すこし前の話ですが、2017年の8月、東京は1日から21日間連続の降雨日を記録しました。ご記憶の方もいらっしゃると思います。
では、2017年は雨が多いのかというとさにあらず、95日との記録が残っています。2017年から2021年までの5年間で東京の年間降雨日は平均104日。これと比べても少ない部類に入ります。
東京都の年間降雨日割合は30%に達し、一週間に引き直すと週に2日は雨が降る計算になります。意外と多いような気がしますが、現実です。
この事実を踏まえて、雨が降る前提で飲食店は集客についての対策を真剣に考えるべきではないでしょうか。今回は、雨の日にお客様が少ないという飲食店のお悩みを考えて見たいと思います。
Contents
なぜ雨の日は客足が遠のくのか
どうして雨の日は晴れた日に比べお客様の数が減るのでしょうか。
WEB上でも様々な意見が飛び交っています。単に濡れるのがイヤだから、傘を開けたり閉じたりが面倒、雨降りは家に帰りたくなるなど今一つ決め手に欠けるものばかりです。少し角度を変えて考えて見ます。
そもそも飲食店を利用する側の理由は、どのお店を選ぶのか、どういう時に飲食店を利用するのかといった理由も含め様々なように、雨の日にナゼ飲食店へ行かないのかという理由もまた千差万別としか言いようがありません。この理由を探すのは議論にならないと考えるべきではないでしょうか。
では、視点を変えての質問です。「人気のラーメン店が雨の日は半額にします」と宣言したらどうなるでしょう。今日は雨だから食べに行ってみようとなりませんか。
同様に人気のケーキ屋さんが雨の日はショートケーキ全品半額というサービスを始めたとしたらこちらも雨の日を狙ってお客様が来られること間違いないでしょう。
人気の飲食店に限らず、雨の日は食べ放題としたらこちらも行列が出来るほどお客さんは来られます。つまり、理由はどうであれ家に帰る、他のサービスを利用する以上のインセンティブが飲食店利用にあれば自然とお客様はご来店されるのです。
雨の日サービスのありかた
もし雨の日サービスを何か始めたいと考えた時、ポイントが2つあります。それは飲食店とお客様の御約束事というようなものです。
- 雨の日認定を誰がするのか
- 雨の日は必ず実行されるということ
どの時点を持って雨なのかそうでないのか判断に迷う日が何日もあります。そんな時に、お客様が今日はどっちなのか迷われるのでは効果半減です。
ある飲食店は、お店のホームページにその日が雨日なのかそうでないのかの判定を載せています。サービスを知っているお客様は予めサイトを確認すれば事足りますのでストレスが減ります。
また、ある時はやっていてある時はやっていないなど不定期な雨の日割引は、そのことを知らないで利用された方は喜んでも、それを目当てに来店された方がその日はやってないとなるとガッカリされるばかりかリピーターではなくなる可能性があります。
やるならシンプルなルールに限ります。
雨の日がノーゲスとならない為に
住宅街に近いお店や目的性の低いお店等は雨の日にお客様が一人も来店されない日があると聞きます。いわゆるノーゲス(ノーオゲスト)です。
仮にノーゲスでなくても最低一晩に10名は来てもらわないと困るというのに、2017年8月の様に21日間も雨が続くのではお店はあがったりです。具体的な集客の方法ではなく、今度は、お店の経営的視点から対策を考えて見たいと思います。
どの飲食店でも客単価というものを想定していると思います。お客様一人がお店に支払う平均的な支払額です。一日何人の方が来店されれば毎月黒字になるのかよくご存じのことと思います。お客様が一人も来られないとなると利益が出ない前に、固定費分がその日は赤字となります。実は雨の日のヒントはここにあります。
飲食店では原価を平均して3割~4割の間で価格に設定しているのが標準だと思います。そして利益が1割ほど載っています。つまり売値の5割~6割は経費だということになります。少なくともこの分だけは何とか回収しないと運転資金が目減りして行きます。
そこで雨の日のノーゲスデーを無くす対策としては、全品原価売り(この場合、利益分を除く原価という意味です)を実施すれば少なくとも固定費、材料費は支払って行けます。
想定最低人数を超える来店があればそこから利益分の回収となります。やるなら中途半端ではなくインパクトのある形でお客様に数多く来て頂きましょう。
その点が理解できていれば、値段を引く商品は何だってかまわないのです。ドリンクでも小鉢でも全品でも、お店で売れ行きの悪いメニューまとめて半額でもいい訳です。もっとも、なにの値段を下げればお客様が喜ばれるのかは、飲食店側が一番分かっていることでしょう。
~まとめ~
過去に、ある飲食店で、雨の日はデザートのケーキが全て無料サービスとしたとたん、女性に人気のお店となり、晴れた日よりも雨に日の方がお客様が多いという皮肉な結果のお店もあります。なんであれ雨の日のマイナスを上回る魅力が出せればお客様は確実に増えるのです。