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【令和の飲食店】変化する消費ニーズを技術革新と流通革命でつまえろ!食は被災地支援をする時代へ

飲食店-地域グルメ-支援

Photo credit: Altus on Visualhunt.com

コロナになる以前から地方の名前を冠した飲食店の数が増えています。いくつかの理由はあるものの、確実に消費者の心を掴み売り上げを伸ばしています。

この背景には、生産者と飲食店の思惑が一致したことによるもので、新しい流通形態と既存のチェーン店に飽きた舌の肥えた消費者が物珍しさも手伝ってお店を訪れているようにも見えます。

今回は、勢いの衰えない地域グルメという新業態でマーケットに挑むお店と地域グルメを利用する消費者の心理について考えて見たいと思います。

Contents

令和以前、都心の飲食店と地方との関わり

令和前までは、地方の県名、港名、特産地域を冠した飲食店は、「郷土料理」というジャンルでひとくくりにされていました。読んで字のごとく特定のエリアで受け継がれてきた料理を出すことがメインで新しさよりも昔ながらの調理法などその地を思い浮かべさせることに重きをおいたメニュー作りです。

これに対し、店名に県名や地方を想起させる表現は用いないものの、食材にこだわるお店も数知れずあります。言うなれば、飲食店の存在や調理をする料理人が主であり、食材は従の関係でこれまできました。

昨今、その関係が崩れはじめ主従逆転現象が起きています。つまり、産地や素材が主となり、料理を出す店側が従という関係の飲食店が増えているのです。

平成の食材偽装問題が引き金か

この逆転現象の裏には、2013年頃に次から次へと発覚したホテルの食材偽装問題が大きく関わっています。

それまで高級素材と信じて食べていたものがまがい物であったことや発覚した場所が高級店の象徴であるホテルだったことも世間の耳目を集めた大きな原因と言えるでしょう。

そのことにより食材に対する消費者の目が厳しくなったことに加え、不当表示に関する課徴金が法律化されたことで、一気に食材の産地が明記される流れとなったのです。

このことを受け、食品メーカー各社は、それまで海外からの輸入食材を使用したり、海外の現地で加工した食材を輸入して加工していたものが、急激に国産化に切り替わっていった流れがあります。

この一連の事態を受け消費者の食材産地に対する関心が一気に高まったのです。

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輸送技術革新が大きく貢献

食材の地方化の流れにはもう一つの大きな要素がありました。地方から都心まで運ぶための技術革新が同時に起こっていたのです。

例えば、地方でとれた魚もその鮮度が保てないことで都市部での消費には向かなかったのですが、輸送技術や冷凍技術の進歩により鮮度が保たれたまま都心へと到着するようになったのも地方食材をメジャーに押し上げる為に一役買っています。

また、漁師が船の上から捕れたての魚を映像にしSNSにあげ、翌日都心に到着する魚を売る会社が登場したかと思えば、空輸便を使い水揚げから最短6時間で飲食店に魚を届ける会社まで登場しています。

トレーサビリティーという言葉が使われるようになって久しいのですが、もともとBSE問題で牛肉の生産者から販売までの経路を明確化する為に海外から持ち込まれた概念でした。

昨今では食材産地の見える化とでもいいましょうか、食に対する安心が美味いを追い越すかのような使われ方がされているように思います。

もっとも、ブランドと呼ばれる食材は、生産者、生産地が明確になっていて食材としての状態も十分管理されているからこそ美味いというのは当たり前かもしれません。

Eコマースの進化により地方生産者の6次産業化

漁業、酪農、生産農家などを1次産業と呼ぶと中学で習い、同時にそれらの食材を商品に加工することを2次産業、その商品を流通させることを3次産業と呼ぶことも習いました。

これまではそれぞれ別々の業態で成り立っており、川上、川下などと例えられることもありました。ところが昨今では、1次生産者が商品化し流通まで行ういわゆる6次産業というスタイルをとるようになってきたのです。(1×2×3=6次)

このことは、それまでの商習慣を覆す革命的な流通形態でもあったのです。一度破られたタブーはこれまでの流通の主役であった市場や卸しといった形態を飛び越して、漁協からスーパーマーケット、漁協から飲食店への食材移動を可能にしたことから急速に希少食材やブランド食材の流通価格を引き下げるとともに生産者の収入を大幅に引き上げることとなったのです。

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飲食店の名前に関する変化が

あるグルメサイトの集計によりますと、飲食店サイトの見出し部分に「都道府県名」が入る数の伸び率がコロナ前の2年で2,600件余り、80%近い伸び率を示してたといいます。飲食業界がお店のキャッチとなる店名のサブタイトルに都道府県名を入れることに敏感に反応している姿が見て取れます。

消費者意識の変化が被災地支援に

一方消費者の側でも食材偽装問題以降新たな意識の変化が出ています。2011年に起きた東日本大震災や昨年の九州熊本地震など今世紀に入り自然災害にダメージを受け遅々として進まない復興にいら立ちを感じることも多くなってきています。

そんな折、食を通じて地方貢献ができないか考える人が増えたと言います。身近なところではふるさと納税もその一環です。自治体によって差はありますが、概ね特産品の返礼品を発送してくれることで税金を集める自治体が増えています。

同様に、特定地域の食材をウリにしている飲食店の利用頻度についてのアンケートでは、実に66%の人が1年で利用したことがあると回答をしています。

~まとめ~

人口が減少に転じ、このところの自然災害の猛威を目の当たりにしても食を通じた支援が今までになく盛り上がっている姿を感じて頂けたと思います。

そこには、輸送技術の発達や流通システムの破壊による新たな物流が生まれことが大きく関わっていることも分かりました。

1980年ごろからこれまで、安さや便利さを競う食文化に飽きが来ていることは言うまでもありませんが、食に対する安心にくわえ今までになかった地方食材に対し食べてみたいという興味が大きくなっているのだと思います。

これまで日本は「地産地消」が原則で、安い食材は海外から輸入食材という時代から、流通コストを削減し地方で生産し東京や大阪などの大都市で消費する「地産都消」や「地産府消」が更に進むものと思われます。

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