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【プロが解説】飲食店造作譲渡契約 “問い合わせ~引き渡し”契約書までも

飲食店-造作譲渡-契約書

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飲食店を居抜きのままで閉店されたいと思っていても、全体の流れが分からず非常に不安だというお話を伺うことがあります。そのような方には毎回順を追ってご説明申し上げております。結果、すぐにお売りになりたいという方もいらっしゃれば、もう一度よく検討しますという方まで様々です。

今回は、居抜き売買に不可欠な造作譲渡契約が実際にどのように進み、どのような判断が必要なのかを具体的にお話いたします。そのことで一層造作譲渡についての理解を深めて頂きたいと思います。

Contents

飲食店の造作譲渡契約を定義します

そもそも飲食店の「造作譲渡契約」が意味するものが何なのか説明します。

不動産に馴染みのない方が造作売買という言葉で思い浮かべるイメージは様々です。よくお話が出るのが、土地や建物など不動産取引のイメージだそうです。確かに売買という言葉が含まれていますので無理もないかと思います。次に多いのが厨房機器や什器備品などの買取販売と思われる方も多くいらっしゃいます。

造作譲渡とは、床、壁、天井などなにも仕上げがなされていない店舗賃貸物件(スケルトン)に、入居テナントが設えた内装設備(建築、給排水、電気、空調、厨房)にテーブルや椅子それに厨房機器類一式を含めた飲食店を開業する上で必要なものを一括で取引することを指しています。ですので厳密に表現するならば「飲食店舗付属資産売買」となりますが、少々長いのと一般的に造作譲渡の方が通りがよいので今回はそう呼ぶことといたします。

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飲食店造作譲渡で居抜きのまま売却!どこに問合せるのがいいのか

ネットで居抜き店舗、店舗買取などのキーワードを入力して検索すると数多くの会社が出てきます。ここが第一関門です。どの会社を選ぶのかで実はその後の流れが大きく変わってきます。一見どの会社も同じように見えますが大きく2種類の不動産会社が広告を出しています。

一つが不動産仲介をメインにしている会社ともう一つがサブリースと言って飲食店の賃貸物件を借り上げて転貸する会社です。ではどちらに声を掛けるのがよいのでしょうか。

まず、不動産仲介会社ですが、表向きは造作の買取をうたっている会社が多くあります。ところが大半は仲介をするだけです。よく聞くトラブルでは、買います買いますと繰り返す割には社内決裁がどうの上司の承認がどうのと理由をつけては売買契約を先延ばしするようです。その間に仲介会社は造作を買う方を探すと言います。

実際に造作を買いたいという方が一定期間内に現れなかった場合、「申し訳ありませんが買取れません」といってキャンセルするそうです。買ってくれると信じて待っていた売主はたまったものではありません。

一方サブリースを主体にしている会社は、逆に買う買わないの回答は早く出します。但し二つのハードルが待っています。一つは、希望価格と買取価格が乖離することがあります。つまり時間をかけて実際にお店を始める人に直接譲渡する場合よりは若干買取価格が安くなる傾向にあります。

もう一つのハードルは「大家さんの承諾」です。実際に店を営業なさる方への売買、譲渡の承諾は得られやすいのに対し、サブリースというと転貸になりますので大家さんが承諾しない場合があります。もしそうなった場合でもサブリース会社の方で仲介をしてくれますので心配はいりません。

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飲食店造作譲渡契約と契約期間の関係

造作譲渡で一番不安に思われるのが契約期間と解約予告期間の関係です。ある方は、造作が売れても解約予告期間は家賃を払い続けなければならないのかと不安げに質問されます。またある方は造作譲渡が成立すると直ぐに店を明け渡さないといけないのかと心配されます。どちらもそのようなことはありません。

この造作譲渡の契約と店舗を借りている賃貸借契約では主体が異なる訳ですから全く別の契約です。よく鶏が先か卵が先かの議論になりますが、こと飲食店の造作売買は先に造作の売買の約束をしてから賃貸借契約の名義変更を行うか新しい賃借人(造作をお買いになった方)と大家さんで新しい契約を結ぶことになります。

従って解約予告期間に関係なく売主と買主で決めた日をもって賃借権の移行が行われています。つまり解約予告期間とは関係なく契約を切り替えるという表現が正しいのです。気をつけたいのは、リートやファンド系オーナーが所有する物件はこのような手続きを認めてくれない可能性があります。大手不動産会社所有物件に限らず必ず事前の相談を大家さん、管理会社としましょう。

飲食店造作譲渡までのスケジュール管理

造作譲渡をお願いする会社か買い取ってくれる会社を決める際に確認したいのが売却から明渡しまでスケジュールをちゃんと説明できる会社であるかどうかです。また契約書など関係書類が整っているかも重要な要素です。

