令和2年1月に中国武漢から始まった新型コロナウイルスはヨーロッパにその中心を移し、日本でも猛威を振るっています。4月に入り政府から緊急事態宣言が発出されるにいたり大幅に人の移動や通勤が制限されることとなりました。
厚生労働省は、新型コロナウイルスの影響により雇用が悪化しない為にと4月より雇用調整助成金の特例措置を実施しています。
今回は、飲食店の皆様に向けて、分かりづらいと評判の悪い雇用調整助成金について解説をしたいと思います。
Contents
飲食店の雇用調整助成金とは
そもそも雇用調整助成金とは何のために存在するのでしょうか。
景気変動や業績悪化をうけて、会社側が行う雇用調整に対し支給される助成金という性格のものです。本来景気が悪くなったからと言ってすぐに従業員を解雇したり雇止めが行われないよう国が給料の一部を肩代わりするというものです。職を求める人が溢れないよう考えられた景気対策と言えます。
雇用調整助成金特例措置期間
今回の特例措置は緊急対応期間として実施期間が限られています。
令和2年4月1日 ~ 6月30日
本来雇用調整助成金は1ヶ月単位で受給申請をするのですが、緊急対応期間に関しては複数月分をまとめて申請できることとなりました。
飲食店の雇用調整助成金の特例措置とは
まづは分りやすく表にしてみたいと思います。
通 常 | 新型コロナ特例措置 | |
事業者 | 雇用保険適用の会社や個人 | 雇用保険適用で新型コロナウイルスの影響を受けている会社や個人 |
従業員 | 雇用保険に6ヶ月以上加入 | 6ヶ月未満・被保険者でなくても可 |
助成率 | 中小企業 2/3
大企業 1/2 |
中小企業 4/5
大企業 2/3 |
経営状況 | 直近3ヶ月の売上高が前年同月期比10%以上の減 | 直近1ヶ月の売上高が前年同月期比で5%以上の減 |
残業相殺 | 残業相殺 | 残業相殺は不可 |
手続き | 計画書は事前提出 | 事後提出可 |
雇用調整助成金の対象者
通常の助成対象労働者は6か月以上継続雇用された従業員です。しかし今回は、新卒社員など継続雇用期間が6ヶ月未満の労働者も対象です。また、雇用保険に加入していない労働者(労働時間が週20時間未満のパート等)の休業も対象になります。
つまり、アルバイトや契約社員、4月入社した新卒社員も対象となるのです。
雇用調整助成金の助成率が大幅向上
上記表で助成率が新型コロナ特例措置でアップしています。実は一部継続による休業手当、一部はやむを得ず解雇とした場合の助成率です。今回は、解雇をしなかった場合更に助成率がアップすることになっています。
解雇しなかった場合の助成率
- 中小企業 9/10
- 大企業 3/4
中小の場合なんと90%を助成してくれます。以下で具体的な受給金額を見てみましょう。
雇用調整助成金の受給額(具体例)
ベースとなる給与額の求め方・・・前年度給与総額から1人当たりの平均給与を求め、その額に助成割合を乗じた額となります。但し、上限は「8,330円」となります。
<例> 1日あたりの平均給与・・・15,000円
休業手当 ・・・ 9,000円(600/1,000)
受給助成金・・・ 8,100円 (9,000円×90%)<8,330円
仮に従業員10名を20日間休業させた場合の受給額
8,100円×10人×20日=1,620,000円
飲食店の雇用調整助成金が受けられる事業者
雇用保険適用事業主ということが大前提です。もし個人事業主で、アルバイトを雇っていたにもかかわらず雇用保険の加入手続きを怠っていたような方は対象外となります。
- 事業所設置後1年未満の事業者
- 風俗関連事業者も対象
開店間もない飲食店や、ガールズバーなど風営法の申請をしている飲食店でも今回は助成金を受けることが出来ます。これまでにない思い切った特例です。
飲食店の雇用調整助成金の支給基準とは
「直近1ヶ月の売上が前年同月比5%以上減少」していれば助成金の受給対象です。
飲食店の雇用調整助成金の申請方法
雇用調整助成金(休業)を受給するには、計画書と支給申請が必要です。
書式のと書き方は以下の厚生労働省のページからダウンロードできます。
雇用調整助成金の様式ダウンロード(新型コロナウィルス感染症対策特例措置用)
飲食店の雇用調整助成金~まとめ~
政府の発表によると、申請から概ね1ヶ月で支給できるようスピードアップを図るとのコメントがTVで流れていました。今回の新型コロナウイルスによる売り上げの悪化は常態化するのもではなく何れ収束することを見込んでの思い切った施策です。これらを上手く利用しながら一人でも多くの雇用が守られることを願ってやみません。