まとめーSummaryー
- 安売り日は多いと飽きられる?
- 人間もマウスも同じ実験結果に
- 導き出された特売日の最適化はこれ
飲食チェーン店などで「安売りの日」を見かけることがあります。一律〇〇円引きというのもあれば、特定の商品だけを安くするものもあります。いまでもテレビCMを盛んに見かけますが、最近はアプリを携帯電話に入れとけば勝手に安売り情報が送られてきます。
さて、なにをどれぐらいにすれば売上にどれだけ寄与するのか、数字がとれている大手と違い小型の飲食店舗ではその効果がいま一つ掴みづらいものです。
なかには創業記念と称して1年に一日だけ一杯100円でラーメンを提供するお店があったり、串カツどれでも100円の日というお店もあります。この採算度外視でもお客様がつめかけてくれれば、「食べ放題」と実は同じ効果が得られるのです。
家賃や人件費などの固定費をまかなえるだけの来客数があれば、その後の売上は利益となるというものです。
飲食店にとって魅力的な安売り日を思い立って始めるのがいいのか、定期的にやることでお客様に覚えて頂きリピーターを増やすのがいいのか今回は飲食店が一番儲かる開催のタイミングについて理論的に考えます。
Contents
はじめるとわかる飲食店安売日のジレンマ
まず実験的に安売り日を設けたとしましょう。特売日の結果はお客様の数は増え、入り売り上げも普段より多くなることが分かります。次に再度安売り日を設けたとしましょう。この日も客数、売上ともに普段より増えることになれば、安売り日は確実に儲かると言うことになります。
では、どのようなインターバルで開催するのが良いのでしょうか。4つのパターンで考えてみましょう。
毎日が安売り日
エブリデイロープライスとなりますが、毎日安売り日が続くと安いと言うだけで飽きられてしまう可能性があります。また、毎日続けることで当初の特売日の様にお客様が来店されなくなり、安売りをしている分利益が出ないことになってしまいます。これでは安売り日の意味がありません。
週に一日は安売り日
週に一日だけ安売り日を設けることにしましょう。もちろんお客様が多い週末ではなく、月曜日や火曜日など平均して来店数が少なく売上が上がらない日を選ぶことになります。さて効果のほどはどうでしょうか、売上に寄与することは間違いありません。
いいことばかりではありません。これを続けると売上が特売日だけに集中することになります。それまで売上があがっていた曜日が伸びなくなる可能性が出てきます。
これはどういうことかと言うと、1週間トータルで見た場合、お客様は特売日に集中する分、他の曜日の客数が減り結果トータルでの売上が変わらない可能性があります。長い目で見て、安売り日をやめたとすると結局売上を落とす結果となります。
月に一度は安売り日
月に1日、第〇・〇曜日は安売りの日と設定するとどうでしょうか。確かに売上は上がるでしょう。残念ながら全体の売上に寄与する額は限定的になります。
安売り日設定の考察
毎日はあきられ、週に一度も長くなると危険、月に一度では効果が少ないとなると、最適な安売り日の開催をはじき出す必要があります。
つまり、「 週1回 > X回 > 月1回 」 によって導かれます。
このX回が何回なのか、そして開催日のインターバルはどのように考えるのかが安売り日で儲かるポイントになります。
安売り日のヒントはマウス実験とSNSの行動性向にあり
スキナーボックスという実験があります。実はこの実験今回の安売り日をどの様に設定するかを考える上でとても重要な実験なのです。
まずマウスを箱に入れレバーを押し下げれば餌が出てくることを教えます。そのうえで、
- レバーの押し下げ回数に関係なく定期的に餌が出てくる
- レバーの押し下げに関係なく不定期に餌が出てくる
- レバーを押し下げれば確実に餌が出てくる
- レバーを押し下げれば不確実に餌が出てくる
さてどのケースで一番マウスがレバーを触ることとなったかという実験です。
結果は「4」のレバーを下げた時に毎回ではなく出たり出なかったりする時にマウスがレバーに触る回数が一番多くなるというものです。たとえは悪いですが、マウスはお客様、餌は安売り日、レバーを押す回数は来店数になぞらえることが出来ます。つまり安売り日をどの様に設定するのかというヒントがここにあると言う訳です。
この結果をSNSの利用性向になぞらえる研究者がいます。その発端は、なぜFaceBookやTwitterは短期間のうちにこれほどまで拡散したのかという問いから始まっています。
結論は、先程のマウスの実験同様コメントが投稿されるタイミングが不定期だからだということに行きついています。つまり一定の時間や間隔でコメントが更新されていたとするとこれほどまでに利用されなかったというのです。投稿のその時を逃すまいとして中毒の様にSNSに依存してしまうと言う訳です。
この二つのことを考え合わせると安売り日は回数もさることながら「不定期」であることが大きなポイントとして考える必要があります。
安売り日のモデルケースを考える
特売日には回数と不定期という二つの要素が出てきました。
- 週1回> X回 >月1回
- 不定期に開催する
さてこれらを合わせると以下のようになります。
月単位で考えると、「1回以上5回未満で不定期開催」となります。
更に要件を絞りましょう。金曜日などの週末は避けることが利益確保に繋がります。
ケース①
第一週は月曜日に開催し、第二週は火曜日に開催、第三週は水曜、第四週は木曜など曜日を変えることで不定期感は出ます。
ケース②
毎月実施するのかというご指摘もあります。答えは「No」です。試しに一ヶ月間やって見るかということはありますが、効果的に取り組むとすれば、1年を通して売上が落ち込む月をターゲットにすべきです。例えば2月、8月などです。話題性と価格で売上が落ち込みがちな月をこの方法でカバーしましょう。
安売り日の告知はどのように行うか
さてお客様への告知はどのようにするのかここも知恵が必要です。1ヶ月前ぐらいから開催月は告知するものの毎週不定期開催であることを伝えます。そのかわり安売り内容はインパクトのあるものにしましょう。
また当日は、お店の軒先に「本日安売り日」と大きなタペストリーのようなもので道行く人にアピールです。そこまでやれば、一風変わった値引きサービスのあるお店として認知されリピーターも増えることでしょう。
なにより、今日は安売り日かどうかわからないけれどとりあえず店の前まで行ってみようとなります。そうなればしめたものです。
飲食店以外でも同じ手法がとられています
洋服や雑貨のセレクトショップ、ファストファッションのブランドなどが似た手法で売り上げを伸ばしています。商品のサイクルを短くすることで
訪れる度に新しいものが見つかる=こまめにお店をチェックしないと買いそびれる
となります。
まさにこの不定期感を感じる事がリピート客を生み出す原動力となっています。
まとめ
飲食店でいえば不定期の安売り日だけではありません、定番メニュー以外に行くたびに違うメニューが用意されていることがさらにこの不定期感を醸成させます。
今繁盛している定食屋さんのランチは一種類しかないにも拘わらず大人気なのも同様です。何故なら毎日異なるメニューで、今日行かないと美味しいランチを逃してしまう可能性があるからです。
結論、価格、ボリューム、メニュー等なにでこの不定期感を演出するのかが繁盛への大きなカギだといえるでしょう。