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飲食店のアルバイト不足と時給高騰はこの方法で乗り切れ

飲食店-アルバイト-時給

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コロナ以前の2019年までは、人材不足を理由に飲食店を閉店される経営者が大勢いらしゃいました。例えば、調理を担当していたスタッフの独立やお店を任せていた店長の退職などで、後任の人材が手当てできずやむなく閉店すると言ったことが日常茶飯事となっていました。

また、開店の準備段階から進めていたホールスタッフが予定の数だけ集まらず、オープンを延期するといった話や辞めたアルバイトの補充が出来ず、営業時間を短くしたり、定休日を一時的に増やす飲食店もありました。

その後コロナ禍による営業時間の短縮等によりアルバイトを含む正社員の解雇などが続いたのですが、2022年4月頃から感染者の減少と共に流れが変わりました。これまで採用を控えていた飲食店が、大学の新入生を目当てに一気に採用を拡大出せたのです。

この結果、アルバイト代は一気に跳ね上がり、都内では時給が1,100円を超え益々上がる勢いです。

折からの円高とウクライナショックにより原材料が高騰し日々対策が叫ばれる中でさらに人件費の高騰はダブルパンチです。この局面を、これまでとは違う視点で考えて見たいと思います。

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人材不足の飲食店現場

以前このブログで、アルバイトなどの時間給労働力の枯渇について書いたことがあります。若く体力があり比較的安いコストにくわえ豊富な数が存在した大学生は今どこにいてしまったのでしょうか。

少子化で年々減少している以上に彼らの時間給労働者としての働き方が変化してきているのです。一つには、最近CMで見かける個人学習塾の存在です。以前は塾と言えば数十人が一つの部屋で一人の講師の話を聞くスタイルだったのですが、最近は個別指導、つまり1対1の家庭教師です。

これまでと違い生徒の数だけ教える講師が必要となります。この講師は飲食店よりも高い時給が得られる為かなりの数の学生がそちらに流れていると言います。

また、間違った飲食店の職場イメージが彼らの中にあり飲食業界でアルバイトとして働くことを遠ざけているようです。有名居酒屋チェーンのブラックバイト疑惑やこれまた有名牛丼チェーンの大量従業員離脱問題などあまりにも過酷なイメージがついてしまい、夜10時以降は割増のアルバイト代をもらってもやりたくないという学生さんたちが多いと聞きます。

一方、手に職を持つ調理士や店の運営が出来るマネジャーの就職、離職状況はどうでしょうか。ネットを検索すると正社員を求める飲食店とお店を探している働き手をマッチングするサイトが花盛りです。

簡単に今の労働条件、労働環境よりもいいお店を探すことが出来ます。これらのサイトのほとんどが、求人する飲食店の側に課金しており、職を探す側はお金がかからない仕組みになっています。つまり、飲食店側が人材不足でいかに困っているかを如実に物語っていると言えるでしょう。

さて、正社員の人材不足にはもう一つの側面があります。それは、脱サラつまり転職ではなく独立・開業を選択される方が増えているということです。

給料をもらいながらも腕に自信のついてきた調理士や、飲食店の運営方法を経験し利益の出し方が分かってきた店長、マネジャークラスの方がお一人や同じ職場の方同士で独立・開業というケースが増えています。

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飲食店が人材不足を克服する知恵

具体的に5つの方法に焦点をあててご説明したいと思います。

調理方法の工夫で克服

都内には大型のレストランを持つ業界団体が運営する〇〇会館がいくつもあります。これらは宿泊施設や貸し会議室を完備し高級感を醸し出しています。とある会館のランチタイムでは、メニューから注文するスタイルからビュッフェスタイルに切り替えて営業を継続されています。

ホールを行きかうスタッフの数は以前の半分です。調理場をのぞき込んでみると年配の女性がお一人で料理を作っています。以前はコック帽をかぶった男性が3名ほどで調理していたと思うのですがチョット驚きです。

最近中華街で増え始めている食べ放題スタイル。都内でも似た様なお店を見かけます。これらは、従来の調理方法とは違い経験の浅い方でも調理時間短縮と食材の廃棄率をおさえる工夫がなされた食材が食品卸から提案されていると言います。

コスト、時間短縮、人材の省力化が可能となり飲食店の売上に大いに貢献しているようです。ただ、どこも似た様な味付けになっているのが少々気になるところです。

セルフサービスの導入で克服

婚活や新しい出会いを見つける居酒屋として人気を博している飲食店があります。こちらは人材不足解消の為に飲み物、食べ物をセルフサービスで楽しめるよう工夫しています。料金の精算は利用時間で決まります。

同じように、カラオケも以前と違い料理や飲み物を店側が提供するのではなく、お客様があらかじめ購入したものを持ち込めるスタイルに代わりつつあります。

同じような流れはビアガーデンやカジュアルバーの様な業態でも進んでいます。お酒などの飲み物は、店の一角においてあるディスペンサーにセットされておりセルフサービスで注ぎに行くスタイルが増えています。実は、チェーン店のドリンク類もほぼこれと同じ形で、ただ店員さんが持ってきてくれるという違いだけです。

レイアウト変更で克服

比較的小さな飲食店は厨房で店舗オーナーである料理人が腕を振るい、アルバイトが運び、お酒の注文を取り給仕するというスタイルが大半です。ただ、座敷などの小上がりや個室がある場合はどうしても一人張り付くことになります。従って、主にホールをカバーする人材が厨房にいる料理人で兼務するというスタイルが主流になっています。

それまで、厨房から客席が見えなくてもあまり問題にならなかったのが、調理をしながら注文を聞くスタイルに変わりつつあるため、カウンター上部の収納を減らして開口部を広くしたり、スナックや喫茶店の造りの様にカウンターに対し調理場の床を若干低くする工夫がなされるようになっています。

また、デシャップと呼ばれる提供前の料理を一旦置く場所を、カウンターの端ではなく、ホールスタッフの移動距離が一番短くなる場所に移し時間の短縮化を工夫する飲食店もあります。

複数店経営なら縮小借換で克服

一度オープンするとお店の面積を減らすということは難しいのですが、数店舗を所有する経営者の方からは、今まで勝ちパターンとして蓄積してきたノウハウを捨て、より少ない従業員数で回せるサイズに飲食店をダウンサイジングして利益が出るよう商品開発をしていると聞きます。

確かに大手ビール会社の子会社もこれまで100坪クラスの飲食店を展開していたのですが、この出店を一旦凍結し、25坪前後のサイズにして新たなチェーン展開をしています。もとっも、昨今の景気を鑑みれば稼働率や回転数とも密接な関係にある話ですから一概に人材不足が発端ということでもありませんが。

シニア開発

飲食店に限らず、金融機関の窓口、医療機関でもシニアの方が目立つようになっています。もともとその業界にいらした方が、定年後復帰されるケースが多くあります。

現在のように以前に比べ時給が高くなったことで、働き先の選択肢が少ないシルバー世代には魅力的に映る職種になってきたのだと思います。また、比較的働く時間の融通がきくのも飲食店側のニーズにマッチしています。

団塊の世代が大量に定年を迎え自由な時間のある労働力としてかなりの数にのぼることが予想されます。先日、長年赤坂でクラブのママを務められた方と久しぶりに会う機会が会ったのですが、ハローワークのような公的機関に登録をすると飲食店からの求人が多くあるのに驚いたと話されていました。

景気の好不況に左右されてきた人材問題は、もう改善することはないものとして工夫してゆくことが求められています。

飲食店の人手不足解消 アルバイト定着作戦

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