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飲食店 居抜き店舗「未公開物件」を手にするリスクを大公開!

bluebudgie / Pixabay

「千里の馬も伯楽に会わず」という故事成語があります。ご存知のように世に千里を走る馬はたくさんいてもその能力を見出す人物に会うことは稀であるという意味から転じて、如何に有能な人物でも誰と出会うかは非常に重要ということを表しています。

実は不動産の物件も同じようなところがあります。如何に優良物件もその実力を引き出す力がなければただの不動産となってしまいます。それ以上に、古来より馬喰(馬の売買人)と3回取引をすると1頭失うという諺もあるように、お値打ち、お買い得をうたう不動産会社と取引をすることは、その金額の高さ故に一回でも信じて取引をした人が財産を無くことさえあるのです。

今回は、誰しもが色めき立つ未公開物件、掘り出し物件と呼ばれる言葉の裏に隠れているリスクを検証してみたいと思います。

Contents

不動産の「未公開物件」とは何かを定義する

一概に未公開と言っても、ネット上でも見ることが出来ますし普通に問合せをすれば詳細を教えてくれます。それなのに未公開とはどういうことなのでしょうか。

2~3人で経営している会社が全体の90%以上という不動産業界。物件の管理や情報収集などその人数ではなかなか思うようにいきません。結果、情報が停滞したり安全な不動産取引が行われない可能性があるとして国交省が業界の為に公益社団法人を作り情報の流通と消費者保護に努めています。

この流通機構に物件情報を登録すれば、全国の不動産会社と情報を共有することが出来ます。例えば、物件を抱えた小さな会社であっても別の不動産会社がお客様を見つけてくれるというシステムです。賃貸を扱うほぼすべての不動産会社はこのシステムを利用しています。それ故、間違った情報や嘘の情報は罰則の対象となります。

もうお分かりだと思います。この指定流通機構に登録をする前の物件情報が一般的に未公開物件と呼ばれているのです。

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まずは未公開物件のメリットから

未公開物件にはどのような利点があるのでしょうか。順番に見て行きましょう。

なにより競争相手が少ない

未公開物件は流通機構に登録されていませんからほぼすべての不動会社がその情報を知らないという訳です。従って、その情報を入手できたごく限られた方だけが知るところとなります。つまり、競争相手が極めて少ない状態ということになります。

検討時間に余裕がある

誰よりも先に申し込みをした方が有利だと考える風潮がある不動産業界において(実際申し込み順で審査をする不動産会社は数多くあります)一定期間内に申込をした方のなかから借手を選ぶことが多いのもこの未公開物件の特徴です。

これには訳があります。賃貸借条件など詳細が決まるまで時間がかかるあいだに非公式募集をするのですが、正式な募集条件が決まるまでの時間が借手にとって検討時間として活用できることが大きなメリットです。つまり、本来ならライバルが多い中、焦って結論を出さずに済むということです。

一方で申込者に賃貸条件を競わせることも頻繁に行われており、入札のように値段がつり上がることも実際におきています。

未公開物件のデメリットとはなにか

流通機構に登録をすることで多くの同業者の目に触れることになります。もしいい加減な情報を掲載したり、問い合わせると登録内容と異なっていたなどの場合信用を失うこととなります。

未公開物件はそのような規制をうけることもなく限られた人の目に触れるだけですから賃貸条件やいつから借りられるかも決まってない状態での募集となると書きました。このことが次のような事態を引き起こします。

ともかく、トラブルが多い

  • 10坪だと聞いていたが実は6坪しかなかった
  • 月額20万円の賃料だと聞いていたが最終的に25万円と言われた
  • 居抜き物件では厨房機器が揃っていると思っていたのにほとんどの厨房機器がリース物件であったため引き渡し時にはなにも残っていなかった

など枚挙にいとまがありません。

飲食店をいい場所で開店させたい、居抜き物件で安くオープンさせたいと思う方は数多くいらっしゃるのに、なぜこんなにもリスクのある物件を検討するのでしょうか。

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未公開物件を出す不動産会社の事情とは

先にも書きましたが、流通機構に登録すればどこかの不動産会社がお客様を紹介してくれるのになぜわざわざ自分たちの独自ルート(WEBやFAXなど)を利用して物件を紹介するのでしょうか。それには居抜き店舗物件を取り巻くある事情があるからなのです。

「他の不動産会社より先にお客様を探して手数料を稼ぎたい」

マンションや住宅に比べ飲食店の居抜き物件は数が少ないことで知られています。それ故常に探しているお客様の数が多いのが特徴です。だからこそ、物件が出てくればそれに飛びつくお客様を抱えている不動産会社も数多くいて、情報が不確実な時点で先に物件をおさえてしまいたいと考えてしまうのです。

本来、その不動産を管理している会社から正式な賃貸借条件や面積、業種制限などすべてが決まってから各社募集を始めるのが通常ですが、単なるフライング、業界の掟破りの様なものが未公開物件の本当の姿なのです。

粗悪な未公開物件に引っかからない為の注意点

「不動産に掘り出し物はない」不動産業界をよく知る人達は口をそろえてそう言います。もし掘り出し物が存在すると言える人は、その土地が持つ力を自らのアイデアで引き出せる人だけなのです。つまり人が気づかない利用法を思いつく人にとってはそう呼べるかもしれません。

ひるがえって、一般的な飲食店の用途に使う人たちはこの未公開物件に対し何に気をつけなければならないのでしょうか。

単に情報を提供するだけの不動産会社や未公開の理由を説明できない不動産会社は要注意です。なぜなら未公開の名のもとに潜んでいるリスクが分かっていないからです。

契約後のトラブルが発生しても彼らは必ずこう言います。「まさかこんなことになるとは思いもよりませんでした」と。それでも彼らは手数料という報酬を請求してきます。結局貧乏くじを引くのは物件をよく調べもしないで借りてしまったご本人なのです。

~まとめ~

未公開物件でもちゃんとリスクが説明でき、お客様の納得を得ながら進めて行ける不動産会社もなかには存在します。ただ数が少ないのが現実です。間違っても、申込を急がせたりお金をすぐに入金しないと契約出来ませんとせかす会社だけは信用しないようにしましょう。

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