打合せで重要なのは、譲渡価格の他に物件の明渡しの時期です。人通りの多い駅前立地であれば、すぐにでも契約の切り替えをして造作譲渡が成立しますが、貸し切りの予約が残っていたり、従業員さんに閉店の通知がなされていない場合など明渡しまでに2ヶ月以上時間を要する場合があります。その場合は最初に事情を説明しその時期での明渡しを造作売買の条件とすればいいでしょう。

飲食店造作譲渡契約と売買金支払いのタイミング

造作譲渡契約の約束を交わし、大家さんからも契約変更の承諾がでて晴れて成立となるのですが、肝心の金銭の授受はどのタイミングになるのでしょうか。ここはお金を払い造作を手に入れる新賃借人さんの立場で考えます。

実際に物件の引き渡しを受けるまでは様々な心配をします。

  • 水漏れはないか
  • 配管の詰りは大丈夫だろうか
  • 厨房機器はちゃんと作動するか
  • きちんと清掃をして引き渡してくれるだろうか

造作の買い手の不安が解消され無事店舗の引き渡しが終わり契約がスタートする時点で約束のお金が買主から売主へ一括で支払われることが多いようです。

飲食店造作譲渡契約のテンプレート(雛形)

造作譲渡契約の契約祖について簡単に触れておきます。

契約書の冒頭には、

  • 売主と買主の名前
  • 建物所在地
  • 貸室表記
  • 売買対価
  • 売買日

などを記しておきます。以下には、第三者の持ち物が含まれていないことや逆に約束したものが含まれていなかった場合の処理方法や造作の所有権が移った以後のトラブルについて確認しておきます。

また引き渡す状態の確認、公共料金の精算方法なども契約内容に加えましょう。一番重要なのは、この造作譲渡契約が単独で成立するのではなく、あくまでも賃貸借契約締結と「不可分一体」であるということが明記され、引き渡し、売買代金の授受などは賃貸借契約締結と同時か以後になされる旨も忘れずに加えましょう。

飲食店造作譲渡契約の書式

テンプレート(雛形)の続きになりますが、書式は縦書きでも横書きでも、冊子でも一枚ものでもなんでもかまいません。双方が納得のいく解決方法が記されていればなんでも良いのでが、賃貸借契約に付随する契約だけに書式としては賃貸借契約に似てきます。

  • 第一条:店舗資産の売買
  • 第二条:売買対価と支払方法
  • 第三条:売買資産の引き渡し
  • 諸経費の帰属区分
  • 契約の消滅
  • 瑕疵担保責任
  • 紛争解決
  • 物品リスト

以上が列記されていれば十分です。

知っておくべき飲食店造作譲渡料について

造作譲渡料ってどんなんときに発生するの?何が含まれるの?どうすれば安くできるの?と考えるオーナー様もいられると思います。

飲食店居抜き店舗の契約において一番まちがった理解をされているのがこの「造作譲渡料」です。とりわけ、飲食店を居抜きの状態で手放されるオーナーの方にこそ、よくご理解頂きたいポイントです。

こちらの、飲食店居抜き店舗に必ずある「造作譲渡料」の正体という記事で解説しています。

飲食店 居抜き店舗の取引にある「造作譲渡料」じつは権利金や礼金と同じ【プロが語る】

飲食店造作譲渡契約書に印紙が必用かどうか

不動産に関わる売買契約の一部なので印紙が必用とする不動産会社がある一方で、土地や建築工事の請負とは異なり物品の売買と同様なので必要ないとする会社もあります。なかには判断がつかないので一応印紙を貼っておけばあとあとトラブルにはならないだろうという判断の会社もあります。正直どちらが正解か実際に契約に使用された飲食店造作譲渡契約書を持って最寄りの税務署を訪ね話を伺ってきました。

結果は、「必要なし」との回答です。

理由についてお尋ねしたところ、印紙が必要となる20の書類に該当しないからというものでした。実にシンプルです。

まとめ

居抜き店舗は安く手に入る分トラブルが多いとお話になる大家さんや管理会社の方がいらっしゃいます。一部では実際に起きています。これらは、居抜きや造作売買に関する知識を何も持たずに仲介を行ったり、飲食店舗特有のトラブル(臭い、音、煙)を未然に防ぐノウハウの無い会社が引き起こしているのだとご理解下さい。あわせて飲食店居抜き物件の仲介会社やサブリースを業とする会社も増えており最近はかなりレベルアップが図られているという現状も知って頂きたいと思います。

また、飲食店をおやめになる皆様もお金をかけて原状回復工事せずに大事にしてきたお店を売却し、解約予告期間も気にすることなく閉店出来ることをもっと知って頂けたらと思います。

もし、造作売買の会社選びに迷われたなら、イチからレクチャーしてくれる会社を選ばれることをお薦めします。

飲食店譲渡とは。その意味を考えてみる

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