はカウンターの中にはいません。手の込んだカクテルを作ることもしません。
そうなんです、スナックではママさんと呼ばれる女性がいて、軽食を楽しむと言うよりもウイスキーや焼酎などのアルコール類を楽しみながらお客さんがカウンター越しにママさんと会話を楽しんだり、常連のお客さん同士で会話を楽しんだり、あるいはカラオケなどを歌って一時を過ごす場所なのです。
店内の造りはカウンターのみで二つの業態は似ていますが、内容はまったく異なります。
スナックを居抜きで取得する場合に気をつける4つのポイント
スツールとカウンター、高さの関係
Barの場合、カウンターのなかでカクテルなどを作り、グラスに注いでから目の前のお客様に提供する関係で、ある程度腕が前に伸びなければいけません。つまり、スツールにお座りのお客様よりも若干目線が高くなるくらいの立ち位置がベストとなります。
それに比べ、スナックではお客様との会話が重要視されます。当然スツールに座るお客様とカウンター内のママさんの目線は同じ高さになるよう調整すべきです。ママさんをおやりになる方の身長にもよりますが、実際に現場で確認しましょう。
近隣対策
Barと違いカラオケを提供するスナックでは「音」がどの程度出せるのかは死活問題です。例えば、上層階に大家さんが住まわれている場合や、お隣の店舗が静かな雰囲気を売りにしている店舗の場合、営業がスタートしてからではカラオケの音がクレームになり、音量を絞らざるを得なくなっては最悪です。
- スナック居抜きの場合、どの程度音量を出してよいのか確認する。
- 時間帯に制限が無いか確認する。
- 近隣の店舗とトラブルがなかったか契約前に挨拶回りをする。
この3点の確認を契約前に確認するだけでその居抜き店舗が歩んできた歴史が分かります。また、どのような客層の方が来られていたのか、どの曜日、どの時間帯がお客様で賑わうのか詳細な情報が聞けると思います。
ここでのポイントは、聞き取りの後に結果次第では、その居抜き物件を断念する勇気が重要です。
外置き看板設置の有無
無数の外置き看板が狭く細い路地に並んでいる光景を見たことがあると思います。ご存知の様にスナックという業態は、お店の入り口ドア付近に大きな看板を掲げたり、電飾管や光量の多いライトを使うことはあまりありません。
どちらかと言えばひっそりと、小さな突き出し看板があるぐらいでそれ以外は、遠目から見えるようにと外置き看板がある程度です。
さて、スナックの定番と言えるこの外置き看板、1階で目の前が通りという作りなら問題ないのですが、地下に何店舗か似た業態が入居する雑居ビルも数多くあります。
そうなると、地下に降りる階段付近は外置き看板だらけになってしまいます。当然古いお店からいい場所をおさえていて新参者はそれを避けるような場所に置かざるを得ません。
それ以上にポイントになるのが「コンセント」です。これがないとそもそも工事が発生します。どれが使えるのか、どこに置けるのか契約前に十分確認しましょう。
重要なポイントです。
地下階を借りる際の注意点
地下階をスナックとして1店舗だけで借りることがあると思います。これはスナックに限った話ではありませんが、地下階には湧水ピットや汚水桝があり、定期的に清掃をしなければなりません。これが清掃されていない状態で引き渡しを受けると次のような問題が出てきます。
- 汚水桝の蓋付近から下水の臭いがする
- 春先から秋まで蚊が発生する
これらは、汚水桝や湧水ピットの汚れに起因しています。引き渡しの前に大家さんに清掃をしてもらいましょう。
その代り、その後の清掃費をテナントであるスナックが負担することも多く、清掃のインタバルや1回にどれぐらいの費用が掛かるのか必ず確認をしておきましょう。
高い場合で1年に1回8万円程かかる場合があります。月換算で6千円を越えます。その分家賃を考えて頂く交渉も大事です。要確認です。
スナック業態を居抜きで売却する場合に気をつけるポイント
現況をどの様に伝えるか
一般的にスナックは居抜きで売却するには弱い物件だと思われています。果たしてそうでしょうか。立地にもよりますが、居抜きで売却先を探す際の表記にポイントがあります。
当然ですが、なにもしなければ、現況「スナック居抜き」となります。とはいえ広く言えばスナックも飲食店です。つまりスナックではなく「飲食店居抜き」で良いのです。
ただ表記を変えただけなら折角見に来られた方からお叱りを受けます。そこに付け加えるセールスポイントがあって初めて表記を変える効果が表れるのです。
例えば、スナック以外の用途はどこまで可能かに注目します。
もし重飲食が可能であれば、ラーメン・カレー・とんかつ・焼肉などカウンターの飲食店に転用が可能です。その際、ガスの容量が少なければ、プロパンガスのボンベが置けるスペースは無いかなどちょっとした解決策をつけることで、飲食店の居抜き店舗を探している人のスナックという先入観を取り除くことが出来ます。ここは、協力してくれる不動産会社の方とよく打合せをしてください。
駅からの距離をアピール
駅からの距離は人が集まりやすいバロメーターとして用いられます。スナックの場合はチョット違います。駅までの距離が短ければその分終電ギリギリまで営業できると言うことにつながります。
ママさんやアルバイトの女性が駅まで歩く時間が短いほど長く営業出来るという訳です。「終電は何時、駅まで何分」この時間が実はスナックを続けるうえで重要なアピールポイントなのです。
~まとめ~
スナックで深夜12時以降の営業をする際には「深夜酒類提供飲食店営業営業開始届出書」を所在の公安委員会に提出する必要があります。
風営法の届け出は必要ありませんが、必ず営業開始をする10日前までに提出してください。もし詳細を聞きたい場合は、所轄の警察署に行き生活安全課で話を聞くのがいいでしょう。その場で提出書類もくれます。
冒頭でもお話しましたが、カウンターのある飲食店としてスナック業態を改めて見てみるとこれまで評価の低かったことが不思議に思えます。今一度その魅力に目を向けてみてはどうでしょうか。