飲食店舗の賃貸契約をしようとした時に、契約に掛かる手数料が考えていた金額の倍以上だったという経験をお持ちのかたがいらっしゃると思います。
そもそも賃貸借契約の仲介手数料は、貸主と借主の双方からあわせて賃料の1ヶ月分が上限と宅地建物取引業法で定められています。ところが、不動産業界で募集図面と呼ばれる広告紙には何やら色々と聞いたことも無い名目の手数料の記載があります。
- 情報提供料
- 企画料
- 店舗資産譲渡仲介手数料
- 企画報酬料
- 店舗維持費
- 広告料
現実には、飲食店舗を中心に扱っている不動産会社は物件契約をするにあたって、賃貸借契約仲介手数料以外の名目で借主(新テナント)から別途手数料を徴収しているというのが現実です。
特に別途手数料が顕著なのが「居抜き店舗」と呼ばれる飲食店舗物件です。内装造作や厨房機器などが付帯して安価ですぐにお店を始められるとあって人気の賃貸物件です。
それ故、居抜き店舗物件情報はマーケットに出回りにくい状況にあり、需要と供給のミスマッチをおこしています。
供給側(飲食店舗取り扱い不動産会社)は別名目で手数料を上乗せしてもすぐに借手が現れる為、宅建業法上違反しないよう名目を変えた手数料を取引に上乗せをして収益を上げています。
Contents
飲食店の居抜き店舗契約には2種類の手数料が発生
どのような業種でもそうですが、手数料を請求するうえでお客様に実態のあるサービスをしなければなりません。その対価が手数料です。
不動産仲介業では、不動産(物件)を貸したい人と借りたい人の間を取り持つ、いわゆる「仲介」という実務が伴って手数料が発生しています。
飲食店の居抜き店舗物件を取り扱う不動産会社では賃貸借契約の仲介意外に、居抜き店舗の内装造作、厨房機器の仲介も同時に行います。こちらは造作譲渡や店舗付属資産売買と呼ばれるもので、宅建業法が規定する賃貸借の仲介には当たらないと解釈されています。
つまり1つの賃借物件に二つの契約と二つの仲介業務が存在することになります。これを根拠に賃貸契約に伴う手数料の他に別の手数料を借主に請求する事となるのです。
名前の異なる手数料が付いていた場合には必ず確認を
ここまでは代表的な2つの手数料について説明してきました。先に述べてきたように、手数料については明確なルールに沿わないグレーなところがあります。現時点では、手数料の内訳、趣旨を確認することが借りる側からすれば自衛策となります。物件を紹介してくれた不動産会社の営業マンに、何に対しての手数料なのか必ず確認するようにしましょう。
飲食店舗の手数料が増えるのには理由がある
一つの契約にいくつもの手数料が存在し、規定以上の金額が請求されている背景に、飲食店舗物件の仲介会社である不動産会社の給与体系が大きく関わっています。この業界では「固定給+売上歩合」の給与体系をとる会社が数多く存在するところに端を発しています。
なかには給与に占める売上歩合の割合が高い会社があり1円でも高い物件で成約したいと考える営業マンが増える原因となっています。
そもそも飲食店の居抜き物件は需要の割に供給量が少ないことは先に述べた通りです。従って、営業マンは日々物件の発掘に多くの時間を費やすこととなります。
建物所有者や管理会社の担当者などからどこよりも早く情報をもらう為にリベートを出すことさえあります。もっともそのリベートは営業マン個人が負担していることも多く必然的に手数料が高くなっていくという仕組みなのです。
不要な手数料を払わない為に必ず確認したい4つの項目
- 何のための手数料なのか?それをなぜ支払うのか?
- 物件供給元の会社は歩合制の給与体系なのか?
- 手数料体系を建物の所有者は知っているのか?
- 余計に支払う手数料を払わなかった場合、他の希望者へ物件が渡るのか?
この4つの質問をすれば、どのような体質の不動産会社なのかすぐに分かります。特に3番の質問をしたときに、「貸主はウチですから」という回答以外は、間違いなくグレーです。もっとも、ちゃんと答えられないレベルの低い会社(営業マン)も相当存在しています。そもそもそのような会社に仲介を依頼すべきではありません。必ずトラブルとなります。
契約内容を精査して仲介をする会社もあります
お客様のために必死に物件探しを行っているまじめな会社もたくさんあります。そういう会社は手数料を多く取る訳でもなく1本の契約を丁寧に行っています。特に多額の広告費を掛けている訳ではありませんから、見た目はとっても地味な会社ばかりです。
「webサイトを使って派手なキャッチコピーで飲食店舗物件を紹介している」ような仲介会社や不動産会社は要注意です。
物件の価値に見合う手数料額なのか判断すべき
法的整備がなされていない状況下で、仲介手数料(不動産仲介)1ヶ月分プラスαの支払いをするのは良いとも悪いとも言えません。しかし、一般的に考えて支払う必要の無いお金を支払うのはどうしても腑に落ちません。
しかしながら、絶対に手にしたい物件だった場合はあえて支払う事によりその物件をおさえられることも事実です。
ここは、カラクリを知ったうえで、物件の持つ魅力に見合う手数料額なのかよく考えてご契約ください。